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ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「好きにならずにいられない」

「好きにならずにいられない」観ました。

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アイスランド映画。
フージ。43歳。巨漢。空港の荷物係。無口で趣味はジオラマ遊び。(主にミリタリー系)毎週金曜日はタイ料理屋で一人パッタイを食べる。一人でドライブし、ラジオにヘビメタをリクエストする。

母親と二人暮らし。友達はジオラマ仲間のみ。勿論童貞。

同僚の一部には悪質な弄られかたをして。

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「フージよ!しっかりして!」

余りにも自己完結した世界に住むフージに、やきもきする母親とその彼氏。

誕生日。社交的になれよとダンススクールのチケットとテンガロンハットをプレゼントしてくる母親の彼氏。

嫌々。でも一応ダンススクールの前までは行ったフージ。そこで出会った彼女。

彼女を好きになっていって。そしてフージはどんどん変わっていく。

「フージこそを『好きにならずにいられない』よ!」

一見キモオタにしか見えないフージ。実際同じアパートに住む少女に懐かれた時も、ただ素直に遊んでいただけなのに通報されるフージ。職場でもデブだ。童貞だといじめられるフージ。でも。

女の子と遊ぶなんてどうしたらいいのか分からない。でも引っ越して来たばかりで友達が居ないからと押しかけてくる少女を追い返さない。嫌な同僚の事を決して上司に告げ口しない。それどころか車の修理を頼まれたら引き受ける。母親に頼まれたら焼きプリンを作ってあげる。母親の彼氏が鬱陶しいけれど、露骨には嫌がらない。

大人しいとか消極的と言ってしまえばそれまで。そうじゃない。フージはコミュニケーションが達者じゃないから損をしているだけで。

「こんな圧倒的な包容力。見たことないよ。」

大体、何でダンススクールなんか行かないといかんの。その「社交性もやけれど。ついでに運動して痩せな!」と言わんばかりのお節介。当方なら怒って突っ返しますよ。興味もないし。リズム感ないし。体固いし。


でも。一応は行くのがフージ。(まあ、そこで行かなかったら何も話が始まりませんけれども)

そこ出会った女性。突然の嵐の中「ちょっと家まで送って」とフージの車に強引に乗り込んでくる。そんな彼女。

「おっかねええ。普通に考えて、女性がキモオタ通報ビジュアル男性(巨漢)の乗る車に飛び乗るもんかあ?二人っきりで。どこに行くか分からんし。この映画世界にはタクシーとかないのかね?」震える当方。

明るくて強引な彼女にぐいぐいと引き付けられるフージ。

開かれる、フージの世界。

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周りはヤキモキしたりしていましたが。フージはこれまでの世界でも幸せだった。恐らく、その慎ましやかな世界でも十分だった。

でも。戻れなくなってしまった。

彼女を好きになってしまったから。

快活な彼女とのささやかで楽しい日々。何だか上手くいきそうなフージの恋。

そこでの急転直下。

「だって彼女。メンヘラだったんですよ。」

ネタバレ…せざるを得なかったですけれども。でもねえ…メンヘラって言うか…。

それでも献身的に。時には強引に彼女に尽くすフージ。

掃除して。ご飯を作って。日常生活をサポートし、ゆっくりと彼女の軽快を待つフージ。そして彼女は。


何だか順を追って説明(ネタバレ)してしまいそうなので。ここら辺で話を纏めようかと思いますが。

「この病気は双極性なので。アップダウンを繰り返してしまう。そして彼女はそのスパンが早い…様な気がする。明らかに生活に支障を来しているし、社会生活もままならない。本人も苦しんでいるし。フージの献身的なサポートとやらには絶対に限界が来る。つまりは…はっきり言うと受診をお勧めする。」

然るべき施設に受診して。カウンセリングと、投薬コントロール。信頼出来る精神科医を探せよと。

現実的な視点で見たらそれ一択。その上でフージは関わればよろし。

彼女の取っている行動が件の病気故ならば、最後の展開も仕方ない。あれは彼女のわがままでは無い。そしてこれからもこういう事は何度も繰り返される。そういう理解と覚悟が要る。彼女と付き合っていくという事は。


フージは一体どういう選択をするんでしょうね。


最後。視界が開けたフージが、文字通り飛び立っていく。物語は幕を下すのに、これから始まるのであろうフージの新しい世界。

「それがフージにとって眩しくて、わくわくするものでありますように。だってフージ、めっちゃいい奴なんやから。」

正にフージ。好きにならずにいられない。