ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「シン・ウルトラマン」

「シン・ウルトラマン」観ました。
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庵野秀明企画・脚本。樋口真嗣監督作品。

 

次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)が現れ、その存在が日常となった日本。

通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は,禍威獣対策のスペシャリストを終結し【禍威獣特設対策室専従班】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。

班長・田村君男(西島秀俊)。作戦立案担当者・神永新二(斎藤工)。非粒子物理学者・滝明久(有岡大貴)。汎用生物学者・鮒縁由美(早見あかり)が選ばれ、任務にあたっていた。

禍威獣の危機が迫る中、大気圏外から銀色の巨人。

禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、神永をバディを組むことに。

浅見による報告書に書かれていたのは…【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。

(映画シン・ウルトラマン公式ホームページ『イントロダクション・ストーリー』より引用)

 

昭:テーマは『空想と浪漫。そして、友情』。

和:はいどうも。当方の心に住む男女キャラ『昭と和(あきらとかず)』です。

昭:いつもはねえ~男女の心の機微を語りあってるんですけれどもねえ~本当に…なんで今回我々が召喚されたのか…荷が重いよ…。

和:この作品はどんな切り口で語っても角が立つ。でも…「観た映画の感想をすべて書く。順番を入れ替えない」がこの感想文の縛りなんで。ここ乗り越えないと先に進めないんですわ。頑張っていこう!

昭:(深いため息)頑張っていこう…ところで。当方は幼少期から全くウルトラマンに触れてこなかったこと、この作品が初めてのウルトラマン体験だったことをお知らせしてから始めていきたいと思います。後、そこそこネタバレ挟んでいくと思います。あしからずご了承ください。

 

和:どうやった?ウルトラマン

昭:こういう話やったのか~という感想。映画館で推定50台くらいの男性が「これはいいものを観させてもらいました」と感極まっていたところと、巷で耳にする往年のファンの皆様の口ぶりからも『うまくまとまったファンムービー』だというのは間違いないようなので。ダイジェストで『ウルトラマンとは』を教えてもらった感じなのかと。

 

和:禍威獣が跋扈するのが日常化した日本列島。なんで毎回毎回日本にだけ現れるんだよ禍威獣のやつ…日本政府は防災庁から禍威獣特設対策室専従班こと通称『禍特対』を設立し陣頭指揮を任せていたが…禍威獣との戦闘中、突如現れた銀色の巨人!はたして敵なのか味方なのか…と思っていたら、禍威獣と戦ってくれた!一体何者?!

昭:冒頭10分くらいに高速で『禍威獣VS禍特対の歴史』が展開されるんやけれど。もうこの「ウルトラQ のファン胸アツシーン」から「ああ…今日はファン感謝祭を観に来たんだな」と腹を括ったな。

ファンたちで「わかるわかる~」「こんな細かい所まで!」「懐かしい~こうやったよな~」ノスタルジック満載…やったんやろうな。知らんけど。

和:巷で見え隠れする賛否両論。当方は「こういうお話やったというのは分かったけれど、いかんせん人間の描き方にもやもやを感じる」というのが正直な感想。諸手を上げて良かったとは思わない、けれど駄作だとも思わない。

 

昭:禍威獣に翻弄されていた日本列島。禍特対を構えて対応していたが、被害も甚大。お金もかかる。そんなときに現れた巨人…なんと外星人(宇宙人)。

 

和:ウルトラマン登場以降、禍威獣の出現がとんとなくなった…代わりに外星人たちが入れ替わり立ち代り現れては日本政府に揺さぶりをかけてくる。

昭:世界を牛耳るにあたってこんな小さな島国を掌握したところで…もっと大国ねらえよ外星人…なんていらん事考えている暇なんてない。テンポも展開もキャラクターたちの会話も全部早い…下手したら振り落とされる…やってきた外星人はザラブ星人メフィラス星人、ゾーフィー。なかでもメフィラス星人山本耕史)はとびきりよかったね。

 

和:やたら多用する慣用句。そのあと決め顔で「私の好きな言葉です」。心がこもっていないうさん臭さがたまらん…山本耕史は適任やったな。

昭:「生体を巨大化させるベータ-システムを活用し、人類が巨大化することで外星人から身を守っては」という提案。口八丁手八丁で日本政府と商談を進めベータボックス受領式を取り付ける。

和:何故禍威獣が出現していたのか。それは地球に放置されていた生物兵器を放ちウルトラマンをおびき寄せるため。人類には「禍威獣対策」と持ち掛けたけれど、メフィラス星人の本心は「巨大化した人類を兵器として使う」という目的があった。

同じ外星人だから手を組もうとウルトラマンに持ち掛けるが断られ、受領式をぶち壊されて戦う…けれど途中であっけなく踵を返す。この急展開よ。

 

昭:光の国。ウルトラマンの故郷である星から来たゾーフィー。「宇宙の秩序を乱すものは四の五の言わずに消去!」という正義ゆえの一刀両断。最終兵器ゼットンで地球崩壊へのカウントダウンを始める。

和:つくづく外星人たち一方的やなあ~。一体地球が、日本列島が何をしたっていうんだ。

 

昭:人間パートの話、しとこうか。

和:聞き取る側を一切無視した早口の応酬。基本説明セリフ。円陣組んだ下からのアングルの多用…あれ、女性に優しくないショットよな~顔がたるんで見える。

昭:女性に優しくないといえば…例の巨大化したシーンどう思った?

和:メフィラス星人による浅見弘子の巨大化。ただただ心がざらついた…というよりも浅見弘子の演出全体に製作者のセクハラを感じて不快だった。

昭:自身に活を入れるのにお尻を叩く。癖だとしても、他人のお尻まで叩くのはなしやな。

和:唐突に「もう何日も風呂に入っていない」と言わせた直後に匂いをかがせるシーン。あれ何?気持ち悪い。

昭:こういう話なんだよとか、あの監督はこういうシーンを入れてくるんだよとか。いちいち目くじら立てるな。フェミニズムにおもねるのはつまらないとか。そういうおおらかにいこうぜという声もきいたけれど。

和:単純に『必要ない』要素やと思う。男女関係なく。面白くもない。エロくもない。「こういう女性っていいやん」とももちろん思わない。

 

昭:テーマには『友情』も入ってるんよな。

和:神永新二との融合で生まれたウルトラマン。自己犠牲を払ってまで人を想うその姿に打たれた。人類は救うに値する生物であると。

昭:禍特対メンバーの連帯感。ウルトラマンの分析官として投入された浅見弘子と神永新二の友情…友情?いつはぐくまれた?「私たちはバディなんだから」と刷り込むうちに?

和:とにかく人間パートは「脳内の引き出しで捕捉して鑑賞に当たれ」。雑…人間は物語を進めるための説明をする存在でしかない。

 

昭:最終兵器ゼットン。元ネタもエヴァンゲリオンも未修なんで…何とも言いようがない。

和:大風呂敷たたみ方が急やったな~。まあでもこれだけの情報量を1時間52分で展開してまとめたことを思ったら、これ以上説明して引き延ばすより落とし方がきれいなのかな。

 

昭:さんざん文句言っちゃったね。

和:でもねえ。じゃあ観るなよ!って言うのはご法度やと思うんよな。映画は誰にでも(年齢制限がなければ)開かれているし、どう感じるかは人それぞれ。誰かにとっては駄作でも、誰かにとっては名作なことは往々にある。ちょっとそのふり幅が大きかった作品だとは思ったけれど。

昭:映画館で「いやあ~いいもの観させてもらいました」そう言ってほころんでいた中年男性。映画を観て興奮して、感動する体験。かつてのウルトラマン少年にああいう表情をさせたなんて…なんてよくできたファンムービーだったんだろう。

 

和:浅瀬で好き勝手に語りましたが…シン・シリーズ…文句を言いつつも次回公開作品も映画館に見に行く予感がする。結局は『でっかい奴がでっかい奴と戦う』作品が好きなもんで…。

 


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写真は当方が高校生の時に買った『ウルトラマンハンガー』今でも現役です。