映画部活動報告「南瓜とマヨネーズ」
「南瓜とマヨネーズ」観ました。
富永昌敬監督作品。魚喃キリコの同名漫画の映画化。
主人公ツチダを臼田あさ美。恋人のセイイチ(セイちゃん)を太賀。ツチダの元彼ハギオをオダギリジョーが演じた。
ライブハウスで働くツチダ。27歳。同い年の恋人、セイちゃんと同棲中。セイちゃんはミュージシャンの卵だけれど、今は絶賛スランプ中。働かず。かと言って曲作りにも精を出さないセイちゃんにモヤモヤしながらも。
このままでは生活がままならないと、セイちゃんには内緒でキャバクラで働き始めるツチダ。
「あかんわ…」
生真面目に労働してきたおいちゃん当方、溜息。これはあかん。これは絶対上手くいかない恋。
「大体、男が働かんと夢だのを語って良いのは25歳まで」
何故か昔からそう言っていた当方。…まあ、老いたる現在の当方からしたら25歳だって十分子供ですが。
「私が稼いでくるから。セイちゃんは曲を作ってくれていたら良いから」
この典型的な、ヒモを養う女気質。愛する男を想う気持ちがおかしな所に行ってしまって。…そうして男は腐っていく。
案の定。毎日を無駄に過ごすセイちゃん。
遂には小遣い欲しさに愛人まで始めたツチダ。でも直ぐにセイちゃんに知られてしまって。それをきっかけに働きだしたセイちゃん。
そんな時。ツチダは自身が働くライブハウスで、元彼のハギオと再会するが。
「何でもない様な事が 幸せだったと思う」
正にこれ。どうして他愛もない日々が永遠に続くと思っていたのか。
恋愛の、楽しくて嬉しくて。一緒に居るだけで自然と笑顔になれた。そんな時はいつまでもは続かなくて。
相手を想うと苦しくて。好きだけれど、自分と居る事で輝けなくなっていく相手を見るのは苦しくて。
そんな時に再会する、かつての恋人。
「しっかしまあ。カッコいいだけで薄っぺらい男よ。でも実際にこういう男は女にモテるんよな」
現状の閉塞感に鬱屈としていたツチダ。ハギオと再会した事で思い出す、ハギオを想っていた気持ち。燃え上がって。
「ツチダよ…。あんたのそういう所が歴代の彼氏達との別れに繋がっているんやと思うよ」
勝手な人生相談員当方の、溜息交じりの診断。
作中、ハギオも言ってましたがね。「お前の好きっていう気持ちの押しつけが鬱陶しかったんだよ(言い回しうろ覚え)」そういう事ですよ。
どうせ数多の女の間を漂流するハギオはいいとして。現在の彼氏のセイちゃんだって「だってセイちゃんはミュージシャンなんでしょう」「私が働くから、セイちゃんは曲作りに専念して」「セイちゃんは今日一日何をしたの!!」「曲も作ってない!!」こんなの、しんどすぎる。
自身が属していたバンドがレコード会社と契約。しかも自分の居たボーカルの席にはグラビアアイドル。かつての仲間達の音楽性がブレブレになっていくのを目の当たりにして。彼等を馬鹿にしながらも、じゃあ俺はどうするんだと、どうしたいんだともがくセイちゃん。そうやって苦しんでいる所に追い打ちを掛けてくる恋人。
「じゃあ。そんな状態の恋人にどう寄り添うのがベストなんですか?」「知るか!!」
ハイと手を上げての質問に即答する、人生相談員当方。そんな経験無いし。こちとら恋愛マスターじゃないんだ。
勿論セイちゃんが大好き。でも「こういうセイちゃんが好き」とグイグイと『私が好きなセイちゃん像』を押し付けてくる。…そりゃあ駄目になってしまうよ。
「でも。恋って器用に出来るもんじゃないからな」ぽつりと呟く当方。
もう終わりかけていた。でも。実際に終わるとなると二人で過ごした時の、楽しかった所ばかりが頭の中を駆け巡って。キラキラが止まらなくて。
最後のセイちゃんの歌。その優しい歌声に涙が出た当方。
当方の大好き女優の一人である、臼田あさ美。これは現時点での彼女のベストなんじゃないかと思った作品。そして太賀。オダギリジョーも。もうキャスティングが完璧すぎて。
映画を観てから暫くの日にち。ぐずぐずと感想を送れずにいたら、映画部部長から「南瓜とマヨネーズ良かった」「臼田あさ美のお尻」「太賀君注目」「オダギリジョーの卑怯さ」等の映画部活動報告メールが到着。
「知っとるわ!!」と即返事してしまった当方。