映画部活動報告「サンドラの週末」
「サンドラの週末」観ました。
ベルギー、フランス、イタリア合作映画。
金曜の夕方。心を病み、自宅療養中のサンドラに一本の電話が入る。
それは、サンドラをこのまま雇用するか。彼女を解雇するれば、皆にボーナスが払えるのだが。という会社のサンドラかボーナスかの選択投票の提案。
それに対し、職場で投票が行われ、多数決でサンドラの解雇が決定したというもの。
職場の同僚の一人が不当性を訴え、月曜日に再投票をする事が決定。
過半数の同僚がボーナスを諦め、サンドラを選ばないと、サンドラは失職してしまう。
味方の同僚、夫に支えられ、サンドラは週末に職場の同僚達に会いに行くが。
当方は、労働組合に属しているわけでは無いんですよ。そして、労働基準法もきちんとは存じ上げません。ましてや、この国の労働の実態等の知識も皆無。
なので、この信じられない映画をどう言えばいいのか…。とんちんかんな事を言うかもしれません。
ただ、社会人としてそれなりの年月やってきた者としての感想は一択。
でも、それを言ったら一発で終わるので、ぐるぐると遠回りをしてみたいと思います。
しかし、きついレギュレーションやなあ。
会社の同僚達。16人。
サンドラを選ぶのは正義。でも、ボーナスを選んだ同僚だって、皆生活がある。
…しかし皆、降って沸いたボーナスを随分と当てにしているんですね。
誰もが苦しい生活をしていて。
でも、生活の為と言う言い訳の方が、まだ理解しやすいんですよ。
「今の人数で回っている。」「病気では働けない。」
身も蓋もない。でも、それはごもっともな意見なんですよ。現場では。
「もう復職出来る。私は元気。」
そう言うサンドラ。でも、安定剤をバカバカ飲んで、明らかに情緒不安定なサンドラ。
こんなの、復職出来たとしても、長くは働けないと思うよ…。
また、サンドラの「働きたい。」「私にも家族が居る。」という言葉。それは、ボーナスを選んだ同僚と同じなんですよ。むしろ、サンドラより厳しい状況の同僚は沢山居た。
つまりは、サンドラへの情と、個々の倫理観以外の押せる力が無いんですよ。
やるせない。
社会人としての当方の意見。
「こんなブラック会社に居る意味は無い。辞めてやれ。」
病気療養中のスタッフの解雇を同僚達に決めさせる。そしてそれが成立する職場。
いい子ぶる訳では無く、当方ならまずこんな投票には参加出来ないですよ。
電話一本での解雇通達。
本人に、一人で同僚達に根回しさせる。
何でまたサンドラも一人で行くのか。第三者を挟めよ…。
投票に対して、管理職のパワハラが存在したとして、こうなった職場の中ではもう証明出来ないですよ。ちゃんと然るべき第三者を挟んで、理性的に話し合わないと。明らかに不当なんやし。
「こんなの物乞いよ」
そうなんですよ。そうとられかねないですよ。
大体、管理職が一人一人に圧力を掛けるのと同じ位に、休みの日にサンドラが家に来るってインパクトが強い。よく皆正直に対応したよ。
目の前のサンドラにはやさしく言ってといて、実際の再投票でボーナスに入れる事だってあると思うのに。無記名なんやし。
そして…やっぱりどう考えてもサンドラは復職したとしても、誰もが気持ちよくは働けないですよ。
というか、ボーナスが出たとしても、それは喜んでは貰えないですよ。
病気療養中。非正規職員。あと出るとしたら産休。育休。その他。下手したら残った者も明日は我が身。
誰も守れない、守らない会社には居る意味は無いんですよ。
小さい会社っぽいし。給料が良い様には見えないし。どうしても働かないとあかんのなら、他を探した方が。
サンドラの頑張りと、賛同する仲間!リアルな展開!サンドラは勝った!みたいなご感想。
…そうなんですかね。
すっきりとはしませんよ。
当方は、久しぶりに苦々しい気持ちになって、あてもなく考えさせられる映画だと思いました。