ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「マッド・ダディ」

マッド・ダディ」観ました。
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それは突然始まった。

 

ニコラス・ケイジ主演。

アメリカ郊外。一軒家に住むブレント一家。サラリーマンの父。専業主婦の母。生意気な女子高生の姉。こまっしゃくれた未就学児童の弟。四人家族。

取り立てて問題がある訳じゃ無い、けれど特に特徴もない。どこにでもいる平凡でさえない一家。

 

今日だってそうだった。何てことない平凡な一日になるはずだった。

各々仕事や学校に行き。残された者もスポーツクラブに行ったり友人に会ったり。夜からはブレントの両親も遊びに来る。皆で一緒に夕飯を囲む。その日に起きた、他愛もない事を話合う。そんな一日になるはずだった。なのに。

 

今日は何故か陰鬱な気分になるニュースばかりが流れる。「親が突然我が子を殺した」何故?何故今日はそんなニュースばかり?何だか街の様子もおかしいし…胸騒ぎ。

 

どうしても気になって。仕事を早退し帰宅。そして我が子の姿を見た途端…ブレントの中の何かがはじけ飛んだ。

 

…という事を、主に姉弟視点多めでやっておられました。

 

「いやあ~これ…何て言うか…中途半端というか…。」歯切れが悪くもごもご言う当方。「オープニングが一番良かった。そこで終了しちゃった…というか…。」

 

不条理劇なんですよ。そりゃあ、『親が我が子を殺す』というセンセーショナルな内容なんですから当然ですけれど。

けれどこういうのって、大体『実は訳の分からない未確認生物に依って突如人類の思考に変調がもたらされ云々』とか『未知のウイルスに依って人間凶器と化してしまった大人達!さあ!子供達よ立ち上がれ!』みたいな…みたいなこじつけ(例題が凄いチープ)があるじゃないですか。でもこの作品には『親がどうしてこうなったのか』という説明は一切ない。(最後それっぽいフレーズがかすめましたけれど)

なので始まりは唐突だし、「これってどう落とし込むつもりなんやろう…まさか投げっぱなすとか…」という不安も心の中でどんどん膨らむ上に、まあ正直そういう感じに…(小声)。

 

「ここ十数年の出演作の中で一番気に入ってる作品さ!」-ニコラス・ケイジ

ちょっと待て。ちょっと待てケイジ。あんた何言ってんだ。それを言うなら『俺の獲物はビンラディン』やろう。どういう意味でそれ言ってんだ。

 

後。今回は当方もとことん褒めない感じで突っ走っていますが。「音楽がうるさい」という不満も…。いかにも「出るで出るで~」「ジャーン!」みたいな音。やかましい。

 

「何やろうなあ~この感じ」そう思ってモヤモヤしていましたが。先ほど当方の脳内に唐突に降りてきた答え。「これあれですわ。『キングスマン』の『教会のシーン』。又は『キャビン』のラスト。」

 

キングスマン』先日公開された駄…じゃなくて、初期の方。あの最高だったキングスマンの中でも。やっぱり評価が高いのって『教会のシーン』じゃないですか。音楽に乗ってコリン・ファースがガンガンに信者たちを殺していくという。あのシーン。

そして『キャビン』。あんなに上手く出来たホラー…が一転してウィットの効いたコメディ作品に切り変わった瞬間。「ジャーン。チャンチャラチャンチャラ~」という音楽が聞こえて来そうな程のドリフ感。

どちらも見ている側のテンションを一気に爆上げしたシーンでしたが。

あれって。そのシーン自体は確かに異質だけれど。大元のストーリーがしっかりあるからこその切り替えの妙じゃないですか。

それがこの作品の場合、さっき例えた作品達の所謂『異質なシーン』のみで構成しようとするから。何だか落ち着かない。緩急が無いから。うーん。

 

「後単純に『サバ―・ビコン』を最近観てしまっているのもあって。何だか既視感もある。今思えば同じく『我が子を殺そうとする』行動もマッド・デイモンの方に軍配が…。」まあこれは言ってはいけない事ですが。

 

まあでも。ニコラス・ケイジのハイテンションジェットコースター演技を楽しむ。そういう観点で観るのならば…後、オープニングのセンスは絶妙な感じで当方は好きでした。