ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ガンズ・アキンボ」

「ガンズ・アキンボ」観ました。
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ネットのコメント欄に過激なコメントを書き込む、所謂「クソリプ」で日ごろの鬱憤を晴らしていたゲーム会社に勤めるプログラマー、マイルズ(ダニエル・ラドクリフ)。

ある日。殺し合いを生配信する危険なサイト『スキズム』に書き込みをしたことで、配信者たちに襲撃され…目が覚めたら両手が拳銃に固定されていた!

「元に戻して欲しければ『スキズム』最凶の殺し屋ニックス(サマラ・ウィーヴィング)を24時間以内に殺してこい。」

殺しなんてとんでもない。なのに…未練たらたらの元彼女、ノヴァ(ナターシャ・リュ―・ボルディッゾ)が配信者たちに人質として拉致されてしまった。

四面楚歌。一切の逃げ場のない中。果たしてマイルズは二丁拳銃(アキンボ)を武器に窮地を脱し、ノヴァを救う事が出来るのか?!

 

 「近年のラドクリフは面白い。」

誰もがお馴染み『ハリーポッター』シリーズ。主人公ハリーポッターダニエル・ラドクリフとして子役時代を過ごしたラドクリフ

第一巻『賢者の石』を読んだ義理で一応シリーズ本全巻読了。「何曜日のロードショー」でテレビ鑑賞ながらも映画化作品も全て観た。全然嵌っていなかったけれど、かといって文句を言うほどでもない。当方にとってハリポタシリーズはそういう可もなく不可もないコンテンツでしたが。

 

「ところが。近年のラドクリフはすこぶる面白い。選ぶ作品が概ね尖っている。」

思いついたところで言うと、「突然頭から角が生えたり、牢獄から木製の鍵で脱獄を図ったり。」

そして…「死体になったり」。

2017年日本公開の『スイス・アーミー・マン』。無人島に漂着した青年と便利過ぎる死体との友情?を描いた作品。あまりにも当方の心に刺さり過ぎて、劇場公開中に映画館に3回足を運んだ挙句Blu-rayも当然購入。その年の『ワタナベアカデミー賞作品賞』に選んだ…それぐらい大好きな作品で、当方のラドクリフに対する株は天井突破。

以降。「ラドクリフが出る」と知れば俄然と興味を持ってしまうのですが。

 

「ああもう兎に角主人公マイルズが情けない。」
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ゲーム会社のプログラマー。うだつが上がらず、ネットサーフィンに明け暮れ色んなサイトに炎上スレスレのクソリプを飛ばす日々。そんなマイルズが見つけた、ヤバすぎる闇サイト『スキズム』。

 

「結局皆が見たいのはこういうヤツだろう?」そう言って視聴者を煽る。

犯罪者。サイコパス。兎に角倫理観のタガが外れた連中を集めてリアルに戦わせ、片方が死んだらゲームオーバー。それを生配信でお届けする。

 

酒を片手に。『スキズム』にもいつものノリでクソリプを飛ばしまくっていたら…おっかない連中が自宅に乗り込んできた。

あっけなく気絶し目を覚ますと…両手は銃に固定されていて。しかも『スキズム』史上無敵の女殺し屋ニックスを24時間以内に殺せと命令された。

 

ただのネット弁慶で犯罪歴なんて当然なし。そんな一市民マイルズに突然降りかかった殺人のミッション。

断るという選択肢は皆無。両手はしっかりとボルトで銃に固定されている。自分の姿はドローンで撮影され終始配信されており、数多の閲覧者に監視されている。

しかも。ふとしたきっかけから、久しぶりに会う事になっていた元恋人ノヴァ。あわよくば復縁…も期待できた甘い甘い雰囲気から一転。『スキズム』を運営するイカれた連中に拉致、「いう事を聞かないと彼女の命はないぞ」と人質に取られてしまった。

 

「やるしかない」「でも怖い」「逃げたい」「もう嫌」

へっぴり腰。戦いたくなんてないのに。対決が決まった途端、目の前に現れてはしつこく命を狙ってくるニックス。

逃げ回るけれど、ニックスも配信者たちもマイルズを追ってくる。

 

「全身の力を抜いてただ身を委ねればいい作品。」

 

「人は何故人と人が争う姿に興奮するのか。」「犯罪が犯罪を生み続けるというロールケーキ現象。」「幼い頃のトラウマから生まれた哀しき殺人鬼。」なんて要素もあるにはあるんですが…何一つ深堀しない。「そんなしんみりした話はどこか別の誰かがやってくれるわ!しゃらくせえ!」と言わんばかりのドライな展開。

人の命が驚くほど軽い世界線で。次々と殺されていく登場人物達。「どうして?嫌味なだけで…」「席が近いだけで」理不尽?知ったこっちゃない。

 

兎に角無双の殺人犯、ニックス。
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映画における女子=ヒロインのポジションなんて目もくれず。清々しいまでに銃をぶっ放し、男たち(の股間)を蹴り上げる。

そんなニックスの生い立ち。「何故彼女が殺人犯になったのか~」が語られるシーンなんかもあるにはあるのですが…そこから想像出来た感動展開を直後にあっさり砕いてしまう。何しろ人の命が軽いもので。

 

まあ…正直「何やこれ」の連続でお話は転がり続けるし、突っ込むとキリがない。

けれどそんなのは最早無粋。ひたすら情けなくも愛おしいマイルズの荒唐無稽な成長ストーリーだと思って身を委ねるしかない。

 

「そもそも。両手をがっつりボルトで固定されるって。マイルズは痛みを感じないのかね?」「痛みと神経損傷で銃なんて扱えないと思うぞ!」「抗生剤投与と傷口を清潔に保たないと!破傷風になるって!」そんなまともな突っ込みをしていては、物語に全く集中出来なくなってしまう。

寧ろ。「そっか~。両手の自由が利かないとトイレも大変やなあ。」「スマホを操作するのも服を着るのも一苦労。」力の掛け方を間違えば銃をぶっ放してしまう。それは怖い。慣れるにつれ、かなり動けるようになっていましたが。そんな不自由な動作を一生懸命やろうとするマイルズの姿に笑ってしまう。(当方が特に苦笑いしたのは、あの謎肉棒を食べさせられていた時でしたね。隣に落ちていたアレから何となく想像する「何の…肉なの、それ?」という下品さ。堪らん)そういうドタバタを楽しむ作品。

 

二大ヒロイン。殺人犯ニックスと元彼女のノヴァ。どちらにも華を?持たせながら、それでも安易にマイルズと惚れた腫れたの展開はにもっていかなかったのには好感が持てた当方。

 

まあ。そもそもの鑑賞理由が「ラドクリフを観たいから」なんで。目的は達成している。「こんな演技も出来るんやなあ~」という引き出しをただただ愛でる。

物語は荒唐無稽でちょっとアレなくらい人が沢山死ぬけれど…そこは薄目で思考停止するしかない。頭を空っぽにして楽しむ。それが一番。

上映時間98分という絶妙な時間配分がまた。ちょうどいい感じの作品。

 

「近年のラドクリフは面白い。」本当にねえ…今後も楽しみです。