ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「素敵なダイナマイトスキャンダル」

素敵なダイナマイトスキャンダル」観ました。
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昭和のサブカル(カルト?アンダーグランド?)界を牽引し続けた、数々のエロ雑誌。その編集長末井昭氏。

末井氏の自伝的同名エッセイを。『ローリング』『南瓜とマヨネーズ』の記憶も新しい、富永晶敬監督が映画化。

主人公末井昭を柄本拓。妻牧子を前田敦子。末井の愛人笛子を三浦透子。そして末井の母富子を尾野真千子が演じた。

 

監督、役者、そして劇場で見た予告編。何だか気になって。観に行ってきました。

 

『NEW Self』『ウイークエンド』『写真時代』当方は全く世代が違う…下手したら当方の親ないしは親より少し下世代が分かるのであろう雑誌達。

サブカルなんて可愛い言い方は当てはまらない。猥雑で。下品で。でも必死さが伝わってくる。どうしても皆知りたかった。女の体が。女の生態が。」

 

今は…ありきたりな言い方ですが。本当に「ネットが何でも教えてくれる」時代ですから。そんなじたばたしなくても、知りたい情報は見ず知らずの誰かが教えてくれる。しかも無料で。

当方もそこまで現代人ではありませんが。まあ、少なくともエロい何かを赤面しながら本屋で自己購入した青春はありませんでした。まあそんな話はいいとして。

 

岡山のド田舎で生まれ育った主人公末井。彼の岡山での記憶。それは『肺病(結核)を患っていた母親が隣家の若い息子と奔走し、挙句ダイナマイト心中した』というインパクトのあるもの。

ぱっとしなかった学生時代。高校を卒業し、大阪を経て東京へ上京。始めは工場で働いていたが嫌気がさして。デザインの学校に通い、就職。その頃下宿していた所で、後に妻となる牧子と出会って。

 

順を追って説明するのもあれなんですが。兎に角末井氏の半生を淡々と追っていく内容。

 

小さな看板広告会社に就職。そこで出来た友達近松。彼の影響から目覚めたアンダーグラウンド。そしてエロ雑誌編集へとたどり着いて。そこからはもう。イケイケの時代到来。

 

「少しでもこういう時代を。そして末井氏の事を知っていたらなあ~。」

 

歯切れが悪く…あらすじを追ってお茶を濁してきましたが。

 

「余りにも淡々としすぎていて。氏の半生エッセイのダイジェスト感が半端ない。一つ一つのエピソードは驚く事ばかりやけれど…さらっとしすぎてどこに気持ちを置いたらいいのか…」

 

良い時代だったんだろうなと思う当方。あけすけなエロ。それはひたすら『女のパンツの中はどうなっているのか』という、幾つになっても男子たる男達のあくなき好奇心。そして夢。

「まあでも。そこに参加してくる女の子達もノリノリ」それに答えた女子達の突き抜けた明るさ。そりゃあ男女共ウインウインな関係なんやから。グラビア撮影も楽しかったやろう。

「ちょっとこれ。良くないんじゃないの~」なんて。警察にも呼び出されるけれど。どこか雰囲気はほのぼの。(ほのぼので済まされない。発禁も食らっていましたが。そうすると直ぐにまた新しい雑誌を創刊して~のイタチごっこ)

 

初めての彼女がそのまま妻に。売れない時も(お話の後半。売れた後も)こつこつ自宅で作業を手伝ってくれた妻。牧子。けれど。

飛ぶ鳥も落としていた雑誌編集長時代。雑誌社に入ってきた新人笛子に一目ぼれ。入れ込んでいた日々。

三浦透子の体当たりっぷり。こんなにしっかり脱いでくれるなんて。」彼女の乳を目に焼き付けた当方。

一目ぼれ。なりふり構わず誘ってくる末井に、笛子は初めこそつれない素振りを見せていたけれど。

「あの…。何で笛子はあんな事になってしまったの?そして何で末井氏は笛子への気持ちが冷めていったの?」

単純に飽きたのか。それとも他に彼女が出来たから?どうして二人の気持ちはすれ違った。それ、きちんと描くべきじゃないの?

そして妻牧子よ。出番が少なすぎる。そしてあっちゃん、歳取らなさすぎる。(当方は女優前田敦子は結構高評価していますけれど…って一体何様だ)

 

ダイナマイト心中という「何かもう…激しいなあ。」情念の人、富子。

妻であり、母親であり、そして女だった。

そんな母を持つ末井氏。作品の中でもよく「お前にもお母さんがいるだろうが」と怒られたり諭されては「いや、うちの母親は~」と返していた末井氏。

「末井氏にとって、母親はどういう存在だったのだろう」当然、思う訳ですが。

「いやいやそれはこの映画を観た皆さんが感じて下さいよ~」と言わんばかり。けっして氏の見解ははっきりとはさせない。

妻であり、母親であり、そして女であり…やはり母親であった。んでしょうが。

実在の人であるし「彼にとって母親は」という決めつけは出来ないのも当然ではありますが…何だかすっきりしない。淡々としたエピソードの一つとして埋もれてしまっている感じがして。

 

「余りにも淡々としすぎていて。氏の半生エッセイのダイジェスト感が半端ない。一つ一つのエピソードは驚く事ばかりやけれど…さらっとしすぎてどこに気持ちを置いたらいいのか…」もう一度もごもご呟いて。溜息を付く当方。纏まらない。

 

一つ一つのエピソードを丁寧に追って。破天荒で。時代にもまれながら自身でも時代を作り続けた。そして今も尚、新しい事を続けている末井昭氏。

 

「失礼ながらこれは…連続ドラマとかで作った方がメリハリが出たんじゃ…」あるまじき言葉が脳内に浮かんでしまった当方。

ですが。

 

当時のファッションやセンス。そして役者陣。勢い。それは非常に良かった。そして。

 

「出てくる眼鏡が軒並み汚い」そこには毎度笑ってしまいました。