ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「アナと世界の終わり」

「アナと世界の終わり」観ました。
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イギリス発。ミュージカルゾンビ映画。ジョン・マクフェール監督作品。

 

イギリス。田舎町リトル・ヘイヴン。父親のトニーと二人暮らしの女子高生アナ。

「こんな田舎から早く出ていきたい。此処には何もない。」ぱっとしない日々。つまんない。高校なんてとっとと卒業して。大学なんて行かずに旅に出たい。世界を見たい。

そう思って立てていた海外旅行計画をトニーに知られ。一人娘を心配する父と反発する娘は大喧嘩。本当に最悪。

そんなむしゃくしゃする気持ちを幼馴染のジョンに慰めて貰って。心機一転、楽しく過ごそうと決めたクリスマス。なのに。

唐突に町がゾンビに乗っ取られた。次々と襲われ、ゾンビ化していく町民達。

「だめだ。この町から出よう。」ジョンはそう言うけれど。

「パパに会いたい。昨日の喧嘩の事を謝りたい。」自分の通う高校の用務員をしているトニーに会うべく、学校へ向かうアナとジョン。

学校にはトニーの他に、クリスマス学芸会の練習の為に友達や多くの学生が居たはず。

果たして、アナは無事トニーに会えて、仲間達と共に脱出する事が出来るのか?

 

「ゾンビとミュージカル?確かに新しい。」そう思って。映画館に観に行った当方。

 

元々は2010年『zombie musical』という短編作品がベースなんですね。そう思うと、確かに短編向きというか…ちょっと間延び感があったというか。

 

「えっと。これはどういうテンションで観ていけばいいのか…。」ちょっと戸惑いが隠せなかった当方。というのも。

 

ミュージカルとダンスはバシッと決まっている。けれどどうしても『突然歌って踊り出す感じ』が否めない。そもそもアナがどうしてこの田舎町にうんざりしているのかの描写が無いのに、それをミュージカルで語ってしまう。

同じ学年のイケイケ男子ニックとの関係も途中から「ああ。そういう…。」となるけれど、あまりにも説明不足。

元々『なんかやばいなこいつ臭』がプンプンしていたサヴェージ校長が話が進むにつれて大暴走。何だか演じている役者さんも楽しそうに見えた限界突破。でもこれ…お話としては何だかバランスが悪い。

 

「何か。脳内の引き出しで補てんしている部分が多い気がするなあ~。」もやもやする当方。

 

ゾンビ映画って。と語れる程、当方はゾンビ映画のなんたるかは知りませんが。

「意思疎通の取れない化け物。醜い死体であるが動き、動作は緩慢ながらも人を襲う。襲われた者は漏れなくゾンビ化。奴らを完全に倒すには頭部を破壊するしかない。」「そんなゾンビに。親しかった者が襲われ、噛まれてしまった。最早ゾンビ化が避けられない。哀愁。」それこそがゾンビ映画の醍醐味(当方にとって)。

愛する人が。たった今まで一緒に戦っていた仲間が。家族が。そんな大切な人がゾンビに噛まれた。果たしてその時。その人はどういう選択をするのか。そして自分は。

 

という醍醐味に重たさを付けるには。ゾンビが現れる前の状態や人間関係をはっきり描いておく。そういうものだと。勝手に思っている当方。

 

と思うと…主人公アナの感じている『つまんない日常』の内容が今一つよく分からない。そしてそのままゾンビタイム突入。そんな印象。

 

だらだら気になった事を書いていてもあれなんで。進めていきますが。

 

主人公アナ。幼馴染のジョン。ラブラブカップル、クリス&リサ。恐らくLGBT案件のステフ。イケイケでいけ好かないニック。そして父親トニー。キレッキレのいかれ野郎サヴェージ校長。

ゾンビ映画あるあるとはいえ。結構主要メンバーも容赦なく襲われる。「あ。こいつが…。」という悲しさ。『良い奴が報われない世界観』切ない。

町がゾンビ化する前。学食で「恋愛は映画みたいにいかない」と踊っていたシーンで。あんなにも熱く踊っていたあの二人がこんな結末に…。

点滅する、馬鹿みたいなセーターが…。世知辛い。

 

「こういう有事の時。当方ならどう行動するんやろうなあ~。」生活している町がゾンビタウン化。想像しにくい事態ですが。

 

会いたい人に会いに行く。そりゃあまあそうでしょうな。そしてそれがアナにとっては父親トニーだった。

前日喧嘩した。パパなんか嫌い。わからずや。そう思ったけれど。こんな事態をきっかけにおさらば、そんな風には思えない。だってたった一人の父親だから。

幼い時にママが死んでから男手一つで育ててくれた。大切な家族。お願いだから無事でいて。そして一緒に居て。それがアナの選択。

そんなアナに付きそう。そういう選択をしたのが、幼馴染のジョン。

学校に取り残されている恋人を救う為一緒に行動していたクリス。

正直成り行きで合流していた感が否めなかったステフとニック。

共に学校へ向かう中。結束していく友情と。儚くも散っていく仲間達。

 

というしんみりもあるんですがねえ。気を抜けばコミカルも挟んでくるし、そして『取って付けた感』のあるミュージカルシーン。何だかバランスが悪い。

 

「何故最終決戦がこいつとなんだ。」「そして何故こいつは無敵なんだ。」「父と子の会話に最終決戦要らなくないか?」「何故このメンバーが生き残ったんだ。あいつ…いい奴だったのに。当て馬だった上に犬死やないか‼(ネタバレを避けようとするが故にふんわりとした文章)。」そんなモヤモヤで一杯。終いには突っ込みすぎてへとへと。

 

「行儀よく真面目なんてくそくらえと思った。」「夜の校舎窓ガラス壊して回った。」当方の脳内ではそんな歌がちらちら浮かんだり消えたりしていましたが。

確かに。アナが望んだ形では無いけれど、この騒動に依ってアナは強制的にこの町から旅立つしかなくなった。もう戻る事は出来ないけれど。そんな幕切れ。「こ~の支配からの。卒業。」

 

ゾンビミュージカル映画。けれど吹っ切れた爽快感や突き抜けたギャグがある訳では無く。けれどシリアスにも傾かない。何だか中途半端な気持ちになってしまう。

 

なので。機会があれば2010年の『zombie musical』。この短編作品を観てみたい。そう思う当方です。