ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「IT/イット THE END " それ"が見えたら、終わり。」

「IT/イット THE END"それ"が見えたら、終わり。」観ました。
f:id:watanabeseijin:20191116195507j:image

1989年メイン州デリー。田舎町で起きた、連続児童失踪事件。犯人は子供たちの恐怖心につけ込んで現れていた殺人ピエロ、ペニーワイズ。

冴えないクラスのはみ出し者。そんな7人の少年少女=ルーザーズ・クラブ。彼らが勇気を奮い立たせてペニーワイズに立ち向かい。そしてデリーの町に平和が取り戻された。

「もしまたアレが戻ってくる事があったら集まろう。」

そう誓い合って27年。

 

"それ"が帰ってきた。

 

ティーブンキング原作。1990年にも一度映像化。

2017年公開された『IT/"それ" が見えたら、終わり。』の時点で続編があると明示されていた。

前作が「子供編」今作が「大人編」。

 

前作から27年後。各々成長し社会で成功していた元ルーザーズ・クラブの面々。しかしデリーに唯一残っていたマイクからの招集発令。

「アレが現れた。今すぐデリーに帰ってきてくれ。」

 

ただ一人を除いて皆帰郷。デリーを離れた事で薄れていた記憶を取り戻していき、混乱する一同。

「もし戦いを放棄したら…。」帰郷しなかった一人が死亡したと知って。

逃げる訳にも行かず。再びペニーワイズに立ち向かう事になり。

 

169分あるんですよ。つまりは3時間近く。

冒頭のゲイカップル襲撃〜のペニーワイズ登場や子供の前をチラつく姿。その辺りは禍々しさ健在でしたが…正直、中盤以降の力尽きた感じが否めず。長さが気になってしまった。

 

「これは大人のパニックホラー作品では無い。あくまでも青春映画なんだ。」「『それ行け!ルーザーズ・クラブ!』という少年少女冒険物語なんだ。」「昔テレビで夏場にやっていた『学校の怪談』ジャンルだ。」そう言い聞かせた当方。

ホラーと青春。そのバランスが不均衡…ぐらぐらした挙げ句、キッチュな冒険活劇になってしまった。

 

と言うのも…完全に内容が『都市伝説に立ち向かう、かつて少年少女だった中年たち。』だったので。そしてその対峙方法は『己の負の過去や不安、コンプレックスを解放せよ』。

 

ペニーワイズの正体に関して、「隕石が」「宇宙人が」云々の下りには「ちょ、待てって!!」て当方の心キムタクが珍しく声を荒げ。「キングよ!これ、児童文学か⁉」けれどそのまま突っ走り。完走してしまった。

 

想像以上に前作の少年少女が引き続き現れ。大人になった彼らの心を傷つける。

そうなると「27年経ってもトラウマって消えないもんやなあ〜。」という溜息の連続。漫画『彼氏彼女の事情』並に全員成功者なのに。

 

あの洞窟で行われた最終決戦。お調子者なはずのリッチーが切な過ぎて、ただでさえメガネキャラには肩入れしてしまう当方の目に涙が浮かびましたが。

 

「でも…言葉攻めでそんな…だってこれじゃあペニーワイズに殺された犠牲者が余りにも犬死にになってしまうやないの…。」雑過ぎやしませんかね…歯切れが悪いながらも納得出来ないとボヤく当方。

 

最後。爽やかな風で幕を降ろそうとしていましたが。「煙に巻かれんぞ!」叫ぶ当方。散々恐怖心を煽った殺人ピエロの顛末にしてはあっけなさ過ぎる。

 

ところで。今作で唯一異質で面白かったシーン。

「少女べバリーがかつて父親と二人暮ししていた家を訪れたシーン。」

現在そこに住む老婆のいかにも「く〜る〜きっとくる〜」というワクワク感。そして案の定。

この老婆がMナイト・シャマラン監督作品『ヴィジット』を彷彿させるヤバさ。動きも素晴らしかった。

「あれ?という事は…シャマラン監督でもし作っていたら??ハナから『少年少女冒険活劇』で。…それはそれで観てみたいかも。」

 

散々文句を言ってしまいましたが。デリーの街から殺人ピエロは完全に居なくなった。これで子供たちは安心して夜眠れる。

ルーザーズ・クラブ』だった彼らが本当の意味で負け犬から卒業した。そういう話だったのだと言い聞かせて。大人しく、当方も立ち去ろうと思います。

踵は返しません。