ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

バトル・オブ・ザ・セクシーズ」観ました。
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1973年。当時の女子テニス女王ビリー・ジーン・キング29歳と、1938年に年間グランドスラムを達成し国際テニス殿堂入りのボビー・リッグス55歳による『バトル・オブ・ザ・セクシーズ=テニス男女対抗戦』が行われた。

 

女子テニス選手が男子と比べ1/8のギャラしか支払われない事に憤り。ビリー・ジーン・キングはテニス協会を脱退。仲間の女子選手達と『女子テニス協会』を立ち上げた。

スポンサーを見つけ。徐々に興行を伸ばしいつつあった女子テニス協会。そんなある夜、ビリーにボビーから男女対抗試合の申し込みの電話が掛かってくる。

「男性優位主義対フェミニストのバトルはどうだ!」

馬鹿らしい。そんな茶番に付き合えるかと一旦は断るが。

当時『テニス界の最も有名な母』と呼ばれたマーガレットが試合を承諾。そして母の日にボビーに惨敗した事で、ビリーはボビーとの試合を受けて立つ事を決心する。

 

ラ・ラ・ランドで米アカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーン最新作』

元々正統派美人というよりコロコロ変わる表情で輝く彼女。…にしても、髪を黒く染めて70年代眼鏡を掛けただけでこんなに野暮ったくなるなんて。(という事は漫画王道の「眼鏡を外したらあの子は美人パターン」ってある…って事ですかね?当方は男女問わず眼鏡っ子が大好きなんで認めたくないんですが…)

まあ。ともあれ。実際の『ビリー・ジーン』を画像で見たら。凄く忠実な再現でした。

 

そして『ボビー・リッグス』を演じたスティーブ・カレル。

エマ・ストーンも良かったですが、この役をスティーブ・カレルが好演した事も非常に良かった。このペアだから成り立った作品だと思う当方。

(当方がスティーブ・カレルが純粋に好きだというのもあります。『フォックス・キャッチャー』のあの悲しすぎる『ママの前での茶番稽古』のシーンは映画部の中でも「泣くしかない」と話題に上がった、切ないシーンでした)

「女性がコートに立つ事は必要だ。球拾いが要るからな。」「女は台所と寝室に居たらいい。」言葉だけ聞いたら何て嫌な奴なんだと憤りを感じますが。ボビーを見ていてそこまで憎たらしいとは思わなかった。

 

「と言うのもボビーは完全な道化だからだ。」(当方の印象)

 

元テニス王者。殿堂入りした伝説の選手。そんな大層な肩書きを持つけれど。

ギャンブル依存症。強制的にカウンセリングにも通わされているけれど。家族に隠れて隙あらば賭け事に興じ。妻からは呆れられ。三下り半を突きつけられる。

妻を愛している。別れたくない。けれど…ギャンブルも止められない。

「俺は根っからの勝負師だ。」

お金の問題。ギャンブル仲間との関係性。テニス界に対するもやもや。最近調子に乗っているビリー・ジーン。女子テニス協会の存在。…けれど。当方にはボビーがそれらをまともに考察して出した挑戦状には見えなかった。

 

「どう思う?男子と女子がテニスで戦う。本来ならば実現しないけれど、今のテニス協会のゴタゴタにかこつければやってやれない事は無い。現世界王者だけれど男子に比べれば非力な女子選手と、元世界王者だけれどシニアの俺。これ、面白くない?」

 

根っからの勝負師ボビー(しかもメンタルは無敵な少年)のワクワク案件。加えてボビー、盛り上げ上手。

 

けれど。そんな挑戦状。受ける訳にはいかない。

 

「どうして女子は男子に比べて劣っていると思うの。」「私たちのやっていることだってテニスよ。」テニス協会は馬鹿だと息巻いて。付いてきてくれた女子選手たちと立ち上げた『女子テニス協会』。潰す訳にはいかないと必死で興行する日々。

 

そんなある日。お調子者ボビーからのバカげた挑戦状。

「そんな事をやっている暇は無い。」という気持ちと平行して「もし負けてしまったら…。」という不安。

 

「年齢的にはこちらが優位かもしれない。けれど相手はシニアとはいえ男子選手。負けてしまったら?もし世界王者の自分が男子選手に負けたら。まさに『女子は男子に劣っている』という偏見に屈してしまう事になる。」

そんな戦い、受ける訳にはいかない。

 

なのに。同じ女子テニス協会のマーガレットがボビーの挑戦状を受けてしまった。

しかも惨敗。

 

これは自分が出るしかない。出ないと…。

 

この世紀の対決に至るまでと、最終の大会までがメインストーリーとなる訳ですが。

 

「おお。これそういう話やったのか。」

あまり劇場で予告編を見る機会が無かったのもあって。ほぼまっさらな状態で観に行った当方。(テニス事情も全く通じていない)

『ビリー・ジーン・キング』という女性の人となり。どういう活躍をした人物なのか。そして彼女のセクシャルティ。今回初めて知りました。

 

女子テニス協会を立ち上げた当時。ビリー・ジーン・キング。つまりはキング夫人。

結婚していたビリー・ジーン。優しくてハンサムな夫とは、遠征が多い事もあってほぼ別居状態。けれど互いに愛し合っている。そう思っていた。けれど。

女子テニス協会の設立広報の準備で知り合った美容師のマリリン。彼女に惹かれてしまった。

「女性を好きになった事は無い」「私には夫がいる」そう思っていたのに。(またねえ。マリリン役の女優さんがまた…なんかエロいんですよ)互いに求め合って。盛り上がって。止められなくて。

 

時代は1970年代。色んな価値観が変わっていくけれど。如何せん同性愛に対する理解などまだまだ厳しかったのであろう時代。

恋人が出来た。そうは言えなくて。(まあ…結婚しているって言うのもありますし)この感情を誰かには言えない。自分でもどうしていいのか分からない。集中できない。そんな精神状態のブレは案の定テニスにも影響してしまって。

 

そうやってもがいていた中での『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』。

 

結局ビリー・ジーンがどういう選択をしたのかは後日談のテロップと、当方が後から調べた情報から知りましたが。

 

「男だとか女だとか。そこに優劣を付ける事は出来ない。個人を見る時、性別は関係ない。男だから。女だから。そんな『だから』は存在しない。人を枠にはめて判断してはいけない。なぜなら誰もが自由だから。」(当方の解釈)

 

今日。皆が注目するような世紀の試合をした。試合の結果は出た。けれど。それはテニスの試合にはとどまらない。

 

最後。歓声に沸くコートに向かうビリー・ジーンに。ずっと一緒にやってきた衣装担当のスタッフが掛けた言葉。頷いて後歩きだした彼女の。その決心。

 

「いやあこれ。こういう話だとは思いませんでしたよ…。」「後。正直あのテニスシーンは何処まで凄いのか…誰かテニス経験者の方教えて欲しい。」「事実は小説よりも奇なり。」

実話ベースの深みに唸りましたが…出来ればテニス経験者か詳しい人に色々聞きたいとも思う当方です。