ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「THE BATMANーザ・バットマンー」

「THE BATMANザ・バットマンー」観ました。
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「嘘はもう沢山だよ」

 

2022年3月11日劇場公開。かねてより「当方はバットマンが好きでねえ」と地味に周囲に公言していた当方。ちょっと真顔になってしまうほど切羽詰まった勤務状況の中、それでもしれっと有給休暇を取って初日初回鑑賞…から早一か月。

さすがに…さすがに映画部活動報告をため込みすぎている。けれど全然たどり着かない。現実世界と趣味に費やす自由時間の乖離が…なんてやきもきしている間になんと一か月…ちょっと薄れた部分もありますが覚えているうちに備忘録として残しておきたい。そう思って書いていきます。

 

社会に出てもはや何十年。これまでの人生の半分は社会人として生きてきた。そんな当方が今回のバットマンを見て感じたのは「若っけええ~」ということ。

 

青年ブルース・ウェインロバート・パティンソン)。悪党どもが跋扈するゴッサム・シティで『バットマン』を開業して2年目。

両親を殺害された復讐を誓い、悪党どもを根こそぎ始末するべく夜な夜な街を徘徊する。全身黒ずくめの蝙蝠スーツに身を包んで自らを『バットマン』と名乗る。そんな「お前こそが不審者だ」と言わんばかりの彼を、何故だか警察官のゴードン(ジェフリー・ライト)だけは正義の味方だと理解してくれていて、有事の際はバットマンを呼び出しともに捜査に当たる。

ある時から、ゴッサムシティの有識者が次々と何者かに殺害される事件が始まった。しかもその傍らには明らかにバットマンにあてた、挑戦状ともとれる「なぞなぞ」が添えられる。

史上最狂の知能犯『リドラー』。一体何故犯行を繰り返しているのか。その目的は?

 

1990年代後半。当時中高生だったかぎっ子当方は、帰宅してすぐにローカルテレビ局でやっていた、古いバットマンの再放送を妹と見るのが大好きだった。爆発とともに「BOMB!」とか文字が入ってくるようなギリギリカラー放送、みたいなやつで全身タイツのバットマンとロビンがあたふたするショート物語。それが当方のバットマンの原風景。

公開は1992年だけれど。当方が見たのは多分1995年くらいのテレビ放送。ティム・バートン監督の『バットマン・リターンズ』。

バットマンキャットウーマン、ペンギン、ジョーカー。豪華メンバーで大暴れしたこの作品が、当方的にはいまだに一番好きなバットマン映画。

その後、『ダークナイト』で一躍有名となったノーラン監督の三部作。ホアキン・フェニックスの怪演が記憶に新しい『ジョーカー』。

思いっきり雑にバットマンについて振り返ってみましたが…これらのシリーズに関して共通しているのは「バットマンの精神面は確立していた」ということ。

 

「金持ちの変態コスプレ野郎」怪人や異星人じゃない。超能力も持ち合わせていない。ただただ金持ちなだけ。「親の仇をとりたい」という執念がイコール正義の味方としての立ち位置を保つ、どこまで行ってもホモサピエンス。人間。

体を鍛え。己の持つ財力を武装につぎ込む。そのアイテムはどこか少年の夢を結晶化させたものばかり。飛べるコスチューム、派手で爆音を鳴らし、自由自在に姿を変えるバットモービル

けれど「癖が強い、自分の好みで固めたアイテムを真顔で使いこなす中年男性」と揶揄されたとしても「だから何だ。俺は俺だ」とどっしり構えている。そんな貫禄を見せていた。それが当方が感じていた歴代の『バットマン像』。そこが今回根底から覆った「中2系男子バットマン」。とにかく闇属性。

 

バットマン2年目。活動こそは「正義の味方」のつもりだけれど。鬱屈した気持ちが抑え込めない。ゴードンは仲間だと思っているけれど、ほかの警察官たちとはぎくしゃくしている。

「会社人ブルースって世渡りうまいイメージだけれど…」もう全然。執事のアルフレッド(アンディ・サーキス)にべったりで家からほとんど出ない、夜になって初めてコスプレ姿(バットマン)でうろつきだす。

 

そんなころ。なぞなぞ大好き怪人・リドラーが活動を始める。街の有識者を時に中継しながら無残に殺害し、その傍らにバットマンへの挑発メッセージ=なぞなぞを残す。

…またねえ。そのなぞなぞを間髪入れずに回答するバットマン。あれ、なぞなぞ王者決定戦でも連想しにくいタイプのやつだと思うんですけれどねえ。そこで「リドラーバットマンって世代が同じとか思考が共有できる環境にあったんだな」と思わせる。

 

相棒のゴードンと途中から仲間になったキャット・ウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)のコンパクトなチームでリドラーに挑むけれど…どんどん孤立していく。何しろ周囲こそが腐敗しまくっっていたから…(しっかし、ゴッサムシティの治安とモラルの低さよ)。

 

リドラーとは一体何者だ。正義の味方と犯罪者。互いにそういう立ち位置にいるけれど。正義とはなんだ。嘘をつき、人々をだまして私腹を肥やした奴らを一掃する。立場とやり方が違うだけで、実はリドラーバットマンは表裏一体じゃないのか。

「育ってきた環境が 違うから~ 好き嫌いはいいなめない~」

愛情に飢えた幼少期があった…ここでまさかのキャット・ウーマンも合流。「愛されたかったときに周りがどう見えたのか」「その思いを原動力にしている!」

 

「若いな~」歳をとった当方がぽつり。「育ってきた環境は選べないけれど、今の自分を作り上げたのは環境だけじゃない。自分が選択して自分を作ってきたんやって」「裏切られた、だからやり返してやる、という思考は何も生まない」「幼い」

 

「憎い」そう思う相手に家族や大切な人がいたら?鉄拳制裁は、自分と同じ思いをする人間を増やすだけじゃないのか?理不尽に理不尽で対抗することは、同じ土俵に降りるだけで何も生まないんじゃないのか?

 

リドラーバットマンのキャット・ウーマンも。同じような場所にとどまって、大人になり切れずに苦しんでうごめいて周りを傷つけている…けれどこの流れを経て、やっと自分が目指すべき道が見えた。そして各々信念と思える道に進みだした…という風にみえた(気がした)当方。

 

荒い部分もちらほら。リドラーの最終目的は「ん?」と意味不明だったし、そこで急に「エエやつ」に全振りしたバットマンにも「急にそんな」と思ったし…(これ、観ていない人にはちんぷんかんぷんだと思いますけれど…ぶっちゃると「あの水害のシーン、要る?」と思っています)

キャット・ウーマンのコスチュームはもっと凝ってほしかったな~。ゾーイ・クラヴィッツは滅茶苦茶キュートに演じていたんやしやし…とか。

 

まあでも。バットマンVSペンギンのカーチェイスとか。「もう何が何だか…」つい声を殺して笑ってしまうほどのわくわく無茶レース。あんなんみてしまったら、もう文句は言えませんわ。

 

主演のロバート・パティンソンの他。「え!ここでポール・ダノ!」「コリン・ファレルがこんな!」事前情報を随分シャットアウトして望んでいたので…うれしい悲鳴もあり。

 

ところで…最後のあの幕の閉じ方…続編ありってことなんですかねえ…当方は何であれ基本的に続編は希望しない派なんで…中2系男子編はもう…おなか一杯…ごちそうさまです。
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