映画部活動報告「オレの獲物はビンラディン」
「オレの獲物はビンラディン」観ました。
「こんなニコラス・ケイジ見た事ない!」
アメリカ。実在の人物、ゲイリー・フォークナー。愛国主義者。
「一体アメリカ国家はいつまでビンラディンを野放しにしておくつもりだ!」
2001年の米同時多発テロ。その首謀者と目された、オサマ・ビンラディン。2004年になってもなお、ビンラディンの居場所を見つけられないアメリカ政府。連日の報道をテレビで見てヤキモキするゲイリー。
ある日。定例の人工透析中。「ビンラディンを捕まえろ」という神の啓示を受けたゲイリー。
「俺だ」「俺がビンラディンを捕まえるんだ」使命感に燃え。あの手この手でビンラディンが潜伏しているとされたパキスタンへの入国を目論むゲイリー。
そうして。やっと入国できたパキスタン。しかし、その国の人たちは思いがけず温かで。
ゲイリーをまさかのニコラス・ケイジが。でっぷりと太って白髪姿になった彼が演じた。
「こんなニコラス・ケイジが…って。そもそも当方はニコラス・ケイジを語れるほど彼の事を知っているんやろうか?」
いやいや。知りませんよ(即答)。そりゃあ、幾つかは彼が出演した作品も観てはいますが。「あの人やろ。あのいっつも顔しかめていて。目が悪いのか、ウンコ踏んだみたいな顔してる人な」残念ながらこの程度。
ハリウッドセレブの御多分に漏れず。なかなか破天荒な私生活である事も…何となく知っている程度。ですが。
「確かにこんなハイテンションのニコラス・ケイジは見た事なかった…」
(こんなニコラス・ケイジは知ってますが)
実在の人物。ゲイリー・フォークナー。作中の「彼は精神疾患は持っていない」。ただ行き過ぎた愛国心故の奇天烈人物であるとの注釈に「いやいやいや」と首を振る当方。これはちゃんとした精神科医に診察させろと。絶対何か引っかかるはずだと。
「確かにアメリカ大好きなお騒がせおっちゃんやけれど。ビンラディンを憎む心情も分かるけれど…神のお告げ云々を言ったら終わりやで。」
兎に角騒々しい。ホームセンターでは片っ端から客をいじり。酒場では兵士相手にいざこざ。決着を付けるべく、ダーツで競争しようとして連れにダーツの矢を当ててしまう。
そんな「当方なら絶対に関わりたくない」ゲイリーですが。
まあ。基本的には悪意が全くない純粋な人物。だからこそ、破天荒なゲイリーにやれやれと肩をすくませながらも付いてきてくれる仲間達。
前述したホームセンターで再会した、高校時代の同級生マーシ。(また絶妙な肉付きの熟女=褒めています)すぐさま恋に落ちるゲイリー。
独身だけれど。娘を残して逝ってしまった妹の娘を引き取って。10歳の脳性麻痺で車いす生活の娘を女手一人で育てる為、幾つもの仕事を掛け持ちして生活しているマーシ。
障害を持つ娘とも直ぐに打ち解けて。ゲイリーとマーシと娘。3人で仲良く生きていけそうなのに。実際何回かはゲイリーの気持ちも傾くけれど。
そうやってゲイリーの決心が揺らぎそうになると現れる『神様』。
「ずっとお前を見ているからな」「おいおい使命はどうした」。はっと我に返るゲイリー。(そっちの方が正気じゃないけれどな!…という当方の声)
『ヨットでパキスタンに渡る』『パラグライダーで空から降りる』等々。誰かまともな奴は周りに居なかったのかという奇策での入国を試みるけれど。勿論失敗。
そして遂に…(得体の知れないオーラで押し切って)ビザを取得。まともなルートで日本刀片手にパキスタンに渡って。
まあ…一言でいうと「結局パキスタンが楽しかったんやな」勿論目的であるビンラディン捜索もしてはいたけれど。現地の人達とのふれあいを存分に楽しんでしまっていたゲイリー。
「で?ビンラディンはどうなったの?」そこまで書いてしまうと流石にどうかと思いますので…モヤモヤと煙に巻きますが。
「結局ゲイリーはどうなれば納得するんでしょうな」
後からふと思い返して溜息を付く当方。
誰もが知っているとおり、オサマ・ビンラディンは2011年にパキスタンでアメリカ政府に依って発見され、殺害された。けれど。今でも「その報道はデマで、ビンラディンは生きている」という噂は聞いた事がある。
作中あった、ゲイリーへの「捕まえてどうするの?殺すの?」という質問。
「俺は引き渡すだけだ。裁くことが目的ではない」そうかなあ?首をかしげる当方。
「悪い事をしたのはこいつです!」自分が捕まえて。そうやって。愛すべき自国を傷付けた相手が裁きを受けるのを、自分の目でしっかりと見届けたい。
そして、自分の目で確認しなかった事は信じない。アメリカがそんなぬるい対応で許した訳がない。俺たちは世界のポリスだぞ。
確かにカリスマ的な指導者というのは存在するけれど。大きな争いが起きる時、そうなるべき思想の、人々の混沌とした感情は既に渦巻いていて。それが大きな一つの流れとなって行動に起こされる。流れをまとめて誘導する力を彼らは持っていたりするけれど。けれど。
これまでの戦争だってそうやって生まれ、痛みと共に終わった。争いは決して一人の人間で起こせるものではない。そう学んでいるはずなのに。
最悪の事態が起きた原因である首謀者は徹底的に見つけ出して潰さなければ。
「何かそれって…そういう考え方って。上手くいえないけれど。アメリカ人は共感したり笑えるのかも知れないけれど…笑えないよ。」もごもご歯切れが悪くなる当方。
ただ哀しくなるばかり。
まあ。実在の人物の行動が基とはいっても。どこまでが史実に沿っているのか。一応カテゴリーとしてはコメディに振り切っているので。そんな深刻な感じでは一切ありませんでしたが。
「後、こんなに好き勝手な事していたら死ぬって!」
どうやって生きて来たのか?だって隔日で透析しているんでしょう?水分調整が非常にナーバスな透析患者ががぶがぶ酒飲んで。どう見ても透析なんて出来ない環境に何度も身を於いて。そんなの、絶対無理!!透析施設ったって、その患者の情報も知らずにいきなり出来ないって!!駆け込み寺じゃないんやから!!
心の中の当方が大声で立ち上がって吠えた、『ゲイリーの透析事情』。いや、当方だって透析した事がある訳じゃないですけれど。けれど。あれってベットにしっかり寝ながらじゃないと相当しんどいらしいし。なんですか。アメリカってソファーに座って透析するんですか?
不良患者ゲイリー。それが気になって気になって。正直集中出来なかったです。
お騒がせアメリカ人、ゲイリー・フォークナー。実際の彼がエンドロールで現れた時。想像以上にニコラス・ケイジの役作りが忠実であったと感心しましたが。
ともあれ。当方はこれ以上、ゲイリーについて追わなくていいなと思いました。