ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「IT/イット“それ”が見えたら、終わり」

「IT/イット “それ“が見えたら、終わり」観ました。
f:id:watanabeseijin:20171122210925j:image

スティーブン・キングの小説『IT/イット』。1986年発表。1990年のテレビドラマシリーズが高評価のホラー作品。

 

27年毎に現れる『ペニー・ワイズ』という子供さらいのピエロ。田舎町デリーを襲った連続子供失踪事件。それに立ち向かった13歳、『ルーザーズ(負け犬)・クラブ』の少年少女達7人と、27年後40歳大人になった彼等のお話。

 

テレビシリーズから。現実にも27年後の現在。装いも新たに。

13歳の『ルーザーズ・クラブ』視点。完全に『子供編』で割り切った今作品。

多くの先に観た者達が語る、「大丈夫やって」「そんなに怖くないって」「スタンド・バイ・ミーみたいな爽やかさも感じたって」と励ましの声を受け。

「エネナイッツ!」(当方なりのスタンド・バイ・ミーのあの曲)怖がり故に観るべきかどうか迷っていた当方でしたが…遅ればせながら観に行ってきました。

 

まあ…確かに当方が脳内で難しくし過ぎていた様な(表現しにくいですが)「お母さん、怖いから一緒に寝て」と幼い当方がべそべそ泣きながら言いに行く感じではありませんでしたが。

「何て言うの?音で怖がらせる系ではありましたよ」渋い顔をする当方。

いかにも「でるででるで~」というおどろおどろしい音楽、ちょっとやりすぎでしたよ!(ああいうの、直ぐ反応してしまうんで…構えてしまうんですよ)

ホラーとしての描写はストレート。冒頭からしっかり血とか見せていましたが。別に過剰ではない。途中で出てくる恐怖の象徴とされる『それ』のいくつかのビジュアルなんて寧ろチープで。「これで怖がるのは13歳だな」なんて思ってしまいました。

 

「13歳か…」

 

13歳当時。中学1年生か2年生。当方が怖かったモノは一体何だったんだろうかと。そう思っても、特に何も浮かばず。

「アホか!」中学生当方が顔を真っ赤にしながら立ち上がって来そうですが。

どんどん変わっていく自身の体と環境?それに追いつかない感情。子供じゃないという気持ちと、大人は分かってくれないという反抗心。そういう所ですかね?

 

それに比べると。ある雨の日。弟ジョージを突然失った、吃音を持つ主人公ビル。お調子者の眼鏡リッチー。喘息を始め。何らかの病気を持っている?エディ。神父の息子リッチー。そして途中から仲間に入るデブの転校生ベン。唯一のヒロインベバリー。肉屋の息子マイク。ルーザーズ・クラブの7人の特徴的な悩みと、その恐怖の対象。

 

不潔なモノを。いじめっ子を。気持ち悪い画(モジリア―二)を。肉片や手を。ピエロを。子供だけに見えるペニー・ワイズは彼らの恐怖に付け込んで姿を変えて。彼等に襲い掛かってくる。

 

彼等の中で、当方が嫌だと思った恐怖…やっぱり、ヒロインベバリーの恐怖と主人公ビルの恐怖。

一応ネタバレしないようにしたい…とは思っていますので。ふんわりさせますが。

 

「ベバリーの持つ恐怖に対する嫌悪感」

(ベバリー役の女子がまた凄くキュートなんですよ!)

子供だけに見えるピエロも嫌ですがね…彼女を取り巻く現実が堪らなく不快で。

 

余談ですが。子供時代、それなりに本を読んだ当方。高校生の時にスティーブン・キングも一作だけ読んだんですよ。『キャリー』を。

何故それを選んだのかは覚えていませんでしたが。多感な高校生には、あの血塗られた女子高生の話はきつくて…(また、キングのダラダラした文脈にも耐えられず)以降クリスティー読破!とか赤川次郎に舵を切ってしまった当方。

(何故なんでしょう。それなのに大人になった当方は定期的に『キャリー』を欲してしまうんですよ)

 

ベバリーの境遇。親からの仕打ち。学校での立ち位置。キャリーを彷彿とさせてしまって…今の当方なら観れますが。やっぱり眉を顰めてしまう。やるせなくて。

 

そして。主人公ビルの恐怖。「僕が怖いのは自分の家だ」

そりゃあ、あんなモノを見てしまうんなら。当方がビルなら一人では居れませんよ。

 

7人が各々持つ背景と抱える恐怖。そこに付け込んでくるピエロとの対峙を描きながらも。

 

7人が知り合っていく様。次第に生まれるチームワーク。俺たちは仲間だという連帯感。そして女子が一人居る事で生まれるドキドキ感。

恋した女子に絵葉書に詩をしたためて贈る。絵葉書の画だって出会った時の…でも…自分だとは思われなくて。目の前でいちゃつかれれる刹那。胸が苦しくて…。青春は残酷よのう!!(誰だよ)

 

そういう甘酸っぱい青春エピソードが差し込まれて。物語の緩急が見事。

 

最終決戦が何だか…駆け足感がするなと当方は感じてしまいましたが。

 

「こんなピエロが目の前に現れたら、多分ショック死。絶対にトラウマやわ」

ペニー・ワイズを演じたビル・スカルスガルド。素顔はイケメン俳優らしいですが。あんな動き、表情。

当方があの子役達なら一生のトラウマ案件。

(あのガレージのシーンは途中までリアルにやったらしいと何かで読みました。そりゃあ…ああなるわ!)

 

「少年少女達よ!多少は大人(特に警察とか)に頼りなさい!」「て言うかデリー警察は何をしているの?」「ああいう廃屋は防犯上でも問題やから行政に掛け合って潰してもらって!」「自転車はちゃんと道の隅に止めようぜ!」おいちゃん当方はやいやいと煩い事を言いますが。

 

「まあ…ピエロがしっかり怖いんやから。黙っとこうか」口を閉じる当方。

 

ところで。この作品で一番怖かった事『現実の映画館』

何故やったんでしょうか?当方が鑑賞している回の、トイレに立つ人の多さ。

暗い映画館で。おっかない音楽が「でるででるで~」と煽る中。ふっと視界を過る、リアルな人影。声を上げそうな位怖かったですよ。(しかも数人)

 

絶対に後編ありき。ルーザーズ・クラブの面々が27年後の『40歳編』

待ちきれん…大人になった当方なら…キャリー以来のキング小説を読もうか迷う当方です。