ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ソウルメイト 七月と安生」

「ソウルメイト 七月と安生」観ました。
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2016年公開の中国香港映画。アニー・ベイビーの同名ネット小説の映画化。

チョウ・ドンユイとマー・スーチャンW主演。デレク・ツヮン監督作品。

 

上海で暮らす安生(アンシェン/チョウ・ドンユイ)は、ある日仕事からの帰宅中に映画会社を名乗る人物から声を掛けられる。それは「今話題のネット小説『七月(チーユエ)と安生(アンシェン)』を映画化したい」という依頼だった。

「この安生とは貴方の事でしょう?作者である七月さんと連絡を取りたいのですが。」

そんな小説は知らない。七月とはもう何年も連絡を取っていないと突っぱね、そそくさと帰宅した安生だったが。

「七月…。」13歳の時に知り合い、共に青春を駆け抜けた。家族同然で、楽しい事もあったけれど…同じ人に惹かれ。生活や環境も変わってすれ違いが増えた。気持ちをぶつけ合い苦しい思いも沢山した。そんな特別な親友、七月(チーユエ/マー・スーチャン)。

おもむろにパソコンを立ち上げ、教えられた小説を開く。そこに描かれていたのは、二人のこれまでの軌跡だった。

 

昭:はいどうも。当方の心に住む、男女キャラ『昭と和(あきらとかず)』です。

和:投げやりな言い方よ。

昭:だってこれ『男女の機微云々』案件ちゃうもん。男性目線で語る事…あるけれど、多分辛辣になってまうで。

和:まあまあ。そこはちょっと抑えながら…感想を言い合っていきましょうよ。

 

昭:13歳。かったるい軍事訓練の途中に知り合った安生と七月。父親不在で何だか訳ありな家庭で放置気味に育った安生と、両親に愛情深く育てられた箱入り娘の七月。育った環境も性格も全く違うのに、意気投合し一気に仲良くなった二人。何となく安生の家庭事情を察して、夕飯を一緒に食べさせたりお風呂に入れたり。まるでもう一人娘が増えたかのようにもてなす七月の両親。優しい。

 

和:15歳。高校に進学した七月と美容系専門学校に進学した安生。進む道は変わったけれど私たちはずっと一緒。そう思っていたのに…七月からの「私。好きな人ができたの。」

昭:はい来た!少女漫画展開!

和:険があるなあ~。「同じ学校の同級生で蘇家明っていうの。」

昭:七月からそう告げられた時の安生の表情よ。いかにも「私よりも⁈」っていう…でも惚れ気を聞かされては堪らない…思わず即日家明本人に声を掛けに行った。

和:「アンタの事を想っている女の子がいるよ」そして七月にも「行動あるのみ」とたきつけ。無事お付き合いするに至った七月と家明。

昭:そこからが長いんよな~。何だかんだこの二人27歳まで付き合い続けるんよな。

 

和:晴れて恋人同士になった七月と家明。けれど…三人で出かけた洞窟で、安生と家明が妙な雰囲気になっていたりと気が抜けない。

昭:ちょうどその時の彼氏だったバンドマンに乞われて、共に町から出る事を急に決めた安生。見送りの駅で泣きながら電車を追っていた七月は、手を振る安生の胸元に家明が付けていたお守りのネックレスが下がっている事に気が付き、思わず足を止めた。

 

和:バンドマンと破局。その後流浪の生活を送る安生。かたや堅実な大学に進学した七月と家明は交際を続けていた。色んな場所から送られてくる安生からの手紙。その最後はいつも「家明にもよろしく」で〆られていた。返事を書くけれど…一体今どこに住んでいるのか…七月からは安生に手紙を送る事が出来ない。

昭:大学卒業後地元の銀行に就職した七月。社会見学の為2年ほど欲しいと都会に出た家明。そして安生と再会する。

和:確か一回安生が地元に戻ってくる下りもあったよな。それで安生と七月で旅行に行くんやけれど…そこでお金とかの価値観の違いで言い合いになるの。

 

昭:よし。作品の流れをつらつらリレーするのはこれくらいにしておこうか。俺はここからは言いたい事を言う。

和:切り出し方が怖いよ…。

昭:これさあ。家明の魅力、どこにあんの。

和:おおっと。最大の問題点を付いてまいりました。

昭:高校生自分なら、確かに「ハンサムで勉強もスポーツも出来る」とかがあるんかもしれんけれど。この二人の女子が家明に12年も固執するのはなんでよ。

和:はっきり言うと安生は「七月から彼氏を取り上げたい」「七月は私のものなんだから」。けれど七月からしたら単純に「私の彼氏を取らないで」ってやつでしょう。

昭:お前…よく切れる刃物で切り付けられたみたいな気持ちになったぞ今。それって家明…不憫じゃないか?12年も二人の女子がキイキイ言いながら纏わりついて自由が利かないって。

和:いやいやいや。家明何だかんだ入れ食い状態やった訳でしょうが(言い方…)。大体、家明の優柔不断さも悪い。覚悟があったら「社会見学の為2年」とか言い訳せんと卒業してすぐに結婚するかとっとと別れるでしょうが。

 

昭:怖い…当たったら即死な剛速球を受けた気がする。そして物語の転機となった『七月の結婚式』。ここで遂に家明が失踪。花婿に捨てられた七月は地元には居られなくなり、銀行を辞めて町を出る事になる…ってネタバレすみません。でもさあ。「花婿に逃げられて町に居られなくなり」って…花婿の方が断然重罪やん。家明こそ二度とこの町に戻れないやんか。

和:それが七月が最後に家明に出来た優しさやったと思うな。長い間ずっと囚われてきた七月と安生との関係や『堅実な世界』から…自分と共に解放してやった。

 

昭:家明優柔不断意味不明キャラについて俺はもう深追いしない。そして物語の終盤でやっとこの元ネタとなったネット小説『七月と安生』の全貌が見えてくる。

 

和:なんかさあ…終盤は「もうどこで着地してもいいんですけれど」の連続やったね。

昭:コロコロ変わる真実のその先。このネット小説の本当の作者は。そしてどういう意図で書かれたのか。結末は作者の「こうであって欲しい」という想いが込められていたと。

和:う~ん…時系列が意外とタイトやったんやなあ~…そしてあの子供の真相が本当なら、ちゃんと然るべき身内に相談しないと。別に勘当されている訳じゃあるまいし。

昭:ちょっと大風呂敷の畳み方の雑さが気になったかな。というか、全部見終わってから振り返ると随所随所で現在の安生の行動に整合性が無くなる…。

 

和:切り替えよう!最後に。W主演の二人、可愛かったね。高畑充希みたいなきりっと美人な顔立ちの七月と、元モーニング娘。加護ちゃんみたいなファニーフェイスの安生。

昭:俺初めて加護ちゃん系の可愛さを認識した。またねえ。二人とも演技が上手い。

 

和:『少年の君』公開記念での期間限定公開。感想文を書いている今現在はもう上映終了してしまったけれど。瑞々しい青春映画が観られたね。

昭:俺、二人の女子が長い間一人の男子を巡って…てっきり『星の瞳のシルエット』(柊あおい著1985~1989年リボンコミックス掲載の漫画)的なやつかと思ったよ。まああれはあれでフラストレーションが溜まるんやけれど。

和:やめてやめて。話が長くなる上にややこしい別案件もち込まんといて…やめて…(フェイドアウト)。