ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「午前十時の映画祭/E.T.」

「午前十時の映画祭/ E.T.」観ました。
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1982年公開のスピルバーグ監督作品。誰もが知っているSF超大作。

10歳の少年エリオットと、遥か宇宙からやってきたE.T.の友情物語。

 

「誰もが知っている」とは書きましたが…当方は正直あまり知りませんでした。(「もぐりか!」と言われるのが目に見えているので口に出した事はありませんでした。)

 

「1982年当時。当方は生を受けこの世に誕生してはいた。しかし…とても映画館鑑賞出来る様な年齢では無かった。そして以降…おそらく数えきれないほど『何曜日かのロードショウ』でテレビ上映され、当方もそれを目にしていたはずなのに…殆ど覚えていない。」

「何故か。何故か当方はこの子供向けSF作品を怖いと思っていた…様な気がする。」

 

とは言え。当方ももうええ大人。「流石に当方に怖いものなど無い。」そして「午前十時の映画祭が今年で最終という事も鑑みると『E.T.』をスクリーンで観る機会はそうそうあるまい。」と。腹を括って(大げさ)観に行ってきました。

 

アメリカ。とある森に降り立った宇宙船。

植物サンプル採取目的で地球を訪れていた宇宙人一行。しかし宇宙船に気づいて近寄ってきた地球人たちの姿を確認、慌てて撤収。その時乗り遅れ、一人取り残された宇宙人が居た。

その郊外にある都市に住む少年、エリオット。自宅の庭に宇宙人が隠れているのを発見。「怪物がでた!」始めこそ驚くが…決して悪い奴には見えなくて。

大人にはきっと分からない。エリオットは兄マイケルと妹ガーディも巻き込んだ。「宇宙人?つまりはエキストラ・テレストリアル=E.T.だな!」

子供達とE.T.の間に育まれていく友情。

初めは右も左も分からなかったけれど。子供達から言葉を学び、そしてテレビや漫画から知識を得たE.T.は「電話を掛けたい。」とエリオットに頼む。それは仲間の元に帰りたいという願いだった。

 

公開から37年。これまで星の数ほど語られてきたこの作品を、当方が今更何を語る事が出来るのか。時代考証。SF的観点。シングルマザー問題。スピルバーグ監督の幼少期云々。どれを選んでも浅瀬過ぎる。

そもそもこれは当方の映画鑑賞備忘録であって、小難しい事を知ったような顔をして語る場所では無い。そう思って…素直な感想を書く事にします(つまりは通常運行)。

 

「何が怖かったんやろう?やっぱりETのビジュアル?でも小学生当時の当方は『アルフ』大好きやったのにな~。」なんて不思議に思っていましたが。
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「あ。これ。オープニング。そして夜のシーンの多さ。」

そもそも子供の頃の当方は、兎に角夜が怖かった。お化け。幽霊。妖怪。怪物。何のトラウマ体験も無いけれど『暗闇に潜む何か』が怖かった。

『何か』は暗闇から突然現れて、散々当方を怖い目に合わせた挙句どこに連れてく。又は…大切な人々を奪って当方を独りぼっちにさせる。圧倒的理不尽への無力感=恐怖。

「早く寝ないとお化けに連れて行かれちゃうぞ~。」(あの絵本…『ねないこだれだ』。あれ…可愛いふりして怖い話ですよ。)

 

オープニングの音楽と画面の暗さ。そして冒頭森のシーン。恐らくこれが子供だった当方を怖気づかせた要因。(単純にE.T.のビジュアルも気持ち悪かった。)

 

「まあ。流石に現在の当方はこれを怖いとは思わないけれどな。」

 子供の頃のハードルをやすやすと越えた当方の目から見た、E.T.の世界。

 

「ずっとそばには居られない。けれどいつだってここ(心の中)に居るよ。」

 

ベタ褒めする前に一つ。何だかごちゃついている。これは変やな…と思ったシーン。

NASA?ですか?」終盤。E.T.の存在が知られ、エメット宅に突如現れた宇宙服の男達。唐突な医療チーム発足。簡易クリーンルーム瞬間設置。そして瀕死のE.T.とエメットへの謎の蘇生処置。そしてETがああいう結果になった途端、彼らのプロテクター解除。あれ何。あれ何なんですか。

「そもそも地球にある食べ物を冷蔵庫から勝手に取って飲み食いしていたE.T.が。あいつ酒まで飲んでましたけれど。一体何の要因があったらあそこまで瀕死の状態に陥ったんですか?!ハロウィン時期の寒さ?10月末の?」

「ETが死んじゃう!」「E~T~(涙)。」「E.T.が生き返った!!」「行こう!あの森へ!!」

どういう四段活用だよと目を白黒させた当方。

 

そもそもE.T.が宇宙船に乗り損ねて一人取り残された原因だってNASAな訳で。彼らは『宇宙人を捕獲して研究をする』目的で非道な手段(主に盗聴。そして不法侵入)でE.T.を捕獲…しようとした所を子供達が連れ戻し。

そして実はハロウィンの夜、成功していた宇宙船との交信!というグッドタイミングも相まって森へ急ぐETと子供達…。

 

という大筋に変なプラスα『E.T.瀕死状態』。

要らないんじゃないですか?シンプルに「NASAに見つかってE.T.が連れて行かれそうになった!」で良いんじゃないですか?「E.T.とエメットは一心同体だから(いつの間に?)エメットが風邪を引いたからE.T.も病気になったんだ!そして蘇生能力のあるE.T.はエメットの病魔を吸い取った!そのことで命を落としたんだ!」へえええ。

(エメットの体調不良が改善すれば良いって事?ならばエメットを病院に連れて行きなよ。得体の知れないNASA集団と宇宙人側から謎治療されるくらいなら人間の小児科の方が確実な治療をしてくれるって。)

 

「僕もずっとE.T.を待っていたんだ。」エメットに語り掛けるNASA職員。だから?

宇宙人に対して決して傷付けるつもりでは近づいていないと?そういう事?う~ん。

何だかしっくりこない…当方の中で消化できなかったシーン。

 

その他は概ね咀嚼。「父親が不倫してメキシコへ。別居状態の母親は気丈に振舞っては居るけれど家庭内の雰囲気は微妙。兄と仲間達はいつも自分をみそっかす扱いするし、妹は小さすぎる。孤独を感じていたエメット少年の前に現れた、孤独な宇宙人。」「E.T.を囲んで結束していく兄弟間。」「いざという時頼りになる兄とその仲間達。」

 

やはり。あの自転車が浮き上がって空へ進んでいくシーン。そして音楽。いくら話の概要を知らなかったとはいえ、何度も何度も見た事があったのに。涙か出た当方。
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理科の授業で。解剖の為に持ち込まれたカエル(当方はそういう授業のない時代で良かった)を。元居た場所に帰れと教室の外に逃がしたエメット。

 

E.T.は友達。一心同体。けれど。E.T.には帰るべき家がある。自分にも家があるように。E.T.とはもう二度と会えないけれど。ずっと心の中に居る。

 

互いの家に戻る決断をした、二人のお別れのシーンで案の定また泣く当方。

 

「こういう作品やったのかあああ。」

 

小さい時は怖かった。何だか避けていた。今更。何となく観たけれど殆ど覚えていない。それはもう仕方が無い。けれど。

名作と呼ばれる作品をスクリーンで観られるまたとない機会。それに巡り合えたら。

それはぜひ観た方が良い。

 

「大丈夫。怖くない。」「夜は怖くない。得体の知れない『何か』なんていない。」子供だった頃の当方にやっとそう言えた。そんな気がした映画体験でした。
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