ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「犯罪都市」

犯罪都市」観ました。
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韓国。カン・ユンソン監督作品。

2004年。実際に韓国であった『朝鮮族組織一掃作戦』を基に。

警察対新興してきた鮮族中国マフィア対地元韓国ヤクザの抗争を描いた。

 

韓国随一の上腕俳優(当方命名)。
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マ・ドンソク主演。

 

2017年日本公開された『新感染ファイナル・エクスプレス』
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「おいおいおい一体何だいあの人間ダンプは!そしてなんて漢気かね!」

御多分に漏れず。当方も「Tシャツ姿で腕にガムテープを巻きつけてゾンビに対戦!」「そして無敵!」というマ・ドンソクに釘付け。

強面。そしてその体から放たれる破壊的な腕力。「ハルクを地でいける」まさかのアジア人でそんな…。なのに…何だか可愛い。笑顔が可愛い。

マ・ドンソク=ラブリーと掛けて『マブリー』と呼ばれる彼。(当方も今後その表記で行きたいと思います。単純にタイピングが楽になるので)

 

実際の人となりは全く知らないのに。何故か「曲がった事が大嫌いなわんぱくマブリー兄さん。自分が大切に思う相手はとことん守るけれど…悪い奴には容赦しないぜ!」というイメージ。

そして今回も。正にそんなキャラクター。強行班副班長マ・ソクト刑事(日本で言う暴力団担当:マル暴)を演じておられました。

 

古き良き?強行班と地元ヤクザの関係。

互いに縄張りを持って張り合う地元ヤクザを見張り。いざこざが起きれば鉄拳制裁。ヤクザ達にはちょいちょいおいしい思いもさせてもらって。(と言っても金銭の授受等では無く。本当に彼等の店で美味しいお酒と食べ物をご馳走されて。綺麗なお姉さんと遊ぶという微笑ましい感じ)

決して綺麗な所ではないけれど。そうしてこの町の治安を維持してきた。けれど。

 

中国からやってきた新興勢力『黒龍組』の3人。朝鮮族中国マフィア。

 

「借金返せ」そして「絶対に約束した金は頂く」という執念。圧倒的な強さと血の通わない冷酷さで地元ヤクザを次々なぎ倒し。

勢力図が混沌としていく中。「あいつは絶対俺が殺す」「俺が殺る」「子分がえらい目にあわされたんだぞ」「舐めるんじゃねえぞ馬鹿が」次第に地元ヤクザの中枢も色めき立って。

 

最早無法地帯。町は数多のアウトロー達が跋扈するようになり。一般市民も巻き添えを食う有様。

 

歯ぎしりしながら。(してませんでしたが)一刻も早く奴らを一網打尽にするべく、強行班達が立ち向かう。

 

まあ。そういう話なんですが。

 

本編121分。全て「ありがとう!マブリー大好き!」「眼福!」というマブリーをひたすら愛でる作品。

「こんなの。日本ではピエール瀧しか着れないよ」というヤクザまがいファッション。革ジャン。ゴルフセーター。ピッチピチのスーツではあはあ言いながら全力疾走。

 

危ない相手だろうが、自分より大きい熊みたいな男にも、強靭な上腕からフルスイングのビンタ。「あんなの受けたら脳震盪で意識が飛ぶよ!」案の定倒れこむ相手達。

なのにちょっとお茶目な面もあって。唯一の上司班長(怒りん坊)をなだめすかしながらもおちょくったり。地元ヤクザにも慕われ。

部下や食堂で働く少年、そして商店の人たちにはやさしく。

けれど。マブリー単体が良いだけではなくて。

 

強行班のチームワーク。(つい先日『タクシー運転手』では悪役でしたな!)いつも悪役なイメージの強面班長。そして愛する部下達。

 

地元ヤクザのナイスな面々。『さかなクン』『小峠さん』なんて勝手に脳内で呼んでいた彼らの愛嬌と、「でもやっぱりヤクザやねんな」という熱気。

 

そして何より。朝鮮族中国マフィア3人組。

3人とも良かったけれど。特にそのトップ、チャン・チェン(ユン・ゲサン)。寸分の乱れも無い、完璧な悪役。

瑛太榊英雄を足した様な」という例えを見ましたが。当方は『ロバートの秋山(が痩せた感じ)』何しろ恰好良いんですよ。ビジュアルが。

ユン・ゲサン、元アイドルで歌手。今回何者なんだと調べて。彼の爽やかな画像を見て。「よくこういう役でキャスティングしようと思ったなあ~。そして受けたなあ~」と感心する事しかり。もう…素晴らしかった。(当方の語彙力の貧相さよ)

 

韓国映画やなあ~」「警察も含め、誰も銃を所持していない」「警察の武器。せいぜい鉄棒」「アウトロー達のメイン凶器刃物!」「手斧なんて普通携帯してないぞ!後、あの独特な長い包丁は何?『腸裂き:主に牛の小腸を割く為の包丁』ですか?こちとら牛刀文化なんで…あの刃物が分からん」「そしてそんな刃物を振り回す相手にビンタと体当たりで対抗するマブリー!最高か!」

 

そして。お馴染み韓国映画飯に反応する当方。

「またもや最後まで食べられない、韓国刑事飯」「ああまた。食べている途中で机ごと蹴られた」「あのビニール手袋して食べる海老。何」ニヤニヤが止まらず。

 

余談ですが。この春から当方の働く部署に配属された21歳女子。

彼女の「韓国が好きでしょっちゅう行きます」という言葉に反応した当方。

「実際に行ったことは無いんやけれど。韓国映画は結構好きで。」「あの韓国映画飯が。」「韓国随一の上腕俳優。」「すいません。分からないです。」即座に打ち切られた当方。溜息。

 

最後の最後まで。終始楽しめる『マブリー映画』。間違いなく笑顔で映画館を後に出来る。なのにその楽しさを職場では伝えられない当方です。
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映画部活動報告「君の名前で僕を呼んで」

君の名前で僕を呼んで」観ました。
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とあるイタリア。1983年。夏。

主人公エリオ17歳と。大学院生オリヴァー24歳。ひと夏の恋。

アカデミー賞、主演男優賞ノミネート。ティモシー・シャラメ。撮影当時19歳。

 

大学教授の父親の元。ひと夏の滞在で出会った大学院生オリヴァーと。教授の一人息子エリオ。

誰にでも社交的なオリヴァーに魅せられてしまったエリオと。その流れに抗えなかったオリヴァー。

 

成人男性。と言ってもまだまだ未成熟な20代前半の男性と。自身の恋する対象も定まらない。けれどひたすら情熱的で刹那的。そんな17歳の恋。

 

誰でも幾らでもポエミーに仕上げられそうなので。当方は完全にマニアック路線で好き勝手にこの作品の感想を書いていきたいと思います。(もうお気付きでしょうが。当方が今回、真面目に本作に触れない可能性は過分にあります。ご了承下さい)

 

『これはBL作品なのか』

そもそもBL作品って何なのでしょうね?

『BL=ボーイズラブ』という男性間に於ける同性愛作品群とは当方も認識。この機会に先日勇気を持ってとある休日の半日、布団の中でひたすらBL漫画作品を読んでみました。(たまたま布団から出たくない休日に読んでみた。そしてその際変な所を踏んだせいで個人的に大変な目に遭った)

「BLって『ムカデ人間2』みたいな…ひたすら作業工程に拘ったテイスト」結果ぐったり疲労した当方の下した見解。

「『ムカデ人間』というマニアックホラー。その「人間の肛門と口を結合したらムカデみたいに人間を繋げられる」というワクワクレギュレーション。でもそれは所詮夢でしかなかったのに。それを熱く語った結果。続編では「作ってみたい」という人間が現れた。続編はそんなワクワクさんに依る『出来るかな=ムカデ人間2』」という構図。

勿論登場人物間に恋愛感情はありそうだけれど。それよりも結合ありき。エロ到達までの工程重視。

作業工程を描く美学。(でも。男性の求めるワンオペエロも結局は同じく即物的なモノ…超個人的なエロって性差無いんですね)

 

あらかじめ誤解の無いようにしたいのですが。

リアル界では当方は如何なる恋愛のスタイルであれ。そこに恋愛の要素があれば否定はしません。ですが。

 

きっぱり。「結局BLというジャンルを愛する人の求めるモノは『エロ』でしかない」

それが『異性愛』というポピュラーなものでは無く『同性愛』というだけ。

(この際、女性同士みたいなジャンルまでには…全く手が伸びませんでした。)

数多あるエロに反応する、そのフックの一つ。

身も蓋も無い言い方をすると男女のセックスが棒と穴の関係であるとするならば。そしてそれを求める欲求こそを正常とするならば。異常となってしまう「俺は男なのに」「おかしくなっちゃう」。

そこに反応。背徳心からの盛り上がり。異性間の通常オフィシャルセックスで使用しない穴を使用している、その使用方法。(完全に偏った私見です)

 

20代の当方が崇拝した姫野カオルコ氏。(直木賞作家)彼女がエロ作家でありこじらせ作家であった時に語った言葉。『同じ事象をあけすけに書けばそれはエロであり。高尚に書けば文学であり…(今現在手元に著書が無く言い回しウロ覚え)』。

 

だらだら書きましたが。つまりは…これはBL好きのご腐人には物足りないBL。しかし、当方の様なエセ文系サブカル野郎には文学作品やったという事ですよ。

 

夏休み。恒例の大学院生が自宅にサマーキャンプ。

そう思っていたら。何だか気になる学生がやって来た。誰にでも社交的で。明らかにモテそうで。実際に地元の女友達だって狙っている。

自分にも好意を寄せてくれている女友達が居る。自身の性衝動はその子で処理出来る。だから大丈夫。この感情は何でもない。そう。何でもない。

 

「結構その感情が決壊するの早かったですね」

17歳の若さゆえか。主人公エリオ爆発。そうすると猪突猛進。そりゃあそうでしょうよ。そうでしょうよ!(何故当方がこんなにキレているのかというと…この映画的なTHE夏休みな絵面が…次第にふんわり腐っていくからですよ)

 

「だってあいつら。終始上半身裸で短パンなんやで」当方の叫び。夏とは言え!身内以外には肌を見せてはいけませんよ!(平安時代の日本なんて簾越しでしか貴族とは会えなかったんやぞ)

 

「だけど 気になる」そうやって惹かれる相手。散々(上半身)裸を見せあって。そして「多分…同じことを思っている」という告白。そして「俺の秘密基地」でのチュウ。積極的なアプローチ。そして…ああもう。当方が予習したBL世界‼。

 

「もうなんだっていいんですけれどね。食べ物で遊ばんとって貰って良いですかね」

しごく真顔で発声する当方。

 

「ところで。これってどう着地するつもりなんやろう」途中から。そう思い始めた当方。

 

聡明で。ハイスペックな両親と暮らす高校生の主人公。自身は地元の仲間から浮いている訳でも無く。同級生の一人(女子)といい感じ。

 

ひと夏の留学生なんて放っていても成立した17歳の夏。なのに。どうしようもなく惹かれてしまった相手。止められなくて。

 

「でも。この大学院生からしたら…正味ひと夏なんやで」そう過った当方の…心の歪み。でも…。

 

「自分にとっては一生に一度の恋」「でも相手にとっては?」

 

「10代なんやなあ~」としゃがみ込んだ当方。恋は一度きり。恋は一度きりだった。そうだった。確かにあの時恋は一度きりだった。でも。今は知っている。恋は一度きりではない。そして。

 

「両想いって、奇跡なんだぞ」

 

何処から見ても完璧であった両親。彼等の存在があってこそ。主人公エリオは救われた。そう思うのに。

 

「まだ4月やけれど分かる。ワタナベアカデミー賞『タイトルコール』及び『エンドロール』の部門で挙がる事を。このティモシー・シャラメの顔、堪らん」震える当方。

 

ところで。「君の名前で僕を呼んで」というエクスタシーに関しては、当方は全く琴線に触れませんので。どなたからかご教授頂きたい次第です。

 

映画部活動報告「タクシー運転手 約束は国境を越えて」

「タクシー運転手 約束は国境を越えて」観ました。

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1980年5月。韓国。

当時の軍事政権化を案じた民衆による反政府デモ。韓国各地にて主に学生が中心となって行われていた。

 

『広州事件』1980年5月18日~同月27日に掛けて広州市を中心に行われた反政府蜂紀。

その数約20万人。当時実権を握っていた軍はデモ参加者たちを『暴徒』とみなし。

市民たちに武力行使広州市治外法権と化した。

しかも。韓国政府は情報規制を行使。新聞をはじめとするメディアをに圧力、又は情報提供を拒否。そして広州市を封鎖、孤立させる事で社会との繋がりを遮断した。

 

当時日本に駐在していた国際ジャーナリスト、ピーター。「韓国がおかしい」記者仲間の「懇意にしていた現地記者と連絡が取れない」との情報を得て。

単身韓国ソウルへ。現地の別記者と落ち合って。「広州市が危険な状態に陥っている」という情報を入手。

公共交通機関が軒並み使用できない。そんな状況で。「タクシーで連れて行ってもらう」という選択をする。

 

前評判が物凄く高かった作品。加えてソン・ガンホ主演。これは観に行かなければと。指折り数えて公開を楽しみにしていました。

 

そして鑑賞。明るく幕を開けたこの作品が。次第に悪雲が立ち込め初め…そして最終胸熱の漢気集団とまさかのカーチェイス。そしてしんみりと幕を閉じる…とんだオペラ作品。

主人公のタクシー運転手マンソプ。妻に先立たれ。11歳の一人娘と二人暮らし。

生活は苦しく。家賃も滞納。

そんな時。昼食を取っていた食堂で聞きつけた「通行禁止時間までに広州に行って戻って来たら大金を払う客をこれから乗せる」という別会社の運転手の話。その額、丁度自分が滞納している家賃と同じ。

早速抜け駆け。件の運転手を先回り、客との待ち合わせ場所に駆け付けたマンソプ。無事ドイツ人記者ピーターをゲット。

片言の英語。そしてピーターも韓国語は話せない。そんな二人は一路広州へ向かうが。

 

恥ずかしながら当方は『広州事件』を知りませんでしたので。「たった38年前に…こんな‼」と衝撃を受けました。

広州事件そのものも衝撃でしたが。それよりも『情報規制』の恐ろしさ。

 

この作品から「韓国政府の軍主体の時代」「権力を持つ者の暴力が跋扈する恐ろしさ」というメッセージも勿論感じましたが。何より「何が起きているのかを、現場に居る者以外誰も知らない」無関心以前の問題という恐怖。

 

主人公のマンソプ視点で終始話は進みますので。始め、ソウル市街で学生デモに遭遇しても「あいつら…勉強しろよ」と。ただ迷惑な若者が騒いでいるだけだと顔をしかめ。

そんな彼が。お金目当てで飛びついた、客のピーターと『地獄のドサ廻り』をしたことで。表情が変わっていく。

 

「こういう有事の時。当方はどういう行動を取るのだろう。」

 

平和な時代に生まれ。一般的な教育、道徳を学んだ当方。「悪い事は悪いと言う」「正しい自分でありたい」そう思いますが。

しかし。実際に何かしらの有事が起きた時。果たして当方はどういう状態なのか。家族や守るべきものの存在は?仕事や立場は?生活は?思想は?

「何が正しいのかという価値観は流動的である」揺るがない信念、というものもあるにはありますが。

「後から思えば卑怯だと思う事は?後からじゃなくても、常に自身に真摯であると言えるのか」「聖人君子では無い」

 

マンソプ。人間味溢れるキャラクターをメインに置いた事で、観客たちは正直な気持ちで作品と付き合えた。

そもそもピーターが何を目的として広州に行こうとしているのか。彼は一体何者なのか。それすらも途中まで知らなかった。興味も無かった。マンソプにとってはただの『上客の外国人』というだけ。

何度もあった通行規制をかいくぐって。広州入り。そこで初めてマンソプはピーターが記者である事、そして広州の実態を目の当たりにする。

前半の。どこかユーモラスでもあった雰囲気から一転。広州に入って以降、後半は眉を顰め、終始溜息の展開。

『地獄のドサ廻り』から何回か逃げようとしたマンソプ。けれど、彼を臆病だとか卑怯だとは言い切れない。

11歳になる一人娘。娘との二人の生活。それがマンソプの全て。だから。兎に角娘の所に帰りたい。何も知らずに留守番している娘に会いたい。

おんぼろタクシーの故障に依って帰れなくなった夜。けれど広州から外部に繋がる電話は無くて。娘を心配して涙するマンソプ。

何故俺がこんな危ない目に合わなければならない。何だここは。一体何なんだ。

 

「しっかし、広州タクシー軍団の漢気よ」

ユ・へジン演じるファン運転手。もう彼が…(涙で声を震わせながら)滅茶苦茶良いんですわ。


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ソウルからやってきた、憎たらしい運転手。金にがめつい、喧嘩早い。積極的に関わりたくない相手なのに…困っているなと思ったら声を掛けて助ける。

夜に突然成人男性3人も連れてきて「何か食べさせてやってくれ」。当方があの妻なら激怒ですが…まあ、そんな懐の深さ。

とんだ修羅場をかいくぐった夜が明けて。早朝逃げ出そうとしたマンソプに「当たり前だ」と『ソウルまでの抜け道地図』なんかを渡してくる。

 

タクシーで一人広州を脱出したマンソプ。隣の町に出た途端、そこは全くの異世界。のんびりとした日常。

 

「ごめんな。」そう言って娘に会いに帰る。それで良い。何もかも忘れて。だって誰も知らないんだから。広州がどうなっているのかなんて。

 

けれど。知ってしまった。

 

あの。泣きながらマンソプが広州に向かってハンドルを切った所から。怒涛のマンソプ畳みかけのターン。

 

そして、まさかの最終広州タクシー軍団の胸熱カーチェイス。あんなに「華々しく散る」という言葉が合うなんて。
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そして「ファン(ユ・へジン)」あんた本当に最高やな!(涙声)

 

この話が実話ベースであった事。国際ジャーナリストピーターはそりゃあ、と思いましたが。まさかタクシー運転手まで実際に居たなんて。エンドロール前に流れたメッセージに唸った当方。(あのナンバープレートを見逃してくれた兵士のエピソードも実話とは…)

 

最早個人が情報を世界中に発信出来る現代。色んな情報が飛び交って。それは新たな問題を生んでいるけれど。…それはまた別の話。

結局は個人が善悪の判断を下す。けれど。その大元となる情報が中立では無かったら?

恣意的に湾曲された情報が流されて。そして次第に関心も無くなってくる。その恐怖。

 

そして。「もし有事の時。当方はどういう行動を取るのだろう」

綺麗ごとではない。そんな自身もありうる。こういう作品を観て、ぐるぐる考える。非常に大切な事だと当方は思います。

 
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映画部活動報告「レディ・プレイヤー1」

レディ・プレイヤー1」観ました。
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2045年。荒廃した世界。環境汚染、気候変動。加えて停滞する政治経済。

誰もが現実に対して夢も希望も抱けなくなった。

けれど。そんな時代の中で人類唯一の希望、体験型VRゲーム『オアシス』。

オアシス専用のキットを装着すれば、そこは架空の世界。夢と希望と…刺激に溢れた世界。

オアシスでは自由にキャラクターアイコンを選べる。そうしてそのアイコンを通して何でも出来る。出来ないのは『睡眠。食事。排泄』くらい。

オアシスはすっかり人類の生活に溶け込んでいた。

そんな中。オアシスの創始者、ジェームズ・ハリデーが他界した。そしてハリデーから全世界に発信された遺言。

「オアシスの中に隠された3つの謎を解いた者に、自身の資産56兆円と、オアシス後継者の座を与える」

全世界のプレイヤーが熱気と興奮に包まれ。大規模な争奪戦が始まった。

 

~そこから5年経った現在。未だ一つ目の謎すらも解き明かされていない。

 

主人公のウェイド。17歳。両親を亡くし、叔母さんと汚い集合住宅に住んで。生活は貧しく…現実はどんよりする事ばかり。けれど。

オアシスの中ではイキイキ出来る。オアシスで出会った仲間と。そして当然ウェイドも件の争奪戦には連日参加。勝ち抜くべく虎視奮闘。次第に生まれる連帯感。

しかし。そういう純粋なプレイヤーばかりではなく。巨大企業『IOI社』も出現。

不穏な事態は、次第に現実世界にも影響を及ぼし始め…。

 

スピルバーグ監督71歳!」ベタですが。やっぱり言わざるを得ない。「ほんま化け物やな!」

 

冒頭。現実社会の描写から突き抜けている。主人公ウェイドの住む、トレイラ―ハウス(集合住宅)。本当にトレイラー(コンテナや電車)を積み重ねているんですよ。日本みたいに地震が多発する国では即座に倒壊しそうな。

そんなボロ住宅から。また廃棄物の山みたいな所にある秘密基地で。一人オアシスにアクセスするウェイド。

でも。オアシスの中では貧富の差なんて関係ない。各々好きなキャラクターアイコンを有して。オアシスではどんなゲームでも出来る。カーチェイス。ダンス。アトラクション。バトルもの。何でも体験出来る。けれど。

 

オアシスの創始者ハリデーが亡くなった。そして彼が新しいゲームを提示してくれた。『3つの謎を解いて3つの鍵を得る』オアシスに集まる皆がこぞって『オアシス後継ゲーム』に夢中。

 

この『起承転結』の『起』。それを繰り返していてもアレなんで。進んでいきますが。とは言え。公開して間もないし…浅瀬を走り抜ける感じで行きたいと思います。

 

やっぱりまずは「技術ってこんなに今上がっているんだな!」という感動。正直殆どがCGの世界じゃないですか。それがこんなに大迫力。

ジュラシック・パーク』公開から25年。御大のCG技術の推移。そして衰えない想像力。

一つ目の鍵となった『カーチェイス』。あの迫力と「これは無理やなあ~」という障害物の面々。

あそこを駆け抜けた『金田バイク』も『デロリアン』も十分に気持ちを高めてくれて。観ていてワクワクが止まらない。

掴みは完璧。(だからこそ、そういう攻略法じゃなくて正当に走り抜ける感じで行って欲しかったけれど…)

それ以降も。兎に角『アガる絵面』の連続。

 

そしてやっぱり『オールスター参戦』。

ゆっくり見回したら。「あ‼」というキャラクターはもっと居たのだろうけれど。

「こういう世界でサンリオのキャラクターチョイスって。どういう事よ!」心の闇…感じました。そして「スピルバーグが『シャイニング』かあ~」とか。利権問題大変だったでしょうけれど。御大のネームバリューの力か。結構な異文化キャラクターが混在。

そして。無知な当方も流石にやられた「俺はガンダムでいく」からの~ガンダム参戦。

ガンダムVSメカゴジラ』って。どんなドリームマッチだよと。思わず熱くなってしまいました。

この作品を手放し絶賛されている方たち。彼らの意見は「ありがとうスピルバーグ!」「これこそが子供の時に脳内にあった映像」「ベタな悪役を倒す為には…あのキャラクターとあのキャラクターを。と想像していた。それがスクリーンで観れるなんて!」という叫び。映画クラスタとゲームクラスタの融合という、優しい世界。

 

「でも。一見派手でワクワクする映像と衝撃に酔うけれど。御大のメッセージは滅茶苦茶シンプルなんよな」

 

まさにオアシスを地で行ったと思った作品。結局、目を背けている現実こそを見よと。

 

仮想現実で得る幸せ。けれどそれはあくまでも仮想現実で。

主人公ウェイドとその仲間達。彼らはオアシスの中で知り合った。実際はどんな人物なのか分からない。性別だって違うのかもしれない。けれど。

『オアシス後継ゲーム』で頭一つ飛びぬけた事で。全プレイヤーから注目。

そんな中、オアシスの中で恋した相手アルテミスに告白。そしてはっきり居住地と実名を名乗った(迂闊)事で。企業を上げてゲームに取り組んでいた『IOI社』に現実世界でも命を狙われていくウェイド。

そこで立ち上がった、現実世界に住む仲間達!(意外と皆近くに住んでいたんですね)

「おそらく2045年にはこの世に警察は居ないのだろう」そう思って観ていましたが…最後の最後に無能な警察が現れていましたね。

 

(「森崎ウィン!ドラマ『学校じゃ教えてくれない!』に出ていた。中村蒼が片思いしていた幼馴染のあいつな!当方は覚えていたぜ!」こんなにインターナショナルな役者になっていたなんて。そしてまた繰り返しますが「俺はガンダムでいく」唯一の日本語セリフ。痺れました)

 

「結局この3つの鍵って…」溜息付く当方。(あくまでも当方の解釈ですが)

「つまりは『ゲームを捨てよ。町へ出よう』ということか」

 

ゲームが大好き。その純粋な気持ち。楽しくて。だから皆が楽しめるゲームを作った。けれど。自身の人生を振り返ったら後悔する事だらけ。

 

楽しい事はやったらいい。けれど。現実の世界から目を背けるな。

 

ハリデーの。そして御大からの。シンプルなメッセージ。

3つの鍵を手にした後。迎えられたあの部屋で。

これまでのけばけばしい世界とは一転した夕焼けの中。リアルの人物がキャラクターアイコンに語り掛ける。

 

 

ところで。この作品の中で当方が一番好きだったキャラクター。『ハリデー記念館』(名称うろ覚え)の館長。

元々「結構好きやなあ~」と思っていましたが。「これってゲームの中に植え付けられたキャラクターじゃ無かったのか!」という胸熱。これがもう…堪らなかったです。

 

映画部活動報告「ラッキー」

「ラッキー」観ました。
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2017年9月。逝去したハリー・ディーン・スタントン。没91歳。

アメリカ出身で第二次世界大戦中は海軍に所属。

生涯で100本以上の映画作品に出演した名うてのバイブレイヤー。

 

彼の最後の主演作。それだけで…うるうるしてしまう案件。

そして共演したデヴィット・リンチ等。ハリーの実際の長年の友人を随所に配置。

正に主人公ラッキー=ハリーの宛書。

 

90歳。気難しい現実主義者ラッキー。配偶者無し。決まった時間に起床、コーヒーを飲みながらタバコを吸って。クローゼットから同じ柄のシャツ、ズボンを選んで更衣。てくてく歩いて馴染みのカフェで一服。馴染みのスーパーで牛乳を買って。いつもの場所でちょっと悪態付いて。自宅でクイズ番組を見ながらクロスワードパズルを解いて。寂しくなったらどこかに電話。夜は近くのパブでお酒。

繰り返し繰り返し。ずっとそうやって暮らしてきた。そんなラッキーの、最終ターン。

 

「去年公開された『パターソン』みたいな作品」

 

一見だらだらした、繰り返しの日常を延々描く作品。そういうのはえてして『気力体力を失った状態で観ると途中意識を失う』という魔力を持っていて。当方も危うく陥りかけましたが。

 

90歳の主人公にとって。それが『永遠に続く日常』のはずがない。

 

いつまでも俺は元気だ。そうやって過ごして来たけれど。

 

「おはようラッキー。元気?」「タバコは止めろよ」ラッキーが過ごす場所の人たちは少なからずラッキーの身を案じている。それは…ラッキーは自覚していないけれど「ラッキーはもうすぐここから去る人だ」と認識しているから。

 

例えば。『何とか劇場』として。考える当方。

 

「アメリカの片田舎。そこで暮らす人々。そこで生まれて。育って。毎日決まった時間に会って。お茶をしたりお酒を飲んだり。かつては熱く語り合った時もあったけれど。互いに随分歳を取って。憎たらしかったあんなことも。殴り合う寸前だったあんなことも。涙する相手に何も言えなくて…その背中に手を置くしかできなかったことも。色々あったけれど。

何だか全部笑って話せるようになった。互いに歳を取った。

そんな時。一番年上だったあいつ。あいつを見ていたらふと、居なくなるような気がして。胸がざわざわして。

気付いたら。やっぱり互いに歳を取っていた。いつまでも若い気がしていたけれど、互いに歳を取っていた。

そうなると怖くて。自分は気が付いたけれど…あいつ…。

 

「ラッキー大丈夫?」ヤキモキする、周囲の人間。

そして。唐突に一人で居る時に意識消失し。病院に受診したラッキー。

「いかにも個人経営の診療所対応!」という町医者。その言葉を受けて「寧ろタバコは吸った方が良いらしい」「どこも悪い所なんて無いってよ」心配する周囲に強がるラッキー。「いよいよラッキー倒れたってよ!」と心配で仕方ない周囲をよそに喫煙量を増やすラッキー。

 

恐らく一族の末裔として生涯を終えるであろう当方としても。非常に複雑な気持ちになった作品でした。

 

偏屈で。誰かにもたれかかるスタンスを見せないラッキー。けれど。小さな街の仲間は

そんなラッキーを愛している。

「お前!あいつを騙そうたってそうはいかないぞ!」「表に出ろ!」長年の友人。その愛するペット、陸亀の『ルーズベルト』。最近居なくなったその亀に遺産相続させようとしている友人の。真面目な顔をして相談に乗る弁護士に喧嘩を吹っ掛け。(確かにその案件…何なんですか)

つまりは。「馬鹿だなあ~」と皆が鼻で笑うような愚行にも、生真面目に立ち上がってくれる。不器用だけれど誠実。ラッキーはそういう人物。憎めない。

 

そんなラッキーが。もう90歳。いつ何があってもおかしくない。

 

周りは随分前から気づいていた。ラッキーは年寄りだと。だからラッキーに声を掛けていた。

 

そして。ラッキー自身が、この『何とか劇場』から退場する日が近いと自覚した。

 

「人生の終わりにファンファーレは鳴り響かない」

 

どう自分の終末期に折り合いを付けるか。どういう姿が有終の美なのか。

 

最終。いつものカフェで出会った軍人が語った『沖縄少女の最後の表情』

 

何故でしょうね。当方はずっと『とにかく笑えれば』というウルフルズの歌のフレーズが脳内でエンドレスに流れました。

 

何があろうとも。最後に無の境地で笑顔を見せられる。

第二次世界大戦。沖縄決戦の地獄でアメリカ兵に囲まれて死を知った少女と、90歳までの寿命を全うしようとしているアメリカ人が。同じ境地なはずがない。そう思うのに。

 

「如何なる境遇であろうと。生と死は共通に訪れる」(当方の言葉)

 

国。民族。宗教。貧富の差。ありとあらゆる違いがあれど。我々が人類である限り『産まれ。そして死ぬ』如何なる人物であれ。その二点は絶対に平等で。

 

死が唐突に訪れる場合だって幾らでもあるけれど。死を意識して迎えなければいけない場合だって幾らでもある。果たして自分はどちらに分類されるのか。それは皮肉にも直前まで分からないけれど。

 

「誰にも言わないでくれ。正直…怖いんだ」ラッキーのそのセリフに。登場人物の女性と全く同じ表情を浮かべた当方。だって。誰がそれに対して明確な答えを持っているというのか。とはいえ。

 

ラッキーの最後。どういう終わりになるのかは分からないけれど、ラッキーが寂しくないように。傍に寄り添えたら。ちょっと憎たらしい事を言いながら。ラッキーには瞼を閉じて欲しい。

 

けれど。

 

最後。あの誕生日会の後。ひたすらに乾いた大地と、大きく伸びるサボテンを見上げたラッキー。それが俳優ハリー・ディーン・スタントンの表情そのままで。

 

「この答えを、お前なんかがまだ出せるか。」

 

気難しい現実主義者、ラッキーことハリー・ディーン・スタントンは笑顔を見せた後。すたすたと

画面の奥に歩き出してしまいました。

 
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映画部活動報告「グッバイ・シングル」

グッバイ・シングル」観ました。
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韓国。トップ女優ジュヨン。

実力派俳優としての評価はありつつも、常に誰かと浮名を流し。如何せんお騒がせ女優枠の彼女。けれど。

いつまでもそのままでは居られない。何しろ彼女、御年39歳。

徐々に人気も低迷。加えてゴールインすると過信していた19歳の彼氏(‼)に浮気され。崖っぷち。

そこで彼女の下した決断「私だけの味方が欲しい!」「私、母になる!」

生涯の味方が欲しいと。呆れる周囲の声を振り切り、単身知り合いの産婦人科を受診。そこで告げられる、悲しい事実。

その帰り。エレベーターでたまたま居合わせた女子中学生タンジ。

望まぬ妊娠をしてしまい。けれど…堕胎に揺れるタンジと知り合ったジュヨンの選択。

「その子供。私が育てるわ」

タンジと金銭で合意。そして「胎教の為には声を聴かせてあげて」とタンジが望んだ事で。大女優と女子中学生の同居生活が始まった。

 

この作品の最大級の魅力。主人公ジュヨンを演じたキム・ヘス

当方は恥ずかしながら未見ですが『10人の泥棒たち』で有名。そして彼女を称する『韓国映画界随一の美魔女』というフレーズ。

「??」と思い、調べましたが…『キム・ヘス47歳』のプロフィールに瞳孔が開いた当方。ホンマに?ホンマにあのボディ?47歳で?

 

「乳は正義」「まっこと憎たらしい乳よ(まさかの土佐弁)」もう…乳派の当方が涙目無言でうんうんと頷いてしまう、そんな巨乳。そして絵にかいたような『ボン・キュッツ・ボン』なナイスバディ。

自宅でのくつろぐTシャツ姿も愛らしいけれど、『THE大女優』然としたフォルムの彼女の貫禄。あんな派手な衣装に全く負けない、そんな迫力。

 

体の話が先行しましたが。実際に『ベテラン手練れ俳優』であるキム・ヘスの超安定感のある演技。もう余裕すら感じる『落ち目になありつつある大女優』。楽しすぎて。

 

主人公ジュヨン。実力派俳優であるけれど。性格はおバカでお調子者。そして…真っすぐな人物。憎めない。

 

「私の生涯の味方が欲しい」そうやって産婦人科に受診。たまたま出会った女子中学生と「子供が生まれたら私が育てる」と大金払って勝手に里親契約。

「いやいや子供ってそういうもんじゃないし」「お前靴を買う感覚で言ってるだろ」所属事務所の面々は散々振り回され。

 

未成年。望まない妊娠。子供を金で買う。シングルマザー。社会の支援。結構シビアな題材を扱っているのに。終始ワクワクしながら楽しく観ていられるのは、ひとえに主人公ジュヨンの明るさ、真っすぐさ故。

 

作中。妊娠した女子中学生タンジに対して、やっぱり「若いのに」「恥ずかしくないの」という声が上がっているシーン、ありましたが。「何が恥ずかしいのよ!」「ただ早熟だっただけよ!」委縮して泣くタンジの肩を抱いてはっきり声を上げるジョユン。素晴らしい。

(そして案の定、そういう事を言うのが同性…同じ中学生の母親とかなんですね。じゃああんたは何をして子供を産んだんだ。頭固いな)

 

タンジ。絵を描く事が好きで『全国絵画コンクール』に推薦される実力の持ち主。

妊娠が分かって。けれど相手はきちんと向き合ってくれなくて。

堕胎のリミットだと、意を決して訪れた産婦人科。怖い。そんな時出会った大女優。

「中絶なんて駄目よ。産んだらいいじゃない。私が育てるから」

姉と二人暮らしだけれど。貧しくて。しかも姉は出来立ての彼氏に夢中。家にも居場所が無くて。そんな時に現れた金づる。

「このお金で高校に行きたい」(切ない…)

 

 

互いに利害関係を有したきっかけ。けれど、一緒に暮らすうちに芽生えてくる信頼関係。

 

「でもそれで一気にゴールには向かわないんよな」

 

『独身スター俳優、妊娠』かつての恋人(19歳)に当て付ける為の発表。勿論世間は大騒ぎ。

 

初めこそ大慌てした所属事務所(また、所属タレントは彼女一人?という小さなプロダクション)。けれど。その発表を受け。まさかの『妊婦枠』で新しいオファー殺到。起死回生がやってきた。浮かれるジュヨンと所属事務所の面々。

 

けれど。皮肉にもジュヨンが忙しくなる事で、次第にタンジと距離が出ててしまう。

 

ジュヨンの幼馴染で専属スタイリスト。ピョング。
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「マ・ドンソク‼」去年の『新感染』の記憶も新しい、「あの腕にガムテープ巻いて。素手でゾンビに立ち向かった漢な‼!」ムキムキマッチョのボディを今回も余す事無く見せながらも。『NY帰りの敏腕スタイリスト』という何の説得力も無い役を。可愛く演じておられました。

(とは言え。毎度『主人公喰い』のインパクトを誇ったマブリー兄さんも。今回は流石に主人公キム・ヘスが強い。きちんと脇役に徹しておられました)

子沢山のお父さんという側面も持つピョング。破天荒なジュヨンを支えながらも、きちんと『ひとりぼっちになりそうな女子中学生妊婦』にも気を使える。

「これ。大体のサイズで作った」女子中学生に送った『マタニティドレス』当方の中の女子が悶死した瞬間。

 

ちょっと真面目に。韓国の事情は分かりませんが。

「例えば。日本で学生が妊娠したら」「即退学or堕胎の流れ」「何故かというと…妊娠した者が親になれない事が多いからだ」

でも…少子高齢化が叫ばれる昨今。どうして子供は生まれないのか。

一概にこれ!とは言えず。とは言え当方も「一族の末裔」となりそうな塩梅なので…もごもごしてしまいますが。

 

「無理矢理伴侶を得て。子孫繁栄を望む時代では無くなった」という事なのか。自由恋愛思想のなれの果てか。

愛し愛されて。その相手と生涯を共にする。そしてそんな相手との間に生まれた子供を大切に育てる。その思想、全面支持しますが…けれど「それ‼どうしても‼何が何でも得たい!!」とは思わない。

自分の人生。その満たされるポイントは各人違う。万が一人様から見て『一生一人で暮らしましたとさ』となったとしても、自身が満足しているのならば構わない。幸せのバロメーターの多様化。

『誰かとつがいになり。そして子孫を残す』という事が決して幸せの全てでは無い。

 

…と思う反面。『誰かとつがいになり。そして子孫を残す』という思想を決して否定している訳ではない。

そして。もし目の前で『若さゆえ』数多ある可能性が捨てられる状態を見たとしたら…。

 

「子供が出来たから諦めないといけない」大人だって、そういう側面はありますが。

ましてやこの作品では中学生。彼女が出産を決意する事に依って諦めないといけない事、覚悟しないといけない事は余りに多く。そして相手の男子学生には余りに少ない。

そんな中で。確実な金銭的優遇者のフォローアップ。頼もしすぎる。

 

「決して安易な性交渉とか避妊しろ云々とか。そんな説教臭い事は言ってない。ただ…社会が…こうやってあっけらかんと包んでくれたら随分救われる者もいるだろう」

 

こんな深読みも出来るのに。本編はあくまでも突き抜けた陽気さ。素晴らしい。

 

「セレブな時。全然地に足ついていなかったジュヨンが。最後愛し愛される仲間に囲まれて『誰も強制されていない』食卓をワイワイ囲んでいる姿」「そして可愛い『韓国一誠実な男性」
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最終。染々。「この子は良い子に育つよ」

こんなに皆に愛されているんやから。

 

最後の最後まで。全部ひっくるめて好き。そんな可愛くて面白くて…実は深い…。

 

ああ。また。韓国映画のノンジャンル感。果てしないです。
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映画部活動報告「パシフィック・リム/アップライジング」

パシフィック・リム/アップライジング」観ました。
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2013年。ギレルモ・デル・トロ監督作品。『パシフィック・リム』公開。

日本の『特撮・怪獣・ロボット文化』にリスペクトしまくった監督に依る、海を越えた一代オタク映画。

「アメ公に何が分かるか」そう言って鼻で笑っていたくせに。いざ上映されてみると日本の一部成人男性達はこぞって称賛、絶賛の嵐。

当方の属する、たった二人の映画部でも。折に触れ『パシリム談義』にうっとりしていた映画部部長。その度「デルトロは『パンズ・ラビリンス』も良いんですがね」と地味に返し続けた当方。

 

「2013年。奴らは現れた。始めはサンフランシスコ。そしてメキシコ。カナダ…。奴らの前に我々人類はなすすべもなく。しかし。人類は力を合わせ。『PODC:環太平洋防衛軍』を設立。『イェーガー』という巨大ロボットを作成。

二人のパイロットの神経同期システムを通じて、互いの脳がシンクロすればするほどイェーガーの威力は増大。

人類の叡智。『イェーガー』VS『(奴らこと)KAIJYU』。

辛く厳しい日々を経て。遂に2025年。人類は『KAIJYU』との戦争を終結させた。」

 

「おかしくないですか?二人ってなんて効率の悪い…で結局ロボットと怪獣の奴、取っ組み合いの喧嘩でしたよ。イェーガーなんてタンカー引きずってバットよろしく怪獣を殴ってましたけれど‼」

「いいの!イェーガーの動力は放射能系なんやから、むやみに力使ったらあかんの!!」

 

正直。前作だって全然納得していなかった当方。「何でそんなに神格化してんの」

ただ。2013年当時、デルトロと同じ嗜好のオタク系男性が非常に飢えていたのは理解出来て。だからこその大歓迎。「ありがとう!デルトロ!」諸手の歓迎。

 

2018年4月13日。金曜日。仕事終わりに初日の『パシフィック・リム/アップライジング』を鑑賞。翌14日土曜日。「観ましたよ」とだけ映画部部長にメールした当方。そして。

 

「前作に比べると今ひとつ感はあるけれど、ギリギリ及第点かな」(原文ママ

 

映画部部長の返答を見て。今年度始まって最大級の冷酷な表情を浮かべた当方。

 

「アホうなB級作品に成り下がったものよ!!」

 

例えば。唐突ですが日本人にとってのカップ麺(ラーメン部門)ヒエラルキーのトップって、『カップヌードル』『チキンラーメン』(日清)じゃないですか。あくまでもスタンダードという意味で。

数多の派生ヌードルが出ようとも、王道はその二つ。

そう刷り込まれている日本人に超デブメキシカンが「俺もヌードル分かるぜえ~」「NIPPONヌードルの美味いの、分かるぜえ~」とニヤニヤしながら言って来たら。笑うじゃないですか。「お前ポテトとかの文化やろ!」と。

そうしたら。まさかのメキシカンが『長崎ちゃんぽん』(マルタイ)を繰り出してきた時の衝撃。
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(当方はこの『長崎ちゃんぽん』がマイベストカップ麺です)

「お前!侮れんな!」震える日本人。「この美味さが分かるの!お前!」

そうなると期待して。次の美味いのを言うのを待ってしまう。そして…時が流れるに連れ、不安が過っていく。

「おい…デブのメキシカンが去っていくぜ…」「大丈夫か…」けれど。どこかで期待したい。「『チャルメラ』(明星)か『サッポロ一番』(サンヨー食品)か?」なんて。

そして。5年の時を経て。デブのメキシカンの後継者がおもむろに口にしたのは…「『金ちゃんヌードル』(徳島製粉)‼!」。
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絶叫。

(今回調べて知ったんですが。『金ちゃんヌードル』って関東では流通していないんですか?不憫な…こちらでは100均でも置いているオールドメジャー商品なんですが)

 

一体当方は延々と何を書いているのか分からなくなってしまいましたが。兎も角前作は『日本人の超王道に敬意を表しつつ、そこには踏み込まずツウぶった所を鋭く突いた作品』という評価だったのだと思ったんですよ。そして続編である今回は『確かに老舗ではあるけれどキッチュでチープなおやつ路線に転じた』という印象。

 

(こう書くとややこしいのですが。『金ちゃんヌードル』を愛している人たちも一定数居られますよ。まずい訳じゃないし)

 

「でも。結局カップ麺って。ジャンクフードなんだぜ」静かに締める当方。

 

続編の今作。文句を言いたい所は一杯ある。実際そこから映画部長に堰を切ったようにメールした当方。

 

「これは続編じゃなくて、スピンオフだ」「これならパシリムじゃなくてええやん」「ロボット対ロボットの時間が長い。怪獣の時間がオマケ過ぎる」「有事に訓練生出動って。PPDCには他に現役パイロットは居らんのかね」「イェーガーって突貫工事で修理出来るもんなんかね」「何やねん中国」当方の勢い、止められず。

 

『イェーガー VS KAIJYU』戦争終結から10年後が舞台。

最早イェーガーは必要か?そんな声も聞こえていたが。新たな敵はKAIJYUではなく謎の黒いイェーガー。まさかの人類を守るはずのイェーガー同士の争いが勃発。

一体反乱したイェーガーは何者に操られているのか?そして遂に…奴らが…再び現れる。

 

前作で叩かれた「暗くて見えないよ!」「もっとイェーガーを見ていたいよ!」その声、大切にしたんですね。白昼堂々動くイェーガーを沢山見れましたけれど。操縦しているパイロットが最後まで誰が誰か分からなかったです。

 

真剣佑。「教官が来た!」以外発声していましたかね?似たような顔をした訓練生が色々言っていたように思ったんですが。あれが真剣佑やったんですか?当方の目は新たなキャラクターを産んだんでしょうか。もう何しろ訓練生に思い入れが無くて。

 

マコ・森に関してはあの扱いで納得。ニュートンも…まあ致し方ない。でもそうなるとハーマン博士が可哀想。

 

「最終決戦は日本!」予告編でも言ってましたが。思っていた以上に最後NIPPONが舞台でした。

東シナ海云々」の下りから「やめろやめろやめろ」と思っていた当方。「マウントフジ」に不覚にも映画館で笑ってしまいました。世界中他にでかい活火山、あるやろう。

そして『大怪獣東京に現る』。「どこだよこのTOKYO」「ああ。2020年にはオリンピックだって開かれたTOKYOが…」「TOKYOの電車はこんな有事にも動いている。だってあれ、『無人在来線爆弾』やからな」富士山とKAIJYU、イエーガーというとびっきりのおバカ映像に芯から痺れる当方。

 

「まあ。真剣に突っ込むとしたら。現地に行かずともシンクロ出来るのならば、そのチャイナ女社長じゃなくてもっと統制部がシンクロするべきやし…そもそも全イェーガーをそういう仕様にするべきやろう」

 

散々こき下ろしてしまいましたが。当方は『特撮・怪獣・ロボット文化』に精通している訳ではありませんので。「これがセオリーなんだよ!」と言われたら…もごもご言いながら不服な顔をして黙るばかり。ただ。

 

今日。職場で。「監督も変わっているんやったら…映画館で観るべきかDVD出るのを待とうかどうしようかと思っている」というご意見に対しての当方の返答。

 

「映画館でやっているのだから映画館で観るべきです。やっている事は金ちゃんヌードルですが。振り切って観れば楽しめます。」

 

以上。迷っているのならば、その目で観るべきだと思います。…面白いですから。