ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「パペット大騒査線 追憶の紫影」

「パペット大騒査線 追憶の紫影」観ました。
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「人間とパペットが共存する世界。パペットは二級市民として人間達にぞんざいに扱われていた。」

主人公のフィル。元LA市警警察官。しかもパペット初の警察官。しかしある事件から職を失い、現在は私立探偵事務所を構え、細々と暮らしていた。

ある日。事務所に訪れた、サンドラと名乗るパペット。『お前の秘密をばらすぞ』という脅迫状が送られてきた。犯人を見つけて欲しいとの依頼。

恐らくチラシ等からアルファベットを無作為に切って、それを紙に貼りつけて文章にした脅迫状。「この『P』の飾り文字…見た事あるな…。」

街にある、パペット専用のポルノショップ。そこにある作品の綴り文字と同じだと、ショップに訪れるフィル。しかしフィルが店の奥で顧客ファイルを調べている間、店内に何者かが侵入。店員と客が皆殺しに会ってしまう。

殺人(人⁈)現場と化したポルノショップ。駆けつけてきたのは、警官時代にフィルとバディを組んでいたコニー・エドワーズ(メリッサ・マッカーシー)刑事。

「ただの強盗事件だ。」パペットなんかただの綿袋だと馬鹿にするコニーと、ひと悶着するフィル。

しかし、その直後。フィルの兄で俳優のラリーが、何者かが放った犬に噛みちぎられて殺された。

「これは…関連性があるのでは。」

ポルノショップで殺されたパペットとラリーの共通点。それは昔、人間とパペットが共演して人気となったコメディ作品『ハッピータイム』の共演者だった。

かつてのボスから再びバディを組めと言われ。一体これはどういうことかと奔走するフィルとコニー。しかし共演者たちの連続殺害は収まらず…。

 

「大人のセサミストリート。」

 

全くのノーマークでしたが。2月22日公開直前、おもむろに目にしてしまった今作の情報。「セサミストリート…だと…?パペット…。」

中学生当時。「英語を学ぶならセサミストリートがお薦め。」という何処からかの声に。NHK教育番組で何回か見た記憶。正直あまり嵌らなかったので、継続して見続けた訳ではありませんが。ですが、鍵っ子だった当方は幼少期から、NHK教育番組でやっていた数多の人形劇やパペットと人間の寸劇に散々触れてきており。グッチ雄三とパペット仲間がエンタメを繰り広げる『ハッチポッチステーション』なんかも大好物。

「人間とパペットが共存する世界線で映画作品を⁈」ワクワクする気持ちを抑えつつ、映画館に向かったのですが。

 

「全身の力を抜いて。空っぽの頭で楽しめる作品でした。」

 

アメリカ本国ではR指定だったのに。何故か日本ではPG-12。とは言えこれ、中学生が傍に居たら気まずくなりますが…幸いどう見ても周囲はR18以上の観客陣。当方、安堵。というのも。

 

「エロ。グロ。エロ。薬物でのハイテンション。エロ。」パペットならいいのか。まあ、確かにコレ人間でやったら一発退場だと思いますけれど。

 

「ポルノショップでの結構赤裸々なプレイやエログッズ」「綿が飛び散ったり、ずぶ濡れでぐしょぐしょの死体」「あ。パペットにとってはこれが薬物なんだ」「パペット同士のセックスってこういう…」「にしても!それ…白いの!どういう体の仕組みだよ!」「そのチラリズム、結構です」そんな、およそ中学生には説明出来ないシーンの連続。(それでも「どういうこと~?」って無邪気を装って聞いてくるガキんちょには「うるさい!早く寝ろ!」と大人の理不尽ぶつけますよ。当方は。)

 

まあ好き放題。アメリカ本国でラジー賞候補にノミネートされまくった、本家セサミストリートから怒られた、そんなエピソードも納得の人形劇。ですが。

 

監督、ブライアン・ヘンソン。『セサミストリートの人形作家、ジム・ヘンソン』という超一級の父親を持ち。母親、姉、ブライアン本人皆パペット使い。まさにパペット家族。

そんな監督が筆頭なのもあって。「パペットの動きよ!」「すげえええ!」「どうやって動かしているんだ!」「どうやって撮っているんだ!」の連続。(エンディングの最中流れていたメイキング画像に釘付け)

 

お話自体は…おバカを全身に纏いながらも、まま王道なバディもの。

昔腕を慣らした名コンビ。けれどフィルの失敗によって無関係な一般市民を傷つけてしまい。そしてコンビの間にも亀裂が生じ。そのまま月日が流れ…早12年。

しかし。今回新たに勃発した連続殺人(人?)事件。そしてきっかけとなったある依頼。それらは一見なんの関連性も無いと思われたが。実は実は。という。

 

元警官のハードボイルド探偵フィルも良かったですが。相棒の人間刑事コニーがまた最高でしたね。ぱっと見はただの太ったおばちゃん。豪快で。一見パペットを馬鹿にしているけれど、意外と人情深い。そして実は彼女には秘密が…。

探偵事務所の秘書。あのナイスバディ。キュートな人柄。当方も傍に居たら好きになっちゃうタイプ。

そしてフィルの元彼女。『ハッピータイム』に出ていた女優(人間)。今はポールダンサー。そのアバズレ感。(余談ですが。彼女がニンジンを噛みながらポールダンスをしている時、客のウサギが「俺の中のピーター・ラビットが目覚めそうだぜ!(言い回しうろ覚え)」と言った時。声を出して笑ってしまいました)

パペットも人間も軒並みキャラが立っている。しかも…あの世界線マジックなのか、悪者すらも全然嫌いにはなれない。寧ろ好き。

 

「これは…加害者でもあるけれど被害者でもある。」「そもそもの全ては12年前、あんな事にならなければ…。」なあんて真面目に考えるのは野暮。だって作風がドライだから。くよくよすんなって!結果オーライ!(あんなに人(人?)が死んでいるのにな)

 

「得意分野は変態映画です。」映画部員として聞かれたらそう答えてきた当方。これは立派な変態映画。大好物の、全身を弛緩して観る事が出来る作品。でしたが。

 

「PG-12とは言え。中学生にはお薦めしないし、中学生どころか、おふざけの心が無い人とセサミストリート好きには怒りすら込み上げる危険性がある。」そう忠告。

 

非常に観る人を選ぶ作品。当方は大好きです。