ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「プーと大人になった僕」

プーと大人になった僕」観ました。
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「僕はあれからもずっと『何もしない』をやってるよ。」

 

子供達に夢と希望を与えてきたディズニー映画。

その中でも鉄板の『太い客』を持つ『くまのプーさん』コンテンツが。

まさかの…『社畜』と呼ばれる中年を皆殺しにやってきた。

 

「何かやばい」「プーさん実写は怖い」「やられるぞ」

今作の予告編が解禁されるや否や。当方の目と耳に嫌でも届いてきた悲鳴。

 

クマのプーさん』A.A. ミルン著。
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作者の息子、クリストファー・ロビン。息子の持つぬいぐるみを基に、息子に語り掛けた夢物語。書籍化。
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そのことに依って『クリストファー・ロビンと100エーカーの仲間達』は世界中の人気者になった。

当方が小学生の時。クリスマス会のプレゼント交換で当方の元にやってきた『クマのプーさん』文庫本。

明らかに同級生の誰かが読んだ後の古本でしたが。粛々と読み。そして今でも当方の実家本棚に鎮座するその本。

「プーはハチミツが大好き」「プーが仲間の家の入口につっかえた話」「ちぇっちぇっ」(今現在その本が手元にない為、うろ覚えですが)
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のんびり者のクマ、プー。ネガティブなロバのイーヨー。心配性のコブタ。せっかちなウサギ。はっちゃけたトラ。親子のカンガルー。賢いフクロウ。終始未就学児童クリストファー・ロビンとぬいぐるみ達のふんわりしたお話が描かれていたと記憶していますが。

 

『100エーカーの森で愉快な仲間達と過ごしていたクリストファー・ロビン。しかし彼にも遂に仲間と別れる日が来た。ロンドンの寄宿学校に入学する事が決まったからだ。

「僕は絶対に君たちを忘れないよ」けれど。厳しい学校生活。戦争。次第に彼はかつての仲間達を忘れていく。結婚。娘の誕生。終戦。立派な会社(旅行鞄部門)に就職した彼は仕事優先で必死に働く日々。しかし彼の所属部門は伸び悩み、最早会社のお荷物。遂には同僚や部下をリストラするなどの削減を求められる。何とか回避できないかと奮闘。妻と娘との旅行もキャンセルし、一人家に籠る終末。そんな時。プーが現れた。』

 

冒頭の『100エーカーの仲間達とのお別れ』しんみりの風に包まれて。クリストファー・ロビンとプーが並んで座る姿に泣きそうになる当方。正直、そこで終わったとしても良い位でしたが。そこから何十年後。中年になったクリストファー・ロビンに。

 

「とんだアサシン(殺し屋)がやってきたよ…。」震える当方。

 

「久しぶり。」「ねえ。皆の姿が見えないんだ。しかもハチミツが採れなくて。クリストファー・ロビンなら分かるかなって。」

WHY~何故~に~。WHY~何故~に~。教え~てく~れ。何故?何故今こんなに切羽詰った時に、幼少期のぬいぐるみが薄汚れた姿で自分を訪ねてくる?やめてくれ。

しかもプーの奴、クリストファー・ロビンの家(主にキッチン)を大破。そりゃあクリストファー・ロビンも怒って100エーカーの森にプーを連れて行きますよ。

(あれ。家から放り出さずにきちんと連れて行った所はクリストファー・ロビンのやさしさやと当方は思いますがね。しかもプーの奴は100エーカーの森の木の出入り口からワープしてきているのに、こちらは電車で向かうって。当方ならプーの出てきた公園の木の傍にプーを置きますよ。此処から自力で帰れと)

 

100エーカーの森。すなわちクリストファー・ロビンの実家。(今作のロケ地、本物のクリストファー・ロビンが幼少期に過ごした森らしいですね!胸熱)そこまでプーを連れて行く。その道中から。少しずつ幼かった頃の気持ちを思い出していくクリストファー・ロビン。そして遂に仲間達との再会。

 

「ああ~。そうそうこいつらはこういう感じやった。」わちゃわちゃするぬいぐるみの連中に思わず目を閉じて頷く当方。そして。

「ちょっと待ってくれ。イーヨーめっちゃ可愛くないか。」
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何かと卑屈なロバのイーヨー。自虐キャラ。実際に存在したら絶対フレストレーションが溜る。けれど可愛い。イーヨー可愛さに胸が締め付けられる当方。

 

まあ。お話自体は『プーがプーにしてくる』『終始辞表を提出せよとの指令であった』『言いたいことも言えないこの世の中は ポイズン』。社畜よ目を覚ませ。お前たちの本当に大切にするべきものは何だ。それは家族との時間を潰してまでやるべきことか。思い出せ、幼い頃の気持ちを。

 

「それは風船より大切?」「何もしない。が一番好きだ」この二大パワーワード。その他割と短いスパンで放つ、言葉の手榴弾。我々中年を殺しに来る、100エーカーの仲間(アサシン)達。こちらとしては息もたえだえ。

 

クリストファー・ロビンは家族の為に頑張っているやないか。」「妻よ。あんた戦争中は働いていたけれど。どうやら今働いてないやん。」「やのに「私は貴方の会社と結婚した訳じゃないわ」って世知辛い。」「遅く帰って、それでも娘に本の読み聞かせをしようとする姿勢を評価してくれ。娘よ!宝島を読んで欲しいならちゃんと口に出して言え!」「同僚や部下を切らずに済む方法を模索していたやないか…。」段々泣きそうになる当方。

(ネットで「クリストファー・ロビン帰宅が遅いって妻に言われていたけれど21時台に帰れているやん」という書き込みを観た時は乾いた笑いが出てしまいました)

 

じゃあクリストファー・ロビンが本能の赴くまま退職届を出したら?妻子共々路頭に迷うやないか。しかも薄汚いポエマーぬいぐるみ集団と。それがお望みの答えか?夢の国の皆さんよ。

 

~という着地はみせない。「おい!ディズニー!流石にご都合主義すぎるぞ!」と思わなくもなかったですが。クリストファー・ロビンの『旅行鞄部門所属』が効いてくる。

 

「まあ~。これがベストアンサーじゃないですかね…。」唸る当方。

 

しかしまあ。散々社畜やくたびれ切った中年の心をもてあそんで。挙句また100エーカーの森に仲良く行ってしまった彼らを観た後。いつも通りの仕事をしている中。f:id:watanabeseijin:20180925231012j:image

これがふと過るのが。止められない当方です。