読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「スウィート17モンスター」

「スウィート17モンスター」観ました。

f:id:watanabeseijin:20170427075156j:plain

ネイディーン17歳。

子供の時からずっと勝ち組の兄を持ち。比べて、自分は変わり者で負け組だと自覚。母親は不安定。唯一の理解者であった父親はネイディーンが11歳の時他界。
時が経って。すっかりイケメンになった兄。いじけて屁理屈ばかりを言う、いけてないネイディーン。でも構わない。ネイディーンには幼馴染のクリスタが居るから。二人は親友。クリスタには何でも言える。分かり合える。リラックスして、自然でいられる…なのに。

まさかの。兄とクリスタが今更恋に落ちてしまう。裏切られ、ひとりぼっちになってしまったネイディーン。

愛すべきネイディーンの何とも不格好な、ドタバタな日々。

f:id:watanabeseijin:20170427234802j:plain


「これは当方の話か」(震え声)

いや。当方はぴったりこんな青春は送っていませんがね。ですが…何しろネイディーンのあれこれ。身に覚えがありすぎて。悶えて震えて…いたたまれなくて。

奇抜な恰好。というか古着と一点アクセントを置いた着こなし(スニーカーに拘り)。誰彼ともなく何でもチャチャを入れる。そういうのが粋だと思っている。

過剰な自意識。他人と比べて自分は劣っている、変わっていると主張するが、深層では寧ろ自分は他人とは違うステージに居ると思っている。だから他人から理解される訳が無いと周りを見下している。自分には特別な何かがあると思っている。でもそれが何かという探求も、努力もしない。一生懸命な人を馬鹿にはしていないが、茶化してしまう。ユーモアのセンスがあると思っているが、どこかずれている。大人はみんな馬鹿。

「恐ろしい。全部覚えがある…」

ネイディーンの親友。クリスタ。彼女の存在はネイディーンの心の支え。
恰好良い男子にミーハーな熱を上げて見せるけれど。特にアタックする訳でもない。恋なんてものはどこか現実離れしていて。でもいい。クリスタが居れば。

f:id:watanabeseijin:20170427234442j:plain


「二人で可愛いお婆ちゃんになろうね」作中にこんなセリフはありませんでしたが。

「女同士にそういう友情は成立しないんだよ!」(なぜか立ち上がる当方)

案の定。母親が旅行で不在の夜。
自分は酒に酔い潰れてトイレで寝ていた、そんな夜に。
まさかの親友クリスタと兄の急接近。

「どうせ酔ってやっちゃっただけよ!」ところが。何だか上手くいって。正式に付き合い始める二人。ネイディーンとクリスタの友情終了のお知らせ。

荒ぶるネイディーン。暴走止まらず。

クリスタには「私か兄かどちらかを取って」と無茶振り。兄にはボロクソに言い。母親には甘えたりダダをこね。好意を寄せてくれているクラスメイトのアーウィンを振り回し。かねてからおちょくっている担任教師ブルーナに絡みまくり。あまつさえ、ミーハーに騒いでいた男子にまでメンヘラを突き抜けた「サイコなメール」を誤送信してしまう。

「誰か!誰かネイディーンを抱きしめてやってくれ!」悲鳴の止まらない当方。

不器用にも程がある…当方にも覚えがあるんで何とも言えないんですが。こういう時期のこじらせた自意識って、その後の人生に於いてだいぶん引きずるんでね…早く手を打たないと駄目なんですよ。

「私はどうせ変わっているから」「私を理解出来る人なんていない」「周りの常識的な奴なんて皆馬鹿」そうやって自分で自分の周りに壁を作って。そのうち誰もその壁は越えられなくなってしまう。それどころか壁の内側に人がいるなんて思わなくなる。

そしていつしか自分で作ったその壁で、自分も周りの景色が見えなくなってしまう。実はずっと待っているのに。誰かが迎えに来てくれるのを。「私の事を理解してくれる誰か」が。

「げに恐ろしき『自意識の壁理論』(当方の持論)よ」

ネイディーンのこねる屁理屈の全て。「そっくりそのまま貴方にお返しする。ただ…耐えられないと思うけれど」

「貴方まだ何者でも無いよ」


「この最悪な世界」そうですかね?少なくともネイディーンの世界。気持ちを落ち着けてゆっくり見て見たら。結構捨てたもんではないですよ。


「担任教師のブルーナ。最高」

f:id:watanabeseijin:20170427235622j:plain

一人でゆっくり過ごしたい昼休憩。なのに毎回突拍子もない事を言って来るネイディーン。追い返す事も、いい加減な対応も出来る。なのに。
毎回大人の余裕。ウイットの効いた対応。いつも冷静で洒落がきいてる。そしてサラッと言える。「君は僕のお気に入りの生徒だからね」

f:id:watanabeseijin:20170427235701j:plain

「ネイディーンよ。これが大人だ」
見習うべき、目指すべきはこの担任教師。


ネイディーンに想いを寄せるアーウィン

f:id:watanabeseijin:20170427234600j:plain


「めっちゃめちゃキュート!才能もあって。(お金持ちで)仕草も表情もネイディーンに振り回される所も可愛い過ぎる。そして自分の世界をしっかり持っている。これは絶対に逃したらあかん案件やないか!」
夜の遊園地デート。自宅プールデート。なんなん「ホーム・アローンごっこ」って。当方ならノリノリで食いつきますね。


そして兄。

f:id:watanabeseijin:20170427234610j:plain


イケメンで。いつも自信満々。自分はいつも自分に自信が持てないから。だから兄が憎たらしくて。しかも唯一の親友も兄に取られた。でも。

「お兄ちゃんだって、見えない所で努力しているんやで」静かに口に出す当方。

まだ子供だった時に。一家の大黒柱であった父親を失った。残されたのは、頼りない母親と幼い妹。自分がしっかりしなければ。この家族を支えなければと言い聞かせたのであろう、兄。
(そしてお兄ちゃん。実際には別に嫌な奴でも嫌味な奴でも無いですからね)

でも。ネイディーンだって、そこまで子供な訳では無い。

兄が嫌な奴じゃない事は分かっている。兄とクリスタの事も、祝福するしかない。軽い気持ちで絡んでいた相手達のバックヤードの深さ。自分とは比較にもならない世界を彼らは持っている。ちっぽけなのは世界ではなく、壁を作りまくった自分。

素直になれなくて。強がって。でも、周りが自分を置いていくのではと気が気じゃなくて。自分が変わるしかないんやろうけれど。それは怖くて。結局スマートに動けなくて。みっともない事ばかりしてしまって。泣きそうで。誰かに見つけて貰いたくて。抱きしめて欲しくて。

「大丈夫」

ネイディーンを取り巻く世界は温かい。

余りにもシンクロする気持ちが多くて。悶えて苦しくなりましたが。

17歳で。その壁から光が見えたネイディーンを羨ましく思い。

「出来れば17歳でこの作品に出会いたかった」

歳老いた当方は、古くなった自身の壁を見回すばかりです。

f:id:watanabeseijin:20170427234649j:plain