映画部活動報告「ジオストーム」
「ジオストーム」観ました。
アメリカ。ディーン・デヴリン監督。ジェラルド・バスター主演。
2019年。世界中を襲った異常気象。それに対峙すべく立ち上がった各国。彼らは『地球代表』として一致団結し、米中を中心に(‼)『ダッチボーイ』という防衛システムを作り上げた。これは国際宇宙気象システム(ICSS)に組み込まれ、世界中の天気をコントロールするというもの。システムの成功に依って、世界中が救われた。…しかし。
ひっそりとシステムの総合責任者であったジェイク(ジェラルド・バトラー)がダッチボーイの管轄に携わっていたアメリカ政府から解任された。彼の上層部に乱暴で反抗的な態度をあげつらって。そしてジェイクの後任の責任者にはジェイクの弟マックスが任命された。
2012年。ダッチボーイに完全にコントロールされていたはずの気象が極端な異常を見せ始める。
ダッチボーイの管轄を任され。そして2週間後にはその責任を移譲する予定であったアメリカは内心慌て。そして秘密裏に解決しようと画策する。「連れてこい。たった一人で、秘密で動いてくれる人間を…」
解雇され。妻子と離婚し一人孤独に暮らしていた、ダッチボーイの全てを知る責任者ジェイク。彼に事態の収拾の白羽の矢が立てられるが。
当方がこんなに丁寧な導入あらすじを書けるとは…まあ、この作品に於いてはこれが重要ですから。そしてこれさえ書けたら良いと思いますので。
「ジオストームの予告編は非常に上手く出来ておりました」淡々と語り始める当方。
予告を観た時の「これは!」という予感。
異常気象を制御するために造られた装置。しかし。突然各都市を襲う未曽有の天災。何故?人類はもうおてんとさんを支配できたはずなのに。
一体これは何者の仕業なのか?まさか…新たな創造主(機械)の時代が来たのか?
人類VS人口衛星の闘いが始まる…。
~という流れでは全くありませんでした。
「あ。これ見た事あるわ」
映画館でありながら。何度も脳内をフラッシュした『何曜日かのロードショー』。
独居生活に入ってから尚更テレビを見なくなった当方。うろ覚えですが昔『ベタ子とベタ男のラブストーリー』という何かのバラエティー番組の一コマがありました。
文字通り。『ベタ子』と『ベタ男』の恋の物語なんですが。例えば「雨の中捨てられた子猫を抱き上げるびしょ濡れのベタ男に一目ぼれをするベタ子」「上手くいきそうな二人の恋に影を落とす、唐突なベタ子の難病設定」とかの、主に漫画世界でありがちなありとあらゆる『ベタ』を持ってくる。
「これは『宇宙版ベタストーリー』だ!!」ジオストームを観ていて早い時期に気付いた当方。
「こういう宇宙船外活動は」「ゼロ・グラビティ!」
当方の中の越後製菓侍が早押しボタンをばんばん打ってくる。クイズじゃないのに。
またねえ…(小声)驚くほど大らかなつくり(苦しいフォロー)で話は進みますので。突っ込みは無限。収まらず。
「そもそも技術者っぽく見えないし…あの弟も含めて何故この兄弟がこんな国家の重要なポジションに就いているのか」「宇宙に行くハードルが低すぎないか」「いくら何でもこんな気楽にICSSには行けないやろう(溜息)」「どうしてこんな所に銃が」「よく知らないけれど宇宙って火気厳禁じゃないの」「その暗号は少年…いや、愛らしいとしよう(溜息)」「何や『ゼウス計画』って。『ターボキッド』か」あかんあかん。もう止まらん。
下手したらネタバレしかねないので。これ以上は止めますが。
良かった所は…アメリカ大統領のシークレットサービス(SP)で弟マックスの彼女。
「恋愛より仕事優先よ」って言いながら結構彼ら兄弟の融通をきかせてくれた彼女。そんな彼女の「強えええ」という一面。あの「死んでいないのが不思議なくらいだよ」というカーチェイスもさながら。
「なんだいあのマシュマロボディは!けしからんな!!」恋人マックスとの二人っきりの時に見せた柔らかさ。当方の脳裏にしっかりと刻み込みました。
正直…雑過ぎる、あの兄弟の葛藤もどうしてこうなったのかという犯人探しもどうでもよかった。何しろ『人類VS人口衛星』というクチで観始めてしまったから…。
「そうなるとこの作品に求めていたのは何かというと。『感情等一切通じない、無慈悲な力に依るジオストーム(世界的な大災害:造語)』その有様。そしてその対策」
そう書くとぞっとしますが。結局当方が観たかったのはそれなんやろうなと。だってある意味、実際の天災も『無慈悲な力に依るもの』。でも。
それが『人類が作った機械』に依る災害だったら?人類はどう立ち向かうのか~そういう話なのかと予告編から期待してしまっていたから…。
まあ…あれこれ言いましたが。映像力が上がった現代で。『宇宙でこの設定~から始まるベタ話!』としては十分早押しボタン片手に楽しめる作品ではありました。