ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「レミニセンス」

「レミニセンス」観ました。
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近未来。温暖化が進み地球の海面が上昇。多くの都市が水没した。

故人の記憶に潜入し、時空を映像化して再現する『記憶潜入(レミニセンス)エージェント』こと元軍人・ニック(ヒュー・ジャックマン)。

助手のワッツ(ダンディ・ニュートン)と二人、荒廃した町の片隅で細々と生計を立てていた。

ある日店じまいの時に訪れた美女・メイ(レベッカ・ファーガソン)。依頼人のメイと瞬く間に恋に落ちたニックだったが。

 

昭:はいどうも。当方の心に住む男女キャラ『昭と和(あきらとかず)』です。

和:マスター!濃い目のお酒持ってきてください。飲まないとやっていけません!

昭:荒れてんなあ~。まあ…同じ人間の心から派生しているから分かるけれどさあ。

 

和:これ、インターステラ―やダークナイトで脚本担当していたという、ジョナサン・ノーランが製作で、彼の妻のリサ・ジョイが監督作品なんですわ。

昭:兄弟やからどうとは言ってはいけないんやろうけれど…正直、ポスターの見た感じとか「記憶に潜入する」という設定とかインセプションの既視感が否めなかったな。

和:海面上昇に依って都市が浸水、水が支配する世界。っていう設定は良いのにほとんど生かせてなかった。そして舞台が近未来で記憶潜入というSF要素を入れているのにも関わらず、内容はベッタベタのメロドラマ。

昭:荒れてんな~。落ち着いてくれよ。

和:元軍人のニック。街の片隅で助手のワッツと二人で営む記憶捜査エージェントのお仕事。誰もがが疲弊しきった生活にうんざりしていて、かつて自分が輝いていた記憶を求めて訪れる。頭に装置を付けて、カプセル型の浴槽?装置に横たわり、入眠剤を投与。ニックの声によりいざなわれる、求めていた心地よい過去の世界。

昭:昔。健康だったころ、愛犬と遊んだ。愛した人との幸せな時間。幸せな記憶。

和:あのカプセルの水ってどれくらいの頻度で交換しているんやろう?ある程度の温度にはしているんやろうし…レジオネラ菌とか意外と侮れんぞ。

昭:そういう茶々はやめろ!ある日、店じまいをしたのに強引に訪れた女性。彼女こそがニックの人生を大きく変える事になった運命の女性、メイだった。

和:もうねえ~THEファムファタルなんですわ。「家の鍵を無くして帰れない。無くすまでの記憶を見たい」と依頼してきたメイ。希望どおりに彼女の記憶を辿ることで、彼女がバーで歌う歌手であると知り、惹かれるニック。

昭:ニックにとって幼少期の思い出の歌を、しっとりと歌い上げていたメイが気になって。翌日には彼女が歌うバーへと来店。ちゃっかり口説いて、そしてすぐに恋人になった。ラブラブな日々。なのに何故。メイが姿を消した。

 

和:一体メイに何があった?ほとんどの事が手に付かなくて、メイとの記憶を辿り続ける日々を過ごすニック。そんなニックにうんざりしていたワッツは、ある日検察からの依頼を受ける。それは瀕死状態のギャングから情報を引き出したいというものだった。

昭:犯罪者の記憶から事件の手がかりを探る。これまでもそういう仕事は受けてきた。

検察の狙いは、最近勢力を伸ばしつつある新進気鋭の麻薬王、セント・ジョーの足掛かり。彼の手下であるギャングから何か手がかりを得ようとしたのに…ギャングの記憶映像の中にメイの姿を見つけてしまう。

 

和:あ~もう最悪。思わずワッツと同じ表情で舌打ちしてしまった。またこの女かよ~。案の定、捜査なんてそっちのけでギャングの記憶の中からメイの部分だけを追いかけようとするニック。い~つでも~さ~がしているよ。どっかに~き~みのかけらを。ああもう鬱陶しい‼公私混同‼

昭:案の定。検察から帰ったらその足で単身セント・ジョーのアジトにカチコミ。

和:なのに弱いんですわ~。元軍人ニックよ!

昭:結局後を付けてきたワッツに助けられる…なんだかなあ~。

 

和:ここからも行き当たりばったり感が否めない雰囲気で進行するんですわ。兎に角一貫しているのはニックの「俺の愛した女は最高なはずだ」という男性目線のロマンチシズム。話が進めば進むほど、メイが一筋縄ではいかない小悪党だとしか思えないのに「俺と彼女が過ごした時間。あの時見せた彼女こそが本物だ」と譲らない。後、ニック全然仕事してない。

昭:ボロクソやないか…。いい所見つけていこうぜ。

和:助手のワッツ。彼女の存在は唯一の正義やったと思う。仕事中も含めいつもお酒を飲んで。そこにも実はストーリーがあったけれど、少なくとも仕事では有能やし、ニックに対して抱いている感情もコントロールしつつ寄り添う。恋に溺れて暴走しているニックにやれやれと溜息付きながらも伴走している。ニックよ…身近にきちんとあなたを大切に想ってくれている人が居るのにさあ!分かってない。

 

昭:麻薬王すらも手玉に取った過去を持つメイ。どういうつもりでニックに近づいたのか。何故彼女はニックの前から姿を消したのか。何を守ろうとしたのか。

和:水に支配された世界。地主と呼ばれる一部の人間だけが乾いた土地に住んでこぎれいな生活を送る。水に浸かった町に住む人々の疲労感は、溜まりに溜まって遂に暴動寸前まで追い込まれていた。という設定をやっと思い出した顛末。一応そういえばそういうエピソードあったな~と思いだしたけれど。そこと繋げるのは急転直下やったかなあと思ったな。

昭:まあ。結局「俺の愛した女が悪い奴なはずがない」ということかね。

和:おっと、昭さんもそうきましたか。

 

昭:俺はねえ。主人公ニックの「俺の愛した女は最高だ」「俺と彼女との愛こそが全てだ」と盲目に突っ走る姿もポエムな世界観にも辟易したけれど。メイとワッツの「男って目の前の物事が見えていないのよ」という「男ってさあ~バカよね~」みたいな会話も気にくわないの。結局どの目線に腰を据えるべきなんだ。この話は何だ。一体何を観せられたんだ。

和:強いお酒、要る?

昭:要らんよ!なんていうかさあ~ベッタベタに甘い何かを食べて胸が焼けている状態。胃は膨らんだけれど、一体何を食べのかが分からんかった感じ。

 

和:まあ…せめて水に沈んだ都市の設定がもっと生かされたらなあ。話が進むにつれ、水位がどんどん上がっていくとか。

昭:映像は壮大やし、ニックとメイのラブラブなシーンも画的には綺麗なんやけれどな~。これは多分、当方のいう「オサレバー映画ジャンル(オシャレなバーで、無音で流れている系の映画)」やったんやと思う。…ということでマスター!濃いめのお酒持って来て下さい!

 

和:…薄暗いバーで映画が流れた後、おもむろにスポットライト浴びながら現れる歌手、メイ…ってどんな余興だよ。そして…ああ、我々は結局月曜日から飲んでいる…。