ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ディストラクション・ベイビーズ」

「ディストラクション・ベイビーズ」観ました。

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柳楽優弥菅田将暉小松菜奈村上虹郎。若く旬な俳優陣を携え。

完全に私的な話なんですがね。
当方はつい最近引っ越しをしたんですよ。

と言っても、前の住み家とは10分も離れていない所なんですが。…まあ、この下りはこれ以上広がりませんけれども。

今回の転居作業に際し、裂かれる当方の映画部活動時間。つまりは映画が観れない日々。減り行く非現実の世界。壊れていく当方。

「兎に角何でも良いから映画が観たい‼」繰り返し叫ぶ日々。

某大手家電販売店のテレビ売場にて。
「何を観ることを目的とされますか」「映画」被り気味で店員の言葉に答える当方。そして、購入が決まる中で。

「映画。今は何が熱いんですか?」「今…。10日位観れていないんで、分からないです。」「10日?」

映画不足の日々。溜まりに溜まるフラストレーション。

転居作業が一段落した、その足で観に行った「ディストラクション・ベイビーズ」

やたらと公開前から煽っていたし、公開後の評判も流しまくっていた。でも。

当方が観に行った理由。

いらいらする気持ちを、暴力をテーマにした映画にぶつけたかったからですよ。

そして、観た後の当方は。

「何とも言えない。」また一つモヤモヤが増えた。そんな感じ。

ほとんど言葉を発せず。ただひたすらに他人に殴りかかり。たとえその時はぼこぼこにされたとしても、またしぶとく現れる。ただ「面白ければ良かけん」と、暴力を面白いという柳楽優弥

ある日。住んでいた町から姿を消した兄を探す村上虹郎

つまんない日常を持て余し。目立ちたい、騒がれたい。でも自分から動く勇気は無い。痛い目にも会いたくない。そんな菅田将暉

明らかに性格の悪いキャバクラ嬢小松菜奈

ある意味通常運行で暴れていた柳楽優弥。彼と一緒なら。自分もフラストレーションを吐き出せると便乗する菅田将暉。そして加速。巻き込まれた小松菜奈

もの言わぬモンスターを主人公に置いているからか。結構脇が分かりやすいステレオタイプ。…まあ、そうしないと話が進まないですしね。

中でも突出したのが菅田将暉
最低キャラの振り切れ感。

あの暴力モンスターが、あくまでも成人男性しか狙っていないのに対し「俺も誰かを殴ってみたかった」と女性に暴力を振るう。アーケードでも、彼が暴力を振るっていた対象は女性のみ。
口だけは達者で。人をいらいらさせ。強いものには逆らず媚び、弱いものには威嚇する。
相手を自分より強いか弱いかを直ぐに判断する。

良い所なんて何も無い。それをしっかりと演じきる。やっぱり凄いな~。菅田将暉

小松菜奈。可哀想な役回りであるはずなのに、最終的にはあんまり可哀想には見えない。性格悪いしなあ。(役の話ですよ)
彼女もまた、つまんない日常を面白くする何かを求めていた。スリルが欲しかった。
そして結果得られた、完全なる「可哀想な被害者」というポジション。


「暴力」という言葉の持つ多様性
それは単純に誰かを殴ったりする事や、言葉で傷つける事だけではなく。社会や組織が人を押し潰す事もある。何だって暴力に成りうる。

そして「意識」の有る無し。
無意識に誰かを傷つける事もある。その無自覚の威力。

「暴力はいけません」常識としてある、皆の共通認識。なのに、時に人は誰かを傷つけたくなる時がある。…そして感じる悦び。

だから暴力には思わず惹かれてしまう。ただし心の中で。こちらには理性があるから。

押さえられない己の猛々しさを、人様にぶつけてしまう衝動。

それを押さえられるかどうか。
意識が有るのか無いのか。

あの脇の二人と、主人公の圧倒的な違い。それは主人公の行為は「純粋な暴力の衝動」である事。

自分の中にある衝動を、単純に相手にぶつける。それが楽しい。
もの言わぬ主人公にとっては、それが相手とのコミュニケーション。

「そんな奴、近くにいたら危険すぎる。」

この作成の世界に於いての、国家権力の無能さ。震えるばかり。

そして、さらっと登場したキャバクラスタッフ。
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「あんた!三浦さんやね!あの木屋町DARUMAの!お久しぶりやん~元気してたあ~?相変わらず男前やねえ。」(おばちゃん風)


映画では全く描かれていないのに。
観ている間、記憶の中にしまい込んでいた当方の恥ずかしい痛々しいエピソードなんかも何故かフラッシュバックし。いたたまれず。

そして頭を抱えて叫びたくなった。

そんな映画でした。