映画部活動報告「パーティーで女の子に話しかけるには」
「パーティーで女の子に話しかけるには」観ました。
『ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェ監督作品。
「1977年。僕は宇宙人の女の子に恋をした」
本当に。本当にその言葉通りの作品。
高校生のエン。友達と3人でつるむ日々。互いにパンクロックに傾倒し。
ある夜。ライブの打ち上げ会場への道が分からなくなって。迷い込んだ売家。そこで行われていた、不思議なパーティー。雰囲気に飲み込まれる3人。
そこで知り合った美しい少女。ザン。彼女は何故か「私にパンクを見せて!」と仲間の元を飛び出してエンに付いてきて。
自称宇宙人。地球には旅行でやってきた。48時間後には地球を立つ。
訳の分からない事ばかりを言う彼女。そして確かに噛み合わない事ばかり。戸惑うけれど。
「アメリカ人のカルト集団に閉じ込められているんだ」そう言い聞かせて。
パンクロックに憧れた少年の。体験した、パンクでロックで切ない恋。
お話自体は凄く荒くて。「はあああ?」という設定。無理やりな展開。正直不格好で不器用な作品。なのに…嫌いになれない。それはJ・K・ミッチェ監督のセンス故か。
「まあ。宇宙人ザンを演じたエル・ファニングのキュートさ。それありき」
今作でトニー賞を受賞した、主人公エンを演じたアレックス・シャープ。この錦織圭そっくりの彼に、観ている側が非常に感情移入しやすい。
つまりは「そりゃあこんな女の子が目の前に現れたら恋に落ちるわ!」
ミス・ファニーフェイス。もう何なの?このエル・ファニングの可愛さ。こんなん、キュン死!!救心では手後れ案件。
不思議でどこか不気味な集団。
そんな連中が一軒家で行っていたパーティ。前衛的な何かかと。訝し気に探検していたら。唐突に現れたエル・ファニング。(以降ザンで統一します)
私はここには居たくないと。着ているスカートをハサミで切って。そんなザンに思わず「パンクだな!」と言ってしまった事から。
「パンクって何?」「見せて!」「教えて!」グイグイと押してきて。そしてエンに付いてきた。
「そんな夢みたいな展開があるかああああ」
パンクロックと絵を描くことが好きで。趣味の合う友達は居るけれど。(おそらく)クラスで人気のモテモテ集団ではない。そんなシャイな自分の前に、唐突に現れた美少女。
ぶっ飛んだ不思議少女だけれど。自分の好きな音楽に興味を示して。そしてそれを聴かせたら。面白がって、表情をくるくるさせて。どんどん吸収する。
文化の違い故か。何だかズレたスキンシップを取るけれど。自分が彼女に惹かれていくのと同じ。彼女からも自分への好意が溢れていくのを感じる。大好き。もう…嬉しい。楽しい。大好き!
一緒に居たら楽しくて。嬉しくて。彼女と居たら何もかもの色が輝く。音楽で溢れる。世界が変わる。
「ギブミー!ギブミー!ブランケット!!」ラブラブな二人に当てられて。瀕死の当方。
でも。彼女はトラベラー。48時間後には居なくなってしまう。
宇宙人なんて。彼女が属しているのは『カルト集団』だ。そう信じたいけれど。
ザンや仲間達の属するコロニー。その理解しがたいルール。
「カルト集団をぶっ潰せ!」とばかりに。エンと友人の先導に依って殴りこみをかけた事で、コロニー内部の意見の相違も露わになって。
事前に。急に体に変調をきたしたザンが内部の重要な判断ポイントになるけれど。
「本当に。その下りが荒いんですな」溜息を付く当方。「でも憎めない…」
少年よ。これがパンクロックだ。本気で誰かを好きになって。その相手の為になりふり構わず取る行為。それは時には世界も変える。そういうメッセージ。
設定も展開もハチャメチャではあるけれど。お話の核は『ボーイ・ミッツ・ガール』。ある日目の前に現れた女の子に恋をして。そして不器用に悶える恋の話。そういうの…凄く好きなんですよ。
互いに思いは通じていて。一緒に居たら楽しい。これからも一緒に居たい。その気持ちは一緒なのに。一緒に居れない。
「おいおいおい。ずっと斜め上の事ばっかりしていて。なのに何だか最後には胸が熱くなって…薄っすら涙が出るなんて。卑怯やぞ!」顔を赤くして叫ぶ当方。
まあ。もし当方がこんな可愛い女の子と恋に落ちたら。確かにそれを一生しがんで(噛んで)生きていきますよ。
余談ですが。ザン以外の他のコロニーメンバー。ザンのPT、黄色のざっくりニットの絶妙な腹立たしい表情。おちょぼ口。本当に絶妙でした。そして…あのオレンジメンバー。
「途中からああなる事を事前に教えて貰ったら、あそこまで驚かないと思うんで…」お会いしてみたいし、体験してみたい。…当方はエロには貪欲なタイプなんで。(何言ってんだか)
当方がもっと若かったら。とんだカルト映画としてワクワクしたのかもしれない。けれど。
歳を取った当方には、何だか懐かしくておかしくて切ない。でも決して馬鹿になんてしない。もう二度と出来ない。そんな淡い恋の話に見えました。