ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ワンダーウーマン」

ワンダーウーマン」観ました。
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「DCの最強女子。ワンダーウーマン

女だけが住む島『セッシラ』外界とは結界を張って。外部からの侵入を遮断。そこで暮らすアマゾネス族の王女ダイアナ。

昔まで遡れば、元々は奴隷であった彼女達。自衛の為に訓練し戦士となって。

ダイアナの母親はダイアナの身を案じ。訓練に加わる事を禁止していたが…戦士達が訓練する姿に惹かれていく幼いダイアナ。

母親の妹で史上最強の将軍の説得もあって。ダイアナは晴れて訓練に参加。めきめきと戦闘能力を上げていく。

時は経ち。強く。そして美しく成長したダイアナ。

 

ある日。楽園であったセッシラの結界が破られる。

飛行機で飛び込んできたスティーブ。その彼を追ってきたドイツ軍。

突然の闖入者に立ち向かうアマゾネス戦士達。ドイツ軍を全滅する事は出来たが、彼女達にも大きな痛手が残った。

 

アマゾネス戦士の武器の一つ「真実の投げ縄」に依って「今世界では戦争が起きている」「自分はアメリカ陸軍航空部隊長で連合軍のスパイだ」「ドイツ軍に侵入し、危険な薬物兵器を作っている情報を入手した」「連合軍に秘密基地を破壊せよという報告をしようと出発しようとしていた所、見つかって追われていた」ペラペラと話す羽目になったスティーブ。

生れて初めて見た「男性」に興味津々のダイアナ。

 

「世界は貴方が救うには値しないわ」「この島を出たら、もう二度と戻れない」

反対する母親を振り切って。スティーブに付いていく事にしたダイアナ。

 

そうして。初めて人間の住む世界を目にしたダイアナは。

 

ワンダーウーマンかあ…あの絶妙なコスプレしたお姉ちゃんな」

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ワンダーウーマンに対する知識が殆どありませんでしたので)

 

前作。『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』で。「で、このお姉ちゃんは何なの」「勿体ぶって。来るのが遅いわ」と思っていた当方。(ワンダーウーマン云々では無く、そもそもこの作品自体が嵌らなかったというのが最大の要因。2016年ワタナベアカデミー賞ラズベリー賞作品。「こんなバットマンは嫌だ!」という感想でした)

今回この作品を観て。「ああ。こういうキャラクターだったのか」と、ワンダーウーマンの背景を知った当方。

 

まあ真面目な作品でした。

 

どう見ても立派な大人の女性。なのに。湯上りで一糸纏わぬスティーブに「男って皆そういうもの?」と聞いてきたり。「一緒に寝ないの?」「生殖の為に男性は必要だけれど、快楽には必ず必要ではないわ」と言ってきたり。知識はあるけれど、初心なダイアナに「女性と一緒に寝るってことは…」寧ろドキドキさせられるスティーブ。

 

そして。ダイアナの持ち出す、戦争に対する超理論。

「戦争が起こるなんて、軍神アレスの仕業よ。あいつは悪の象徴ゼウスの神の息子で。地上に追い出されたアレスは、人間とは愚かな者だと思わせる為に人々に争いを起こさせる様に仕向ける。アレスを倒せば世界は平和で満たされる」

 

いやいやいや。戦争ってそんな単純な話じゃないぞと。スティーブと我々観客の思いとは裏腹に。「私がアレスを討つ!そして世界を救う」と息巻くダイアナ。

 

連合軍に件の報告をしたけれど。思ったようには動いてくれなかった。そんな議会の代表にダイアナは「貴方達は真の軍人じゃないわ!」と吐き捨てて。

「約束したでしょう。前線に連れて行って!」「アレスを探す!」

ダイアナ。スティーブ。そして変装の達人サーミア。狙撃手チャーリー。武器密輸の酋長。寄せ集めのメンバーは一路西部戦線に向かう。
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丁寧に書いていくとこのままネタバレするばかりですので。ここからの詳細はふんわりとぼかして進めますが。

 

「今更しょうもない突っ込みやけれど。どんなに大真面目にやろうが、みんな普通の恰好の中で一人露出が高すぎるコスプレって…変やなあ」

 

周りは男だらけなんですよ。そんな中で裸同然の衣装。ジェントルマン当方なら思わず「おい!お前何て恰好してんだ!これ羽織れ!」とそこら辺の布を投げて寄越しますよ。戦いに集中出来ないし…。(余談もいい所なんでこの話は止めますが)

 

まあ。そんなモヤモヤとする部分もあるんですが。それでもやっぱりこの作品に於いての功労者はダイアナ役のガル・ガドット。そしてスティーブ役のクリス・パイン
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勿論、数多の画像編集技術を持ってあの作品が出来ている事は承知。でもそれにしても彼女の鍛えられたしなやかな肉体とアクション。それがあってこそ。

そして流石女優。全てのポーズが決まる決まる。

「彼女無しでは成立しない」

そして。人間味があって。主人公ダイアナを支えつつ自分の正義も忘れない。そんなスティーブをクリス・パイン。ベストチョイス。

 

あの、ちょっとボンクラ臭のする仲間達も良かった。各々傷を抱えながら。始めこそ寄せ集めだったけれど。行動を共にするにつれ、生まれる連帯感。

 

「正直敵がイマイチなんよな…」「そしてダイアナのキャラクターのアンバランス感」そっと溜息を付く当方。

 

ドイツ軍のルーデンドルフ将軍。マッドサイエンサーと組んで秘密兵器を製作。確かにいかれたコンビネーション。冷酷で独裁的なルーデンドルフ将軍。そんな彼はアレスの化身。彼を倒せば、世界に平和を取り戻す事が出来る。

 

「戦争とはたった一人の人間が起こせるモノでは無いし、また、一人の人間の死を以って終結するモノでもない」という事を知っている当方のモヤモヤ。

「何故、紙面上で得た人間に対して溢れんばかりの知識を持つ彼女が、こと戦争に対する認識だけ言い伝えの神話レベルなんだ…」

 性について。世界中の言語。そんな事を知り尽くしていた彼女が。何故戦争だけ「軍神アレスの仕業」と思うのか。

 

当然「違うんだ!!人間ってやつはな!!」そんな展開がありましたが。

 

「そもそも何故ダイアナは人間を救いに行こうと思ったんだ。正義感?スティーブへの興味?どこからか溢れだす使命感?」それらが複合された感じだろうとは匂わせていましたが。

「ずっと子供の時から聞かされていた。アレスは悪だと」そうなんでしょうが。

 

彼女を突き動かす原動力のアンバランスさ。何て言うか…余りにも子供っぽい。

(まあ、確かにこの作品はワンダーウーマンの成長記なんですが)

 

そして。約2時間半の尺の。最後の闘いのシーン。「あれですか?時間無くなったんですかね?」

 

大風呂敷を慌てて閉じ始め。「何だその悪役」「何だその思考」「おいおいそういう重大な告白と理解を10分位で済ますな」「早い早い。頭の回転が速すぎる。丁寧にして」そしてスティーブの決断。

ダイアナの善悪のボーダーラインが一気に危うくなって。そこで効いてくる母親の言った「世界は貴方が守るには値しないわ」でも。

 

「私には守りたいものがある」

 

もうあの楽園には戻れない。何故ならこの世界を選んだから。

 

今後、DCのジャスティスチームにがっつり組み込まれる事が確定しているワンダーウーマン。エロくてクールでミステリアス。そしてしっかり強い彼女が、どういった背景を持ったキャラクターだったのか。

こんな熱くて、真っすぐで世間知らずで。一所懸命で。傷ついた。そんな彼女の背景を知るという意味で、真面目に作られた作品だなあと思いました。