映画部活動報告「ピッチ・パーフェクト ラストステージ 」
「ピッチ・パーフェクト ラストステージ」観ました。
2012年本国(アメリカ)公開『ピッチ・パーフェクト』。そして2015年『ピッチ・パーフェクト2』。満を持しての本年。最終作『ピッチ・パーフェクト3』。
日本では1と2が2015年に同年公開され。御多分に漏れず「え?ビッチ?」となにやら浮ついた気分で観に行った1。呑まれて。そして真面目に観に行った2。
3年の時を経て。随分穏やかな気分で迎えた3。シリーズ最終章でした。
無気力系女子、ベッカ(アナ・ケンドリック)。大学も行きたくなかった、けれど父親の顔を立てての進学。(何を学ぼうとしていたのかは分かりませんが)本当の夢は音楽プロデューサー。
同級生達とは距離を置いて。お楽しみは校内ラジオ番組DJ。そんな彼女はある日寮のシャワー室で鼻歌を歌っていた所を校内のアカペラサークルの先輩に見初められる。
中ば強引に引き入れられたアカペラサークル『ベラーズ』そこでの個性ある面々との出会い。そして次第に生まれていく絆。
みたいな事をやっていたファーストシーズン。
続編では大学卒業を目前に、互いの夢を見つけていくベラーズメンバー、みたいな事をやっていたと。そう記憶していたのですが。
今作では。流石に皆大学を卒業し各々定職に就いていて。ただ、それが全然上手くいかない。
仕事だけじゃない。あの頃永遠を誓った愛だって続いていなくて。相当に腐っている元ベラーズの面々。
そんな時。現『ベラーズ』(大学サークル故名称は継続)からの新旧同窓会のお知らせ。当時の衣装に身を包んで。勢い勇んで会場に向かうけれど。
「充実してんな~。」「きっとあの子達皆彼氏持ちよ。」現役ベラーズのきらっきらなパワーに却って当てられてしまった。
私たち、終わっちゃったの?そんな悲観的な気分が漂う中。ベッカの先輩である元部長オーブリーが持ち掛ける「私の父は軍人で。米軍慰問団でコンサートがあるんだけれど。」「コンペになっていて、勝ち抜けばDJキャレドのコンサートで前座の機会が与えられるの。」
沸き立つ元ベラーズの面々。そして彼女らは米軍コンサート参戦に挑むが。
「いやあ~。初号2012年?今が2018年ですから。足かけ6年お疲れさまでした!」
先ずはその声かけ。初代大学生時代は『トラブルメーカーズ』という同じ大学校内に男性アカペラサークルが居たはずなんですが。(しかも「抱いて~」とか言われちゃうくらいのパーティピープルっぷり)そんな彼らも続編からはすっかり成りを顰めて。すっかりガールズだけのガールズムービー。
「あああ。当方の思っていない方向に…そうハラハラしながら見届けた作品。」
少し毛色が変わりますが。当方の思う『ガールズ作品あるある』という話を今回は所々挟ませて頂きたいと思います。
初代『ピッチ・パーフェクト』から。「凄いな~。アカペラの可能性って無限大じゃないの?」そうワクワクする反面。どこかでくすぶっていた案件。
「ベッカの揺ぎ無き才能。」
二十歳にも観たない主人公。夢は音楽プロデューサー。コップをカチャカチャ組み立てながら歌うパフォーマンス。けれどそれは他人に見せれば「比類なき才能だ!」と評価され。
続編で。ベッカの活動をすぐさま評価してくれた外部の人間。認められたくて、ベラーズの活動さながらそっちに集中したベッカ。
そして今回。晴れて音楽関連の職に就いたものの、社風と合わずに退職したベッカ。そこで棚ぼた的に舞い込んきた米軍ドサ周りの旅。けれど。蓋を開けてみれば、ベラーズの活動より、お偉い人は一夜の狂ったパーティーでのDJベッカに魅せられ。結果ベッカのみ脚光を浴びるシンデレラストーリー。
「ベッカは何をしたんですか?」
好きでもない大学に進学した。けれど才能を見初められてアカペラサークルにスカウトされた。仲間と出会った。彼氏も出来た。卒業間際、自分の活動が認められて皆より一足早く就職出来た。…けれど思った感じじゃ無かった。仕事を辞めた。そしたら昔の仲間とまた歌が歌えるようになった。そしたら自分だけが才能を認められた。そして新しい恋の予感。
いやいやいや。ベッカだって見えない所で努力をしたんだぞという声。見えない所?見えない所なんて、三年クールでしか彼女を観ていない当方が評価できるか。
主人公の万能感。比類なき才能の持ち主である彼女はいつどこにいたって、余す事無く誰かが見つけてくれる。完全なる受け身。
このシリーズに於いて。全く積極的に行動しない主人公ベッカ。ベッカに任せても何も話は進まない。そこで活躍するのは三枚目キャラクター=太っちょエイミー(レベル・ウィルソン)。
ファーストシーズンから大活躍でしたが。今回も彼女無しではどうにもならなかった。何しろエイミー。まさかのマフィアの娘。
今回の慰問は誰が主催した?黒幕に潜んでいた自分の父親。けれど結局父親は自分たちの音楽には興味が無かった。
「また一緒に暮らそう。」「可愛い娘。」そうおだてる父親の、本当の狙いとは。
それを知っての太っちょエイミーの復讐奇襲劇。そのドタバタと、意外と動けるレベル・ウィルソン。「乳首ドリル」に爆笑。そしてブリトニー・スピアーズ。
今回もアカペラサークルベラーズとして、色んな楽曲を見せていましたが。
自宅に帰宅した当方が真っ先に確認した、ブリトニー・スピアーズ『Toxic』。
2003年位の楽曲なんですが。今現在どんな姿になっていようが、あの時のブリトニー・スピアーズは最高にエロ可愛かった。(そして確かあの直前まであのヴィジュアルで処女だと言い張っていた)そんなPV。女性アカペラサウンドとしても当方のやらかい所を押しまくったナンバー。
まあ。当方がもう一つ引っかかった点「皆がスペシャリスト過ぎる」。
津田雅美著『彼氏彼女の事情』の最終辺りみたく。恩田陸の少年少女作品みたく。作品に登場するメンバーは軒並み天才。皆自分の目指す分野で明るい未来が待っている。THE・ガールズ作品。
それは「ベラーズで一緒に活動していたのに、何故貴方だけが音楽の世界で生きていくのよ!」「このドサ周りは何だったのよ!」と誰も言わない為の各々の命綱。笑ってベッカを送り出すための命綱。
でもねえ~。世知辛い現実を知っている当方からしたら「ぬるい!」の一択。
普通にアカペラ映画として観れたのはファーストシーズン。以降はどうしてもガールズムービーならではのご都合主義が目に付いてしまった。それでも。それでも何とか着地したのだから。もうここで完全終幕して欲しい。
ところで。こんなに散々な事を言っている当方ですが。
当方のミュージックフォルダに『ピッチ・パーフェクト サントラ』は当然入っている塩梅です。