ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「神と共に 第一章:罪と罰」

「神と共に 第一章:罪と罰」観ました。
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韓国発。冥界ファンタジー・アクション映画。(何このジャンル)

 

「人は死んだら冥界に送られる。冥界には7つの地獄があり、各々現世での罪が裁かれる。それら裁判を、全て無罪で通過しなければ現世に生まれ変わる事は出来ない。因みに期限は49日。」

 

韓国で話題になった人気ウェブコミックの映画化。『ミスターGO!』のキム・ヨンファ監督作品。

「『ミスターGO!』ってあのゴリラが野球選手のやつ。」コミカルでありながら、ほろりとさせる演出なんかもあった。そういう人情モノだったと記憶。ですが。

 

「別にこの原作コミックを読んだ事がある訳じゃ無い。正直キム・ヨンファ監督を追っている訳でも無い。どうしてこの作品を観ようと思ったのか…。次の第二章にマ・ドンソクが出ているからだ。」

 

『マ・ドンソク』。
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アジア版ハルク(当方が勝手に命名)。キュートな表情に、規格外のボディ。二の腕の太さなんて何かの映像加工をしているのかと見まがうほどの迫力。もう…大好きなんですよ。

マ・ドンソクの出演作品公開予定を見掛けてしまったら。脳内観るものリストに即記入。そしてこの『神と共に 第一章・第二章』にたどり着いた訳ですが。

 

消防士のジャホン。真面目で実直を絵に描いた様な彼は、ある日ビルの大火災で少女を救助中に壮絶な殉死を遂げる。

地面に呆然と佇むジャホンの前に現れた、カン二ム、へウォンメク、ドクチュンの三人。彼らは冥界からのジャホンの担当使者であると名乗り、ジャホンを冥界へと連れて行く。

使者達から冥界での7つの裁判と49日の期限について説明を受けたジャホン。

しかも『正義の死者』として19年ぶりに『貴人』として冥界から認定された事で、ジャホンは難なく裁判を通過すると思われた。

ジャホン担当死者である三人には『1000年で49人の死者を転生出来れば、彼らも新しい生を受ける事が出来る。」というレギュレーションがあって。彼らにとってはジャホンが48人目。ラッキーカウント。

まだ自身に起きた事の整理もつかず戸惑っているジャホンを焚き付けて。

使者達に導かれるまま。『殺人地獄』『怠惰地獄』『ウソ地獄』『不義地獄』『裏切り地獄』『暴力地獄』『天倫地獄』7つの地獄へ向かい、各々の大王の裁きを受けていく。

 

地獄めぐり。当方は昔々絵本で読んだ程度にしか『地獄』というものを知りませんので。お馴染み浅瀬から「確か地獄って…」とたどたどしく話出しますが。

「確か。日本では、仏になったら三途の川ってやつを渡って、閻魔大王に裁かれるんじゃなかったっけ。現世での行いに依って、天国か地獄か行先が決まると。裁きはその一回。天国なら涅槃に行って幸せにのんびり過ごせる。けれど地獄は多種多様。罪の種類に依って、針山みたいなやつとか、火炙りとか、石を延々積んでは壊されるとか。ずっと居るはめになる。そんな感じやった気がする。」

 

この感想文の為に『地獄について』『日本と韓国の認識』『仏教』『儒教』等々勉強する時間は今の当方の日常生活にありませんので。ふんわりとした認識のままの当方は、この作品の世界観を深めた分析は出来ないのですが。

 

「兎に角。天国という概念は無くて。一つ一つの地獄で無罪を勝ち取らなければいけないと。もし有罪になってしまったらその地獄に落ちて罰を受ける。その地獄ステージは(ステージって言っちゃったよ)合わせて7つ。」

「各々の地獄ステージに応じた『裁判』が行われる。例えば第一ステージ『殺人地獄』では「ジャホンは人を殺した事があるか」。ここではとある同僚についての話が提示され、果たしてその時のジャホンの行動は是であったのか否であったのかが争点となる。大王たちは元々『訪れた亡者を己の地獄に堕としたい』という視点なので、いかに亡者が是の行動を取ったのだと弁護し『無罪』を勝ち取る様便宜する。それが使者=弁護士の役割。」

「第一地獄ステージを通過しないと第二地獄ステージには進めない。そうしてステップアップしていって、最終の第七ステージ『天倫地獄/閻魔大王』までたどり着き…そして全面クリアしたなら(全面クリアって言っちゃった)また現世に生まれ変わる事が出来る。」

「あ。後期限があって。全面クリアするの、49日以内ね。永遠じゃ無いよ。」

 

「めっちゃめちゃゲームやん。RPGロールプレイングゲーム:参加者が各自に割り当てられたキャラクターを操作し、一般にはお互い協力しあい、架空の状況下を乗り越えて目的の達成を目指すゲーム)やん。ゲーム思考やんこの地獄‼!」

 

そう。基本的にゲーム的進行。ただ。扱うものは『一人の人間の人生を振り返る旅』なんで。流石にテクニカルには進まない。

 

消防士ジャホン。独り身。故郷には言葉が話せない母親と歳が離れた弟が二人で住んでいる。かつて一緒に暮らしていた時。母親は重体に陥る程の(何なんですか、それ)病気を患い家庭は貧しかった。高校生の時家を飛び出し、それ以降二人には会っていなかったけれど。寝る間も惜しんで働いて、そのお金を実家に送っていた。

職場でも常に一生懸命。離れていても家族思い。そんな『貴人』のはずのジャホン。正直不戦勝通過まで見越して楽観視していた使者達だったけれど。…何だかおかしい。

 

ジャホンが馬鹿正直に受け答えしたせいであわや地獄に落ちそうになった事もあった。けれど。旅を進めようにもやたら邪魔が入る。ジャホン一行を襲ってくる地獄魔。怨霊。これは何事か。このままでは冥界事体の秩序も崩壊するぞ。

ジャホンの過去には一体何があった?そして残されたジャホンの家族に何かが起きているのか?

 

確かに。もし『ジャホン一行が7つの地獄をクリアしていくRPGゲーム』で物語が進行したら、ただののっぺりした作品になっただろうなと思った当方。

この作品がRPGにとどまらず、ぐんと広がりをみせたのは…「使者の一人、カン二ムが現世に移動してジャホンの家族を見に行った」所から。

ジャホンの地獄めぐりを邪魔している怨霊。一体誰が怨念を残している?どういう怨念を?誰に向けて?

 

「それはやるせない。辛いな…。」家を飛び出したジャホンのそれ以降の人生。そして。家に残された家族が過ごした日々。誰もが一生懸命生きた。けれど…悲しい顛末。

 

結局。7つの地獄をRPG的にジャホン一行が進むのと同時に、現世側でもその地獄に合わせたテーマで真実が明かされていくという、多重進行。

そして最終ステージ(最終ステージって言っちゃった)では互いの世界が交差し。とんだ大団円に導かれる。そんな壮大な着地に「お。おお。」と圧倒され。

 

まあ。どの地獄でも、一旦は「あれ?ジャホンって…。」という引っ掛かりを持たせながらも。毎度毎度「義理と人情の厚いジャホンならではの…。」というお涙エピソードでクリアしてきた感じだったので。「地獄の沙汰も泣き落としだな。」なあんて思っていた当方。でもねえ。あの最終ステージは流石に胸が詰まりましたよ。あの家族が堪らなくて。

 

ゲーム的世界。CGもいかにもゲームな異世界感。でも安っぽくない。そして俳優陣がハ・ジョンゥ(お嬢さん等)。チュ・ジフン(アシュラ)等、流石に当方にも分かる、顔なじみの役者さんが多くて。「この人こういう役もするんだなあ~」と観ていて楽しい。(ジャホンの弟スホンが在籍していた軍隊の後輩兵士がD.Oというアイドル(7号室)なんですね。そして、うそ地獄の泰山大王の女の子が(新感染)の娘やったなあ~とか。)

まあ。そういう遊びを散々入れていながら。でもキッチリ泣かせるところは決めてくる。そういう「ああ。人情系韓国映画っぽい」という部分もある。

 

140分にも渡る、壮大なスペクタクル冥界ファンタジー作品。飽きさせる暇なく駆け抜けていきましたが。

 

「さあ。ここからマ・ドンソク参戦ですよ。」

ワクワクが収まらず。後編第二章『神と共に 第二章:因と縁』楽しみです。