映画部活動報告「ニュー・シネマ パラダイス」
午前十時の映画祭「ニュー・シネマ パラダイス」観ました。
映画業界が名付けたという、GWの最中に上映されるという粋な計らい。そりゃあ、観に行きますわな。
1988年。イタリア映画。
1989年のアカデミー賞 外国語映画賞。同年カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞作品。
1950年台。とある田舎の村。皆の唯一の娯楽施設であった映画館。
そこで育った一人の少年。
30年後、ローマで映画監督になった彼のもとに、ある訃報が届く。
「マイベスト映画はニュー・シネマ パラダイスです。」
そう言う人がとても多い作品。
あの、村の皆。そして主人公の少年のわくわくした表情。
あんなにも笑って、泣いて、皆で共有して観る映画体験は、確かに幸せそのもの。
上映中邪魔な客も、皆憎めなくて。
当方は、ただ漠然と好きだから映画を沢山観てしまっていて。
漠然とでは無く、何だか指命の様に観ている方々も沢山居て。
辞書の様に、やれこの監督は。この捕り方は。この俳優は。この表現は。どうのこうのと。
映画を観る事が増えて、慣れるにつれて、引き出しの多さから分類化されて、何だか賢そうに語ってしまうきらいがあります。
この映画を、あれやこれやと語る文章もありますし、あれやこれやと語る御仁も居るでしょう。
当方の好きな事に「ラジオを聴く」という事もありまして。まあ、仕事もありますし、近年は専らネットラジオを通勤やらに聴く感じなのですが。
その、ネットラジオの中年パーソナリティーの男性(素人さん)が、「ほんまに好きな映画でなあ」と語ったニュー・シネマ パラダイスの話が一番好きなんですよ。
映画は好きなんでしょうが、別に迫られて行く訳では無い。そんな中年男性が、わくわくしながら、その映画を知らないと言う相方に一生懸命伝える。
特別な事を言った訳でもありません。ただ、この話を、熱を持って、順を追って丁寧に話しただけ。
でも、そこには、技法だの、監督だの、そんなのは全く無くて。
「兎に角、好きで好きで仕方がないから聴いてくれ。」
そんな力こそが、この映画の魅力。
トトの成長と甘酸っぱい恋。その成長過程を追いながらも、ずっと見守る、完璧な男。
父親が戦死した彼にとっても、そして観ているこちら側にとっても、アルフレードは、広く、穏やかで…でも、暖かいばかりではない父親。
ほんまに格好いいんですよ。
ラスト。どんなに知っていても。
「ほんでな!最後な!」と高揚したパーソナリティーの坂口さんの声を思いだしながら。
こういう顔をせざるを得ない。至福。
スクリーンでやる度に、観ては泣ける映画です。