ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ノンストップ」

「ノンストップ」観ました。
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「韓国史上初のハイジャックアクション超大作!」

 

揚げパン屋を営む妻ミヨン(オム・ジョンファ)としがないパソコン修理工の夫ソクファン(パク・ソンウン)。一人娘のナリと慎ましくも幸せに暮らしていた3人家族。

ある日。ソクファンが景品で当てたハワイ旅行。初めこそ「うちにはそんなお金はない!」と諦めていたが。

「海外旅行に行ってみたい」そんなナリの夢を叶えるべく遂に決心した家族旅行。

お揃いのアロハシャツに身を包み。浮かれ気分最高潮で乗り込んだ旅客機には、まさかの北朝鮮のテロリスト集団が乗り合わせていた。

 

「『消された女』のイ・チョルハ監督?」

この感想文を書くにあたって。改めて手元資料を見直し驚きが隠せなかった当方。

あの「韓国の事情は知らんけれど精神科界隈に謝れ!」という終盤『ゲット・アウト』風展開を見せるアレか!ガラッと作風変えてきたな~。

watanabeseijin.hatenablog.com

 

韓国のエンタメ事情にもトンと疎い当方。今作の主人公ミヨンを演じたオム・ジョンファが本国で人気の歌手でありエンターティナーである事を当然知る由もありませんでしたが。ですが感じた。「この人は人気者だな」というオーラ。兎に角明るい。

 

「そもそもさあ!」

15分おきくらいには声を上げてしましそうな超展開の連続。

「ほんま自分ら北朝鮮イジるの好きやなあ~」「航空会社の金属探知機どうなってんの。どうして機内に銃が持ち込めるんだ」「ボーイング777は夜行バスレベルしか人数が収容できないの」「あっさりと入れたコックピット」「切り替え早いな乗客と乗務員の皆さん」エトセトラ、エトセトラ。

 

こと「上空1万メートルの上空で繰り広げられるアクション!」には気圧で体調が容易く左右される当方には「いやいやいや~」の連続…でしたが。そんな下らないチャチャはどうだっていいんですよ。そういうの、野暮なんで。

 

というのも。序盤の揚げパンを揚げる映像が…あんなに美味そうに撮れるなんて…これは間違いない。

(当方が確信した瞬間)

 

「家族で初めての海外旅行。最高潮に盛り上がっていた旅客機で遭遇した北朝鮮のテロリスト集団!」「しかし彼らのお目当ては母親のミヨン!」「実は彼女は昔、北朝鮮のスパイだった」「足を洗い、一般人として暮らしていたミヨンだったのに…一体彼らの目的とは何なのか!」

ほとんどの文章の末尾にビックリマーク。終始ハイテンション。

「かつて超精鋭部隊に属していたモクレンことミヨン。いまでこそ主婦に落ち着いていたが…やはりその戦闘能力は衰えてはいなかった。」

 

ミヨンがまた無双。キレッキレのアクションでテロリスト集団をぶちのめしてく。

始めのアロハシャツダサダサコーディネートから客室乗務員コスプレへお着換え。(私的な事情ですが…飛行機の客室乗務員コスプレって当方の心のやらかい所をギュンギュン締め付けてくるんですよね。余談ついでに、そういう意味で最高なのはブリトニースピアーズのToxic。)

果てはジャージでアクションかましていましたが。

 

この作品では、乗客や客室乗務員たちも軒並みキャラクターが立っていて。

やたらと警戒し意味ありげな行動を取る若い女性。高圧的な態度をとる議員。ハワイで出産予定の女性とその義理の母親。飛行機が怖いスーツの男性。

スパイやパニックモノを見過ぎてミッションインなんとか気分に浸り過ぎな男性乗務員や現場を取り仕切る真矢真紀風リーダー乗務員。皆がいい感じに絡み合って、和気あいあいとした雰囲気で終始盛り上げる。飽きる暇がない。そして。

 

ミヨンの夫、ソクファン。

しっかり者の妻の尻に敷かれる良き夫。そんな彼の真の姿とは~。

一応宣伝媒体では正体を明かしていなかったようなので。当方もふんわりした扱いでいこうと思うんですが。まあ、ただのしがないパソコン修理屋では無かったんですわ。実は相当なパソコンスキルを持ち合わせる元エージェント。けれど…あくまでも頭脳派。

 

お互いベタぼれのラブラブ夫婦なのに、本当の姿は隠して暮らしていた。けれどその素性を確認した後は…心技一体。タッグを組んでテロリストに立ち向かう。

 

「何故北朝鮮のテロリスト集団が引退した元女スパイに執着するのか」そのお答えには「ハッ!へそで茶が沸くわ!」と、これまで脳裏をかすめた事もなかった人体の不思議現象を想像してしまった当方。加えて『昨日の敵は今日の味方』展開にもその後の『峰岸徹の謀反(絶対に観た人にしか伝わらない)』にも「片腹痛いわ!」と当方の中に眠っていた殿が覚醒するほどの…茶番感はありましたが。それはそれでご愛敬。ご都合主義上等。だってこういう無理やりな脚本は、楽しいから。

 

ちょいちょい誤解招く表現をしてしまいましたが。兎に角終始全身の力を抜いて楽しめる作品。悲しくしてやりきれなくなるようなシーンは一切無く、兎に角カラッとした仕上がり。あ…まさに揚げパンのように(震え声)。

 

ところで。終始マスクの中でニヤニヤと締まりのない表情をしていた当方が思わず声に出して笑ってしまった瞬間。ソクファンの「このナッツは美味い。これがナッツリターン騒動のやつですかね?」

 

ストーリーは一見破天荒。けれど主人公夫婦を始め、出てくるキャラクター達が皆明るく楽しく愛おしい。テンポもだれずに飽きる暇がない。しかもすっきり100分。

揚げパンとオロナミンC片手に鑑賞したい(劇場では無理だけれど)。また飛行機に乗って旅行に行きたい。そんな気分になる。テンションの上がる作品。万人にお勧めしても大丈夫そうです。