ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「午前十時の映画祭 ゴッドファーザー」

「午前十時の映画祭 ゴッドファーザー」観ました。
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1972年公開。マリオ・プーゾの同名小説の映画化。マーロン・ブランドアル・パチーノ出演。フランシス・フォード・コッポラ監督作品。

「言わずと知れた超名作。」「以降ゴッドファーザー2、ゴッドファーザー3へと続くシリーズ一作目。」「フランシス・F・コッポラ監督作品の代表作。」「同年アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、脚色賞受賞作品。」

そんな、映画好きなら登竜門的作品。ですが。

案の定もぐりな当方。「はて。観た事あるような気もするけれど…どんなやったっけ?」(まあ、本当にきちんと観ていたのならばそんな覚え方はしていないなと今回思いましたが)有難い事に『午前十時の映画祭』が取り扱ってくれていたので。今回無事履修する事が出来ました。

 

1945年アメリカ。イタリア系アメリカ人のコルレオーネ家。舞台は娘コニーの結婚披露宴から幕が上がる。

大邸宅でのガーデンパーティ。沢山の招待客で庭は溢れかえり。皆笑顔で歌い、踊り。新郎新婦を祝福。

しかし。お祝いムードの傍ら。屋敷の中ではコルレオーネ家の長、ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)への、一部の招待客から挨拶といくつかのお願いが交わされていた。

姉の結婚式を楽しむ三男のマイケル(アル・パチーノ)。初めてマイケルの実家に招かれた、恋人のケイは盛大なパーティの様子と、やってきた有名歌手に驚きが隠せない。

「ねえ。どういう事?」「彼は父に借りがあるんだ。」

そしてマイケルはコルレーネ家が『ゴッドファーザー』という、NYで5大ファミリーに入る、巨大マフィア組織である事、父ドンがそのトップである事を告げる。

 

~というペースでつらつら物語の筋を追っていくとエンドレス。何しろ2時間58分の大作。あらすじを纏める事がメインでは無いので。此処からはただただ当方の感想文を書いていきますが。

 

マフィアのトップ、ドンの栄枯衰退。そして「マイケルだけは悪に染まらないようにしたい」と望まれていたのに。結局カタギからマフィアの世界に足を踏み入れざるを得なくなっていって。次第に無邪気さを失い、冷徹な表情になっていく哀しさ。そして新しいドンの座に収まるマイケル。そういう話。

 

「新しい猿山のボス誕生。」「マフィアの世代交代。」

 

話ががらっと変わるんですが。

社会人になってもうすぐ20年。そんな当方の職種、某専門職。

はっきり明示はしませんが、非常に閉鎖的な人間環境を形成しやすい場所で。当然管理職という存在も居るけれど。独特な派閥を形成する人物というのもまま存在した。

組織が選出した管理職では無いけれど。胸にモヤモヤとした出来事が起きた時、その人物に相談したら気持ちが晴れるアドバイスをしてくれる。何だかひっそりと動いてくれていたりもする。

ひょっとしたらただの愚痴じゃないか。何だか大事になったり面倒な事になったりしないか。そう思って管理職に相談するのは気が引けるけれど…あの人になら話せる。いつも親身に聞いてくれる。もしかしたらどうにかしてくれるかもしれない。いや、きっと力になってくれる。だって今までだってそうやって助けてくれたもの。

実際にそういう派閥を目の当たりにしていた当方。一緒に酒を飲んで愚痴った事は幾らでもありましたが。無所属を決め込んでいた当方は結局その人物に泣きついた事はありませんでした。なぜなら…当方とその人物は同期入職だったから。

これ以上踏み込んだ事は書きませんが。

そういう過去を何故か何度も思い出した作品。

 

古き良きマフィア(そんな言い方があるのかどうか…)。ドンを慕って訪れる旧友達の物騒な依頼も何だかんだ聞いてやって。そしてファミリー間の結束は強靭。けれど。

「麻薬を扱わないか。」という密売人の誘いを断った所からその地位が狙われ始める。

政治家、警察官とも繋がっていた密売人。そしてその背後には5大ファミリーの影もちらついていて。

クリスマス直前。何者かの銃弾に倒れたドン。激震。グラグラに揺れたコルレオーネ家。それはマフィア同士の抗争の火ぶたが切られたという事でもあった。

重体で意識不明、入院中のドン。ボスが不在の中、唯一カタギの世界に居たはずの三男マイケルが復讐の為に犯罪に手を染める。

決行後。ほとぼりが冷めるまで雲隠れしていたマイケルが、シチリアで出会った運命の女。なのに。結局その女も抗争に依って失った。

NYに戻り。音信不通にしていたケイの元へ。ほぼ強引に結婚。コルレオーネ家に戻ったマイケルにはもう、あどけなく笑っていた面影は無い。

 

「ああ。もうこういう風になっちゃうわけね。」

血気盛んな他の兄弟なんかも押しのけて。結局一番ドンの後釜になる素質があったということか。けれど。どこか人情味のあったドンとは全く違うマイケル。頭脳派で冷酷、血も涙もない。かつての仲間だって断捨離。ミニマリスト過ぎる。

ラストのマイケルの姿と、それを複雑な表情で見る妻のケイ。始めの結婚式のシーンを思うと本当に「思えば遠くへ来たもんだ」としみじみ。

 

ゴッドファーザー』という組織のトップの栄枯衰退、そして代替わり。それを描いた約3時間。長いけれど…体感としては別に長くない。グイグイ引き込まれて…そして溜息。

 

ところで。当方が好きだったシーン。

ドンが凶弾に倒れて、皆がピリピリしている中。あるメンバーがマイケルに料理を教えるシーン。肉団子のミートスパゲッティみたいなのを作っていましたが。あの手際の良さと単純に「美味そう。」と思った出来上がり。(後当方が無類のトマト好きと言うのもある)本筋と全く関係ないのに、凄く印象的だった。

 

そして。やっぱり冒頭のドン…の腕の中でひたすらじゃれまくる子猫。

「何で~。何でこんな怖そうな人物にベッタベタにじゃれてんの~。」

招待客からの物騒な依頼内容と、それをあくまでも真面目な表情を崩さずに聞いている…のに遊ぶ気満々の子猫をずっと撫でまわしているドン。

猫派な当方。『癒し猫動画ジャンル』トップ級の可愛さにメロメロ。正直依頼内容なんて頭に入らず。椅子から崩れ落ちんばかりに悶えましたが。

(撮影現場で何故かドン役のマーロン・ブランドに懐いていた野良猫をそのまま出演させた、みたいなエピソードを見かけました。)

 

確かに名作。映画好きならば履修しておくべき作品。

大きな組織の中で一つの時代が去り、新しい時代が始まる。そんな流れの中で失われるもの。あの有名なテーマソングが本当にぴったり。切なく物悲しい。けれど…思いがけず美味しそうな料理や猫に悶えたりもする。(後。乳もびっくりしました。)

 

本当に『午前十時の映画祭』シリーズは有難い。企画としては今クールで終了との事ですが…名作をスクリーンで観られる。ぜひ続けて欲しいんですが。

 

取りあえず、この後続く『ゴッドファーザー2』と『ゴッドファーザー3』を近いうちに観ておかねば。そう思う所です。


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