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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ドリーム ホーム99%を操る男たち」

「ドリーム ホーム99%を操る男たち」観ました。

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サブプライム・ローン。リーマン・ショック…。ふんわりとしか知らない。己の無知を今回改めて調べる事になりました。映画は時にうかうか観ていられません。勉強になります。

アメリカ。若い土木作業員のシングルファーザ―の主人公。自宅で美容院を営む母親。小学生の息子。
一軒家につつましく暮らしていた3人。贅沢は出来ないけれども。何は無くとも楽しい我が家。

しかし。再三家賃を滞納しており。裁判でも敗北。立ち退き宣告不可避。そしてやってきたXデー。

無慈悲に追い出された一家。取りあえず荷物を纏め、住み慣れた我が家を後にし。転がり込んだモーテル。そこからの再出発。
でも。日雇いなどで生計を立てている主人公では、生活の基盤も整わず。

数日後。「取りあえず荷物を纏めた」時に大切な商売道具を失ったと気づいた主人公。立ち退かせた不動産業者に怒鳴り込みに向かう。

そこで遭遇した出来事をきっかけに、そのにっくき不動産業者に雇われることになった主人公。

始めは「日々の生活のため」それが次第に「住み慣れた家を取り戻すため」となり。しかし時がたち。場数を踏む事で、見えなくなっていく自身の正義。

「しっかし。あの立ち退きシーンの最悪さ」


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やっぱり、お金を払えないのは圧倒的な負け。残念ながら当方はそう思います。

でも。でも、誰がそんな事態を考える?「自分が家賃を払えなくて、今日家を失う」なんて。

「ちょっと待って」「今弁護士と話してる」「本当に今日?」「また後日来て」必死の攻防。でも通用なんかしない。銀行と不動産業者。
「むしろ、今はお前たちが不法侵入者だ」「2分以内で荷物をまとめろ」

でも。母親と息子と。大黒柱なのは自分。生きていくしかなくて。

自分がそこで育ち。息子もそこで生まれ。そして育っていくはずだった。その我が家。それを取り戻したくて。


不動産業者社長。
頭の回転の速い。やり手のクソ野郎。

「俺だって、元々は上流階級じゃないんだよ」からの、父親の悲しい話。そして「この国はな。勝者の、勝者による、勝者のための国なんだよ!」という叫び。

俺は負けんぞ。成り上がってみせるからなという野心。

「俺だって、こういう事をされたんだ。だから絶対のし上がってやるんだ」そして、主人公の「俺が稼いで、家を取り戻したら。家族は幸せになれる」
どちらも、言い聞かせているのは他人では無く、自分自身。

銀行と表裏一体と見せかけて、犯罪すれすれ(と言うか違法)の手口を駆使して金をかすめ取る。最早、何の為に?

誰からも愛されず。憎まれ。何故こういう事を続けるのか?…必死に自分自身に言い聞かせる「理由」
でも。純粋にそれだけで動いてきた時とは、今は違う場所に来てしまっていて。自分の行動の根拠の足場なんてもう無い。

大体、不動産を扱う者が「家に思い入れるのはやめろ。あれはただの箱だ」これを言ってしまってはお終いですよ。

結局、彼らは箱を集めるだけ。中身の無い「ただの箱」を。

何は無くとも楽しい我が家。欲しいのは小さくてもいい。家族が笑顔で過ごせる終の住処。(あのお爺ちゃんの姿に、全当方が泣いた…)

箱というハード面ではなく、大切なのは中身の人間というかけがえのないソフト面。

何もかも見失ってしまいかけた主人公の最後の判断。そしてもう自力ではどうすることも出来なかったであろう社長の姿。

「99%を動かす1%の人物達の姿云々」とタイトルについて見かけましたが。当方は「99%の非道を戻した、1%の良心」と思いたい。

これで良かったんだと言い聞かせて劇場を後にした当方。ですが。

一晩寝て。社長の幼い3人娘の姿がふっとよぎり。彼女達が負うであろう転落と失望に思い至り。(他の関連した人物達は、まだどうにか自己解釈してくれそうな気がする)因果応報とは思えず。

「本当に夢の家だよ…」思いがけず、皮肉な上手い日本語表題に唸るばかりでした。