映画部活動報告「レディ・プレイヤー1」
「レディ・プレイヤー1」観ました。
2045年。荒廃した世界。環境汚染、気候変動。加えて停滞する政治経済。
誰もが現実に対して夢も希望も抱けなくなった。
けれど。そんな時代の中で人類唯一の希望、体験型VRゲーム『オアシス』。
オアシス専用のキットを装着すれば、そこは架空の世界。夢と希望と…刺激に溢れた世界。
オアシスでは自由にキャラクターアイコンを選べる。そうしてそのアイコンを通して何でも出来る。出来ないのは『睡眠。食事。排泄』くらい。
オアシスはすっかり人類の生活に溶け込んでいた。
そんな中。オアシスの創始者、ジェームズ・ハリデーが他界した。そしてハリデーから全世界に発信された遺言。
「オアシスの中に隠された3つの謎を解いた者に、自身の資産56兆円と、オアシス後継者の座を与える」
全世界のプレイヤーが熱気と興奮に包まれ。大規模な争奪戦が始まった。
~そこから5年経った現在。未だ一つ目の謎すらも解き明かされていない。
主人公のウェイド。17歳。両親を亡くし、叔母さんと汚い集合住宅に住んで。生活は貧しく…現実はどんよりする事ばかり。けれど。
オアシスの中ではイキイキ出来る。オアシスで出会った仲間と。そして当然ウェイドも件の争奪戦には連日参加。勝ち抜くべく虎視奮闘。次第に生まれる連帯感。
しかし。そういう純粋なプレイヤーばかりではなく。巨大企業『IOI社』も出現。
不穏な事態は、次第に現実世界にも影響を及ぼし始め…。
「スピルバーグ監督71歳!」ベタですが。やっぱり言わざるを得ない。「ほんま化け物やな!」
冒頭。現実社会の描写から突き抜けている。主人公ウェイドの住む、トレイラ―ハウス(集合住宅)。本当にトレイラー(コンテナや電車)を積み重ねているんですよ。日本みたいに地震が多発する国では即座に倒壊しそうな。
そんなボロ住宅から。また廃棄物の山みたいな所にある秘密基地で。一人オアシスにアクセスするウェイド。
でも。オアシスの中では貧富の差なんて関係ない。各々好きなキャラクターアイコンを有して。オアシスではどんなゲームでも出来る。カーチェイス。ダンス。アトラクション。バトルもの。何でも体験出来る。けれど。
オアシスの創始者ハリデーが亡くなった。そして彼が新しいゲームを提示してくれた。『3つの謎を解いて3つの鍵を得る』オアシスに集まる皆がこぞって『オアシス後継ゲーム』に夢中。
この『起承転結』の『起』。それを繰り返していてもアレなんで。進んでいきますが。とは言え。公開して間もないし…浅瀬を走り抜ける感じで行きたいと思います。
やっぱりまずは「技術ってこんなに今上がっているんだな!」という感動。正直殆どがCGの世界じゃないですか。それがこんなに大迫力。
『ジュラシック・パーク』公開から25年。御大のCG技術の推移。そして衰えない想像力。
一つ目の鍵となった『カーチェイス』。あの迫力と「これは無理やなあ~」という障害物の面々。
あそこを駆け抜けた『金田バイク』も『デロリアン』も十分に気持ちを高めてくれて。観ていてワクワクが止まらない。
掴みは完璧。(だからこそ、そういう攻略法じゃなくて正当に走り抜ける感じで行って欲しかったけれど…)
それ以降も。兎に角『アガる絵面』の連続。
そしてやっぱり『オールスター参戦』。
ゆっくり見回したら。「あ‼」というキャラクターはもっと居たのだろうけれど。
「こういう世界でサンリオのキャラクターチョイスって。どういう事よ!」心の闇…感じました。そして「スピルバーグが『シャイニング』かあ~」とか。利権問題大変だったでしょうけれど。御大のネームバリューの力か。結構な異文化キャラクターが混在。
そして。無知な当方も流石にやられた「俺はガンダムでいく」からの~ガンダム参戦。
『ガンダムVSメカゴジラ』って。どんなドリームマッチだよと。思わず熱くなってしまいました。
この作品を手放し絶賛されている方たち。彼らの意見は「ありがとうスピルバーグ!」「これこそが子供の時に脳内にあった映像」「ベタな悪役を倒す為には…あのキャラクターとあのキャラクターを。と想像していた。それがスクリーンで観れるなんて!」という叫び。映画クラスタとゲームクラスタの融合という、優しい世界。
「でも。一見派手でワクワクする映像と衝撃に酔うけれど。御大のメッセージは滅茶苦茶シンプルなんよな」
まさにオアシスを地で行ったと思った作品。結局、目を背けている現実こそを見よと。
仮想現実で得る幸せ。けれどそれはあくまでも仮想現実で。
主人公ウェイドとその仲間達。彼らはオアシスの中で知り合った。実際はどんな人物なのか分からない。性別だって違うのかもしれない。けれど。
『オアシス後継ゲーム』で頭一つ飛びぬけた事で。全プレイヤーから注目。
そんな中、オアシスの中で恋した相手アルテミスに告白。そしてはっきり居住地と実名を名乗った(迂闊)事で。企業を上げてゲームに取り組んでいた『IOI社』に現実世界でも命を狙われていくウェイド。
そこで立ち上がった、現実世界に住む仲間達!(意外と皆近くに住んでいたんですね)
「おそらく2045年にはこの世に警察は居ないのだろう」そう思って観ていましたが…最後の最後に無能な警察が現れていましたね。
(「森崎ウィン!ドラマ『学校じゃ教えてくれない!』に出ていた。中村蒼が片思いしていた幼馴染のあいつな!当方は覚えていたぜ!」こんなにインターナショナルな役者になっていたなんて。そしてまた繰り返しますが「俺はガンダムでいく」唯一の日本語セリフ。痺れました)
「結局この3つの鍵って…」溜息付く当方。(あくまでも当方の解釈ですが)
「つまりは『ゲームを捨てよ。町へ出よう』ということか」
ゲームが大好き。その純粋な気持ち。楽しくて。だから皆が楽しめるゲームを作った。けれど。自身の人生を振り返ったら後悔する事だらけ。
楽しい事はやったらいい。けれど。現実の世界から目を背けるな。
ハリデーの。そして御大からの。シンプルなメッセージ。
3つの鍵を手にした後。迎えられたあの部屋で。
これまでのけばけばしい世界とは一転した夕焼けの中。リアルの人物がキャラクターアイコンに語り掛ける。
ところで。この作品の中で当方が一番好きだったキャラクター。『ハリデー記念館』(名称うろ覚え)の館長。
元々「結構好きやなあ~」と思っていましたが。「これってゲームの中に植え付けられたキャラクターじゃ無かったのか!」という胸熱。これがもう…堪らなかったです。