映画部活動報告「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」
「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」
「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」観ました。
〈ジュラシック・ワールド〉のあった島、イヌラ・ヌブラルが火山の大噴火で壊滅、救出された恐竜たちは、世界中へと放たれてしまった。
あれから4年、人類はいまだ恐竜との安全な共生の道を見いだせずにいる。恐竜の保護活動を続けるオーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブイラス・ダラス・ハワード)は、人里離れた山小屋で暮らしていた。
そこで二人が守っているのは、14歳になったメイジ-(イザベラ・サーモン)、ジュラシック・パーク創設に協力したロックウッドの亡き娘から作られたクローンの少女だ。
ある日、オーウェンは子供を連れたブルーと再会する。ところが、何者かによって、ブルーの子供が誘拐される。オーウェンはブルーに「俺が取り戻してやる」と約束し、クレアと共に救出に向かう。
一方、サトラー博士(ローラ・ダーン)は、世界各地から恐竜を集めて研究をしているバイオテクノロジー企業の巨人バイオシンをある目的から追っていた。そこへグラント博士(サム・ニール)も駆けつけ、マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)に協力を求める。
人類と恐竜の共存の前に立ちはだかる、バイオシンの恐るべき計画とは?
オーウェンとクレア、そして3人の博士は大切な命とこの世界の未来を守ることができるのか?
(映画館チラシより引用)
1993年公開『ジュラシック・パーク』を含む三部作から。装いも新たに2015年から始まった『ジュラシック・ワールド』シリーズ。
かつて『ジュラシック・パーク』で散々痛い目にあったはずなのに。人々のあくなき「恐竜を見たい!」という願望によって再び作られてしまったテーマパーク『ジュラシック・ワールド』。ハイブリッド個体へと進化した(当方には難しいことはよくわかりません。ICチップ内蔵しました程度だった気がするけれど)、安全性を売りにした(何を根拠に?)パークは案の定早々に崩壊。
テーマパークとしては使用不可。恐竜たちだけの楽園と化していたイヌラ・ルブラル島は火山活動が活発化したことにより壊滅した。噴火前に恐竜たちを別の島に移送する計画が遂行されようとしていたが、コレクターたちの横やりもあり、恐竜たちの完全移送計画は転覆。恐竜たちが世界中に放たれるという最大級の事故で幕を閉じた前作。
「何故ジュラシック界の人間は過去から何も学ばないのだろう?」
毎回毎回…ジュラシックシリーズを鑑賞するたびに当方の脳内に浮かぶフレーズ。
何故?何故恐竜たちと分かり合えると思うのか。食物連鎖の圧倒的強者を前に対等であろうとするのか。飼いならせると思いあがるのか。
とはいえ。毎回シリーズ新作が公開されるたびほぼ初日に鑑賞してしまっている当方もまた…「動き回るでっかい奴を見たい!」の動機なんで。同じ穴のムジナですが。
これも毎回おことわりしているのですが。当方は「巨大海洋生恐怖症」でして。
でっかい魚類を見ると動悸がする。水族館など小学生以降は近寄ることもしていない。先日昼休憩中にニュースで「水族館で飼育していたジンベイザメが22メートルまで巨大化したため海へ放し、代わりに先月定置網にかかった4メートルのジンベイザメが仲間入りしました」と映像付きで流れた時など、鳥肌が止まらなかったほど。
つまりは…何を言いたいかというと…怖いんですよ。アイツが。
「名前も言いたくないアイツ」当方のなかでヴォルデモート級、恐怖の化身。ジュラシック・ワールドシリーズに出てくる恐竜たちに対し「でっけえな」「足が速いんやな」「なつくやつもいるんやな」とのんびりした印象を持つ当方が唯一恐怖を感じてやまない海のアイツ。デカい。デカすぎる。(そして今回もトップバッターで登場にのけぞった当方)
「奴ら(恐竜)を生み出し、そして世に放った…世界中が恐怖に包まれた…お前は万死に値する」。
ジュラシック・ワールド責任者の一人であるクレアには怒りしか感じていない当方。
よくもまあいけしゃあしゃあと娑婆を歩いているな。経営者及び責任者たちは軒並み拘束し恐竜たちとの共生及び凶暴な個体の回収に全力を尽くせと当方は思うのですが…優しい世界ですよ。
「恐竜たちが解き放たれた世界。生態系のヒエラルキーは圧倒的強者の出現で一変した。恐怖と混乱に満ちた世界で。人類はどうやって生きる道を見つけるのか」
かつてジュラシック・ワールドを創設したメンバー。果てはそもそものジュラシック・パークに関わったメンバーも集結。「責任者ででこい!」に対し出てきた彼らが。一体この事態にどう落とし前をつけるのか。
という話になると思うじゃないですか。少なくとも当方はそう思っていましたよ。シリーズ最終作と銘打っていたし。
「よくここまで入口と出口が違う話に仕上がったな…」
はっきり言うと『イナゴ映画』でした。
新進気鋭のバイオシンというバイオテクノロジー企業が遺伝子操作したイナゴを繁殖し生態系を脅かしているとの推測で潜入捜査する旧作メンバー、サトラーとグラント。古代生物学者の二人はかつてジュラシック・パーク創設のさいに見学したさいにパーク内の恐竜たちの大暴走を体験した仲間。二人はバイオシンで働くマルコムと再会する。
場面が変わって。現在は山奥で暮らすオーウェンとクレア。二人はジュラシック・パーク創始者の娘のクローン・メイジーを引き取り疑似家族的に生活していた。
けれどある日、なついていた恐竜・ブルーの子供とメイジ-が何者かに連れ去れる事案が発生。何とか後を追ったオーウェンとクレアが行きついた先はバイオシン社だった。
こうして新旧二組の主人公たちが合流して、バイオシン社の野望と計画を暴きながら愛する子供を救出する、そんな話になっているんですよ。なにこれ。
「こっちは恐竜映画を観にきたんやぞ!」
バイオテクノロジー云々はどこか別のところでやってくれ。こっちは恐竜とのどんちゃん騒ぎが観たいんだ。
…一応ねえ…恐竜三体による取り組みなんかも見せてはくれたんですが…物足りない。
とにかく遺伝子操作した枕サイズのイナゴが大量に出てくる。地面をびっしり這うイナゴ。ガラスケースいっぱいのイナゴ。空を埋め尽くすほど飛来してくるイナゴ(「ゴールデンカムイでラッコ鍋食べる羽目になったきっかけの光景に類似)。中盤以降はとにかくイナゴ映画。
一応「遺伝子操作して作られた恐竜たちの繁栄に、少しは歯止めをかけられる希望」とも思えなくはないんですが…いかんせん弱い。
もやもやしながら映画館を後にした当方。一体…何を観たんだろう。
「おそらく…新たなる支配者とはイナゴのことだ」
さすがに違うとは思いますが。ジュラシック・ワールドシリーズの思いもよらなかった着地。
いつかまた。新たなジュラシックシリーズが生まれることがあったとしたら…三部作にはしない方がいい。どちらも一作目は成功するんやから。そこで止めておけば…。
ですが。「ジュラシック界の人は過去から学ばない」んでねえ。そして観客にも共通する、あくなき「恐竜が観たい!」欲。
恐竜にはまた映画館で再会する予感がしてなりません。