ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「霊幻道士Q 大蛇道士の出現!」

霊幻道士Q 大蛇道士の出現!」観ました。

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1980年代。社会現象だったキョンシー作品。

御多分に漏れず。子供だった当方は毎週母と妹と一緒にキョンシーのテレビドラマを見て。

キョンシーが出てきた‼」テレビ画面にキョンシーが映ろうものなら大騒ぎ。登場人物と同じく息を止めて。
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『テンテン!』『トンボ!』『チビクロ!』『スイカ頭!』

道士と呼ばれる、年寄りの化け物使いが育てていた子供たちが当方と同じ位の年齢で。

「テンテンを庇ってキョンシーに噛まれて。そしてキョンシー化が避けられなくなったスイカ頭が爆弾抱えて自爆シーン」で泣いて。

そしてテレビ放送されたキョンシー映画をVHSビデオに録画。擦りきれんばかりに観たあの頃。

 

「そんな霊幻道士が!25年振りに!正当な続編が!」込み上げる熱い思いを胸に。シネマート『のむコレ』上映枠公開のこの作品を観に行ってきました。

 

「…どうやら当方が観ていたのは『幽玄道士』というシリーズだったようだ。」

 

鑑賞中。「あれ?こういう話やったっけ??」と疑問に思いつつ。これはこれで全身の力を抜いて楽しめる作品だなと弛緩した表情で終始見続けた今作でしたが。

 

気になって。帰宅後色々調べ。1980年代『霊幻道士』と『幽玄道士』というキョンシーシリーズが製作されていたと知った当方。

 

サモ・ハン・キンポ―が監督主演し1980年に公開された香港映画『妖術秘伝・鬼打鬼』を元に。中国古来から伝わる"死体妖怪キョンシー”を主軸としたアクションホラー作品『霊幻道士』(リッキー・竜監督の香港映画)が製作された。1985年公開。
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爆発的なヒットとキョンシー人気にあやかって様々な亜流キョンシー作品が製作された。その一つが、当方がお茶の間で見ていた『幽玄道士』シリーズだと。

「そうやったのか…。」

(そのままの勢いで思わずDVD購入に至りそうになりましたが。危うい所で踏みとどまった当方。)

 

「いつまで幽玄道士の話をしているんだ。これは何の感想文だ。」

我に返って。今回観た『霊幻道士Q』の感想文に切り替えていきたいと思います。

 

一大キョンシーブームを巻き起こした元祖『霊幻道士』シリーズ。その監督リッキー・リュウが監督。1993年以来の新作。チン・シュウホウ主演。

 

モンチョイとチュウサムという二人の弟子を持つハオ道士(チン・シュウホウ)。主にキョンシー退治を生業としていたが。今では他の物の怪退治にも駆り出されていた。

特に最近は妖艶な女の姿で男を誘惑する蛇女に手を焼いていたが。その背後に『大蛇道士』という邪悪な呪術の使い手が居ると知って。

「死体安置所でおかしな事が起きている」そう言われ。安置所に向かうハオ道士とその弟子たち。そこに居たのはキョンシー達。何とか安全な状態で彼らの住む村へ帰れるよう、他の道士に先導を頼んだのに。翌日見つかった、道士の死体。

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一体誰が?キョンシーを操っている?呪術の使い手?

そして。ハオ道士らVS大蛇道士のバトルが始まる!!

 

~雑に言うとそういう流れですか。後、同時進行で「ハオ道士の元彼女(名取裕子っぽい出で立ち。道士)が姪っ子を連れてハオ道士の元に転がり込んでくる」「元彼女にデレデレのハオ道士と。姪っ子を取り合う弟子二人」という、誰も不幸にならないキャッキャしたラブロマンスなんかも随所に差し込まれ。

 

もうねえ。「もしかして当方は映画鑑賞中、所々意識を飛ばしていたのだろうか?」そう疑いたくなる位「何でこうなったんやったけ?」の連発。そして「誰か!誰かこの中にシリアスキャラはいませんか!」と叫びたくなる位誰もが愛すべきおバカさん(褒めています)。CGも「このご時世に…」という愛らしさ。そして「恐らくワイヤーアクション。」そんな高まるキッチュさ。

 

~まあ。総じて何が言いたいのかと言うと「安心して観られる。流石元祖キョンシー映画チーム」そう思う訳ですよ。

 

キョンシー映画=コメディホラー。

何かが飛び散って。暗闇から何かが突然現れる。そして終始真剣な登場人物。倒すべき相手の思いがけない弱点とは?そんな真面目でゴシックなホラーは他の餅屋がやればいいんですよ。

 

何処までも泥臭く。道士といえども人間で。そして弟子は総じて憎めないドジっ子。ヒロインは可愛いお転婆。サブキャラの警察官なんかも概ね無能。そしてデブ。

 

ただ、死体ゆえに硬直しほぼ関節の動かせない動きをするキョンシー。これだけは本気。

そして中国ならではのキョンシーのビジュアル。灰色の皮膚。そして暖帽と補掛という清国時代の満州族の正装という、THE中国死に装束。

おでこに呪文を書いた黄色いお札を貼られていれば。ただ大人しくぴょんぴょん跳ねているけれど。ひとたびそのお札が外れれば、人間を襲ってくる。そしてキョンシーに噛まれるとその者はキョンシーになってしまう。

このキョンシーレギュレーションさえセーブ出来ていれば。もう大体のおふざけは許容範囲。なんですが。

 

当方の不満。「キョンシーのシーン、少ない。」

 

ハオ道士VS大蛇道士の闘いだと。そういうサブタイトルもついていましたが。如何せん、キョンシーの出番が少ない。もっと欲しいもっともっと欲しい。そう思えて仕方なかった。(そして。キョンシーの動き。ちょっと柔軟でしたね)

 

「大体、大蛇道士は何でそういう事をしているのか分から…」慌ててお口にチャックする当方。

 

「キッズだった当方が慣れ親しんでいたキョンシー作品が『幽玄道士』であったことは分かった。ところで擦り切れる程見たというVHSビデオは一体…実家に眠っているはずやけれど。」

そう思い。週末実家に行った際探そうとするも「多分無い」と母親にあしらわれた当方。

当方:「あの。我々子供のビデオもですが。父親の本棚、めっちゃすっきりしてませんか?」

母親:「六月の地震で本棚の中崩れたから。妹と一緒に(何故父親不在で‼!)大分処分したよ。」

当方:声にならない声(エロハードボイルドシリーズ、西村寿行先生の本がごっそり無い!これは梶山季之著『ミスターエロチスト』も捨てられたな!)

 

全く…母親は…家族の宝物を…。何をどこまで買い戻すのかは模索中。下手したら本やらDVDやらを大量に購入してしまう。危ない。

 

ひとまず見ていなかった霊幻道士シリーズに関しては、せめて第一作目は見ておきたい。そう思う当方です。