ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ベイビーわるきゅーれ」

「ベイビーわるきゅーれ」観ました。
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高校を卒業したばかりの深川まひろ(伊澤彩織)と杉本ちさと(高石あかり)。

高校卒業まで住んでいた施設から追い出され、二人暮らしを始めた彼女たちの正体は…殺し屋だった。

これまで組織に依頼された人殺し以外に何もしてこなかった。なのに仕事を見つけ、その労働の対価で生活せよと命じられる。

直ぐにバイトを見つけ、そつなくこなそうとするちさとに対し、コミュ障気味のまひろはバイト先すらも見つける事が出来なくて…。

 

「なんかいい」「女子二人がダラダラ日常を暮らしているかと思えば…まさかの本格アクション!」

やたらと観た人たちの感想が高評価すぎて…思わず腰を上げた当方。そして案の定打ちのめされ。現在当方の生息地域では公開終了していたりもするのですが。その最終日に滑り込みで入手できたパンフレットを外部研修の昼休憩でニヤニヤしながら読むなど、ささくれだった心に対し随分癒しとなった作品。

 

まあ、この出だしに書いた設定が全てなんで。高校を卒業し、晴れて本業一本(=殺し屋稼業)に入れ込めると思ったら。まさかの「社会になじんで来い」と施設から放り出された。

人殺し以外に、取り立てて何かが出来る訳じゃない。とりあえずバイト探し。

社交的なちさとはさっそくカフェ店員のバイトを見つけてきたけれど。人付き合いが苦手なまひろはバイトの面接すらままならない。

 

冒頭、まひろがコンビニでバイト面接を受けている所からスタートするんですが。その面接~従業員総出のバトルに「うわああああ~」と圧倒された当方。

 

まひろ役の伊澤彩織が現役のスタントウーマンなんですね。もう彼女の動きから目が離せなくて「人間てこんな動きが出来るのか!」の連続。アクション監督が國村健介?当方はアクションの世界に全く知識が無いんですが、兎に角規格外なモノをみせられている事は分かる。これはただ者ではない。(敬称略。すみません)

 

けれど。決してまひろのアクションのみが見せどころではない。相棒のちさととの、絶妙な掛け合いがまた堪らない。

 

キレッキレな動きとは裏腹にもたもた話すまひろと、ちゃきちゃきした性格のちさと。

言いたい事ははっきり言うし、それなりになんでも上手くこなす。けれど決して冷たくはない。もがいているまひろに辛辣な言葉を投げたとしても、まひろが返事を返してくるのを待っている。

ちさとの表情の豊かさ。小柄で強気、ツッコミ気質の女子は大好き。観ていて楽しい。

ただ一つ文句を言うなら「帰ったらまずは手洗いうがい。ご飯はそれからやで」というくらいですか(当方は昨今のご時世以前からそう躾けられて育ったので…気になる)。

 

可愛い殺し屋二人の日常を描き続けていながら、ストーリーとしてはヤクザの恨みを買ってしまいややこしい事になっていく。なのに相棒であるはずの二人も新生活のすれ違いから関係性がギクシャクしてきて。という展開。

 

あくまで当方の印象ですが。基本的にコントっぽいシーンを繋げてお話が展開されていたので。登場人物達の行動に意味合いや背景が感じられなかった部分も多かった。

例えば。ヤクザの組長が、たまたまちさとがバイトしているメイドカフェにやってくる。「新しいシノギになる」と険しい顔で入店し、メイドたちに促されるがまま「ニャンニャン」とやっていたかと思えば、とある出来事で沸点が爆発する。

「…なんで?」いや、一応組長がキレるポイントは描かれているんですが…作る側の「こういうの面白いやろ~」が滲み出過ぎていて、結局「組長気難しい」としか思えない。

 

コントっぽい会話劇。絶妙な掛け合い。軽妙で楽しいけれど、下手したらフワフワとしたコントになってしまう…という危惧を完全に打ち消すのが、規格外のアクションシーン。

 

最終。関係が修復された二人が乗り込んだヤクザのアジト。そこでの、まひろVSヤクザ渡部(三元雅芸)のバトル。これにいたっては「もう何が起きているんだ」「人ってこんなに早く動けるものなのか」「うわうわうわ」終いには脳内の語彙力が崩壊。

そしてでっかい銃を可愛い女子がぶっ放すのが気持ちいいって事は、薬師丸ひろ子の時代から分かっていますよ。

 

続編の可能性を大いに匂わせながらの終幕。とにかく明るい、けれどアクションは規格外。続編が公開されたら観に行きたい。でも、シリーズ化になってしまったら魅力を持続させるのは難しそう…大きなお世話もいい所ですが。

 

今のところは、脳内で二人の日常を想像してはニヤニヤするので十分です。