ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「キャロル」

「キャロル」観ました。


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1950年代NYを舞台にした、女性二人の恋。

「男だとか女だとかは関係無い。あの人だから。あの人を見た時から。恋に落ちるしかなかった。」そんな恋。

今でもLGBTの方々に結局は寛容ではない世間。でも、もっと理解されなかった時代。

恋人を、家族を。豊かな生活を棄てても取りたいものは。己の生き方。信念。

ざっくり。ざっくり言い過ぎると、そういう内容。それを、これでもかと重ねたエレガントコーティングで仕上げておられました。

ああ…これ。ここで終わったら、当方の人間性もマトモなラインで保てる気がしますが。

「好きだから。追ってしまう。絡んでしまう。探ってしまう。守ってしまう。そんな視線のクロスマッチ」

「兎に角キュートなルーニー・マーラー。
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そして圧倒的な美しさ、ケイト・ブランシェット
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「美術。そして衣装の可愛らしさ。」

巷で大絶賛。確かに美しい。ほれぼれとする、至福の映画。…でも。

あのほら。チョコレートケーキで、真っ黒のてらってらのやつ。あるじゃないですか。見た目はシンプルなやつ。

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(これの正式名称を調べようとして、全く検索出来なかった当方。ケーキと言えばプリン。ババロアフルーチェ。…かろうじてチーズケーキとシフォンケーキ。これくらいしか食べられない為。、ケーキボキャブラリーが全く無い)あれ…一見シンプルに見えて、すっごい甘いんですね。腰が抜けるくらい。(昔食べて腰を抜かした。因みに当方は瞬間許容量を超えた糖分を接種すると腰を抜かします)

「いや!こういう上品に見えて甘いやつじゃなくて!単純に甘い、冷凍庫に何故か常にあるタイプが好きなんだな!」

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一体当方が何を言いたいのか。訳が分からなくなってしまいましたが。

つまりは…「手練れの魅せる、極上のメロドラマ。」
意味なくもたれる。

年上の人妻。若者。この構図のあまりのデフォルト感。確かに、そこに同性愛が絡むと話はややこしくなる。でも、当方は正直…そこに偏見が無いからこそ「とあるカップル」という姿にしか見えず。そうなると途端にありがちなメロドラマになってしまう。

もう「3ページくらい先が見え続けるお話」これが初めから最後までノンストップ。

そこにリアリティーを持ってくるとしたら…それは役者の技量が大きいのかと思いますが。そしてそれが皆さまの言う「恋する者の、絡み合う視線」だったのかもしれませんが。

「皆さまはよっぽどスマートな恋愛をされてきたのだろうな…。」

当方の恋愛論?経験?そんなものは叩き割った十戒みたいなもんで…つまりは一切公言するつもりはないですがね。

恋をするっていう事はどれだけみっともない事をしてしまうか。
布団をかぶって悶えてしまう。そんな事ばかりで。

「7回目のベルで受話器を取ったキミ」コールを数える自分。「夜中の3時AM。枕元のPHS。鳴るの待ってる。馬鹿みたいじゃない」
寝なよ!ヒカル!て言う愚かな自分に酔ってしまったり。10代なら。分からなくはないですよ。現在の当方は、加齢に寄る退化のせいでそんな体力無いですが。

学校じゃ教えられない!

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数年前テレビ放送していた、学園わちゃわちゃドラマ。何故か毎週見てしまった当方。(あれは色々と突っ込んだ内容で面白かった)
中村蒼演じる主人公。彼は幼馴染の男友達が好きで。でも言えなくて。男友達は彼女が出来てしまったりして。

「言っとくけどな!…両想いって奇跡なんだぞ!」

一見おふざけドラマでしたが。今でも当方の心にストレートに刺さる言葉。「両想いって奇跡」泣きそうになりました。

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本当に…。何やってんだろうな。どういうシーンなんだ。これ。

そうなんですよ。…ちょっと、この映画の、二人の恋の展開が…あまりにもスマート過ぎるんですよ。

「初めて見た時から互いに恋しくて。」理由を付けながら。でも結局はあっさり会える二人。ただの仲良しの女友達のような時期。女学生が同性に憧れるような、疑似的なものなのかしらとちんたら口に出してみながらも、絶対に違うこの気持ち。
そしてやっと結ばれる二人。お見事な朝チュン。(エロシーンからソフトフォーカスでフェードアウト。そして一気に朝。鳥の泣き声。正にこの展開)

「だりいいいいいいいい!」

好きになって。その人が居たら目で追って。好かれたくて恰好付けて。滑って恥をかいて。嫌われたら真っ暗になって。手に入りそうな気配があったら飛びつきたくて。欲しくて欲しくて。どうしてもその人が欲しくて。

…その必死さを、どろどろのエレガントというコーティングで見えなくさせる。
結果出来たのは、見た目はシンプルで不思議に甘い…胃にくるやつ。

近年の女性の同性愛映画としては「アデル、ブル―は熱い色」という怪作があったんで。

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…あのアデルを見てしまったら…まあ、当方は一生懸命な人間が大好きなもんですから。

散々な言い方をしてしまいましたが。ですが、この作品の展開自体はスタンダードロマンスで安心できるし、何よりメインの女性二人は本当に美しい。
美術も衣装も音楽も。エレガントに酔いしれる。

この作品が好きな人はきっと「シングルマン」も好きなんだろうな…。

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(当方も大好きですよ。コリン・ファース鑑賞目的ですが)

そしてこれらの作品をリビングで流しながらまったりするソファーでの二人…。

意識高い系のカップルのお家デートに最適な作品。

そんな日は生涯無い気がしてなりませんが。
当方の新たな心の十戒に刻みたいと思います。


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