ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ちはやふる 結び」

ちはやふる 結び」観ました。
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2016年。少女漫画の。アイドル起用に依る映画化の波の中。(未だその波は収束する事はありませんが)現れた『ちはやふる 上の句 下の句』

10代~20代前半の俳優達を揃えて。「どうせまたアイドル映画だろう」と高をくくって。スルー案件であった当方。しかし…周囲の、かつて『耳をすませば』に胸を撃ち抜かれた中年男性達が騒ぎ出し。

「これは違う」「これは少女漫画の枠に収まらない」

まあ…冷やかしで観に行った訳ですよ。そして案の定。ミイラ取りがミイラになって。

 

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 「スポ根青春映画ジャンル」「まさか競技かるたがこんなに熱いとは‼」

結局未だに原作は未読なんですが。少女漫画にありがちな「互いに報われない三角関係」という王道もしっかり踏まえながらも、あくまでもメインは『瑞沢高校競技かるた部』。

 

奇跡としか思えなかった『上の句』。

「また幼なじみ三人でかるたを取りたい!」そんな主人公千早の思いから立ち上がった瑞沢高校かるた部。けれど。千早の情熱とは裏腹に、皆はそんなに乗り気じゃない。実力だってピンキリ。なんだかちぐはぐな立ち上げメンバー。けれど。

次第に結束していく上手さ。段々かるた部の面々が好きになっていく当方。そして…「机くん‼」。

「初めてだったんだ…誰かに必要だって言われたの」全当方が…本当に喉の奥から声が出そうになったほど涙が溢れた瞬間。

 

正直、『上の句』と比べたら失速した感じが否めなかった『下の句』。

完全にスポ根青春モノというカテゴリーで見ていたので…上の句では大人し目であったラブ要素が強くなってしまった事。そして「あくまでも団体戦。チームワーク」に拘っていたはずなのに、主人公千早が個人で強くなることに視点が変わってしまった事

結局は「一人は皆のために。皆は一人のために」という結論を導きだしていましたが…正直不完全燃焼感がありました。そして続編決定の告知。

 

「もうここでやめておいたら…」その時は思いましたし『‐結び‐』の情報が開示される度に「キャラクター増えるのかあ~おっかねええ」なんて眉を顰めていましたが。

 

「完璧な完結編だった」

 

『‐結び‐』のタイトルに偽りなし。心配していたキャラクター増員も、寧ろ次世代の予感を感じさせる扱いで、出だしこそ「おいおいおい」と思いましたが…次第に可愛く思えてくる。

初期メンバーからの肉まんくん。明るいムードメーカー。はんなりしたカナちゃんの包容力。そして…(涙声)すっかり良い奴の机くん。

高校三年生、つまりは受験生。そして高校最後のかるた部の夏。

皆で過ごす日々が余りにもキラキラしていたから。そこに終わりが来るなんて思わなかった…思わなかった。思わなかった?そんなはずは無い。

 

学年トップの秀才、太一の学業と部活の両立に対する悩み。肝心な大会を前にかるた部を去ってしまう太一。

「何でよ!バカ太一!皆で一緒に全国行くって!日本一になろうって言ったじゃない!」そう千早は泣き叫ぶけれど。

「あいつは色んな期待を背負っているんだ」「今が大切な時なんだ」机くんはそう言って千早を諭すけれど。

 

かるた命。そうやって真っすぐ驀進する千早という主人公に対して。幼馴染の太一というキャラクターの不安定さ。上の句からずっと引っかかっていました。

 

確かに子供の時はかるたを取っていた。幼馴染の千早の事がずっと好きで。だから千早と同じ高校に進学した。そうしたら。入学早々千早から俺に接触してきた。「一緒にかるた部やろう!!」かるた⁈…流され。

俺は千早ほどかるたに思い入れがある訳じゃ無い。部長ではあるけれど、強い訳でも無い。そして遠くに行って、脱落したと思っていた恋のライバル、新の復活。

俺は知っている。千早は「新たに会いたいから。新が好きだから」かるたを続けている事を。

かるた部の仲間は大切だけれど…俺はかるたそのものには向き合っていない。ここに居て良いのか。

そして。新が千早に告白。どうなったのか分からないけれど、二人は両想い…辛い。辛すぎる。 

 

確かに学業との両立だって苦しい。けれど…太一は迷うことから逃げたのだと思った当方。

 

「社会人の当方から太一に告ぐ。お前に大切な事は『報連相(報告・連絡・相談)』だ。」

 

一人で悩むなよ~。三年も掛けて、内に秘めて恋い焦がれて自爆撤退するって…アカン‼

 

けれど。当然そうは問屋が卸さない(古い言い回し)。新キャラクター、絶対王者の諏訪。

 

「お前…その演技の絶妙さよ」という飄々とした言い回し。東大7回生の諏訪は太一に「君のかるたには迷いがあっていいね」と核心を突いてくる。

「かるたが大好きな人とやるのは疲れるんだ」「君、そんなに好きじゃないでしょう」

 

高校のかるた部は辞めたのに。結局かるたから足を洗えない。諏訪に付いて行く太一。そして太一が導きだした答え。

 

「青春全てを賭けてから言いなさい」

 

当方の脳内に過る。『上の句』で太一が先生に言われた言葉。


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大会シーンも非常に緊迫感があって。ルールがイマイチ分からない当方でも分かるような試合の流れ。けれど決して全て言葉では語らない。「上手いなあ~」

 

新が春に立ち上げたばかりのかるた部との頂上決戦。
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(ところで。かるた部って、そんなニューウェーブが突然トップ取ったりするような世界なんですか?いや、確か『上の句』でもそう思いましたけれど。まあ…漫画ですからって事ですかね。そして新の福井弁、福井の方達はどう思っているんでしょうか?…え?クイーンの京都弁?当方は京都の人間ではありませんが「あんな喋り方をする女子高生は居らん」と思っています)

 

「千年前に詠まれた歌。それが現代の私たちに届くって素敵じゃない」

 

同じ意味合いのある、二つの歌。昔も今も甲乙は付けられなかった。けれど。それでも昔敢えて選ばれた歌は。そして今選ばれた歌は。

 

ここにメインキャラクターの関係性を持ってくるなんて。何だかもう上手すぎてぐうぐう唸るばかり。

 

そして。今を生きすぎていた千早が選んだ未来。

 

「いやあこれ。完璧な完結編」

 

アイドル映画だとスルーしたら。後悔する所でした。

(とは言え。当方のアイドル映画に対する警戒心は緩んでいませんが…)