映画部活動報告「木屋町DARUMA」
「木屋町DARUMA」観ました。
遠藤憲一主演。
四肢を失ったヤクザ、というアンタッチャブルなテーマ。
彼を介護しているヤクザとの、ぎこちなくも成立していくバディ感。
取り立てをされる側の人間たち。そして搾取する側のヤクザたち。
ヤクザには、最早義理や人情など存在しないのか?
京都を舞台に。
随分と前にこの作品の話は聞いていたのに。目にしたのはやっとでした。
「これは、遠藤憲一なくしては成立しないな…。この鬼気迫る勢い。」
四肢切断された事で、影で仲間から「ダルマ」呼ばわりされている主人公。
現在はそのインパクトボディを活かして多重債権者に対する取り立てを生業にしているのですが。
冒頭。取り立てをされる寺島進家族。(寺島進が被害者という意外なキャスト)
もう、これが本当に嫌で嫌で…。
「確かに、こんなやり方されたら即座に土下座でギブアップやな。」
この家族の没落も、この物語の大きな柱になりますが。
「ところで、何でこんな体に?」
取り立てをする姿のいやらしさ、煩さとは別に、普段はどちらかと言うと寡黙で、硬派な主人公。故に介護をしている若いヤクザはヤキモキし。
「5年前にやらかした下っ端の責任を取って四肢を失ったという仁義」「何故やり返そうと思わないのか?」「オヤジと同胞で、リスペクトされているはずなのにこの有様」「分かりたいのに、突っぱねてくる。」「結局、自分が居ないと何も出来ない癖に!」
というかね。
「なんなのよ!アンタいっつも大事な事は言わなくてさ!そういうのがカッコいいとでも思ってんの⁈含蓄含ませた顔しないでちゃんと思っている事言いなさいよ!」
というアタイ理論な訳ですよ。彼は何だかんだ熱いし、マメで。結局嫌でも喧嘩しても責任を投げ出さない。主人公の面倒を看るのに適した人物なんですよ。
甘いマスクですらっと細身スーツを着こなす若いヤクザ。彼もまた、かつては悲しい被害者であり、今は加害者でもある。
この二人の演技がしっかりしているから、ぎりぎりイロモノ映画やコメディに振り切らなかったと思いました。
だって…。ちらほら出てくるんですよ。吉本芸人が。
「まさか…吉本興業配給じゃなかろうな…。」と、コメディー路線に転じるのではと一瞬不安になりました。
木下ほうかがキャスティングに関わっている…仕方ないか。とは思いましたが。でも、文句ではありません。
寧ろ面白いキャストが居る事に、驚きと楽しさがありました。
まず。(今更ですが、敬称略)主役の遠藤憲一と、債権者に寺島進。安定の宇野祥平。
「殺人ワークショップ」以来、意外とよく見る宇野氏に一々反応する当方。今回も野比のび太カラーのシャツをチンピラスタイルでばっちり着こなし、おやつをだらしなく食べていました。
もう、宇野氏とあらば目で追う当方。恋する同級生並み。
武田莉奈なんて、あの泣き叫び暴れる様を見たとき「また吉本枠か」とか思っていましたからね。
そして…チョイ役の福本清三。
去年の「太秦ライムライト」を思い出し、胸を熱くする当方。(エンドロールにあった「東映剣会」に深く頷く当方」)
こんなにエンドロールが楽しかったのは久しぶりでした。
そして榊英雄監督。「赤×ピンク」に出ておられた方ですね。あの、テロテロの光沢のあるシャツと暴力。女を暴力とエロでねじ伏せた…。(役の話です)
濃い顔立ちを見て、即座に思い出しました。
話が脱線しました。
主人公を陥れたのは?という大筋は…まあ、センチメンタルたっぷりながらも王道に着地し。
でも、結局は彼らは所詮ヤクザで。誰かの人生を潰してきた過去もあって。
彼らだけが幸せには絶対なれなくて。
「金は貸しても借りたらあかん。」
たかだか金で。それでも金で。自分だけでは無く、家族も皆の人生が崩壊する。…恐ろしい。
そして、死んでいく仁義。古臭い義理と人情のなれの果て。
それでも、みっともなくても生きていくという姿を見せる。絶対に生きてやる。
そういうエンドロールへの暗転であったと、当方は思っています。