ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」

「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」観ました。
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アメリカ南部の片田舎。ある夜、地元の救急病院の前に打ち捨てられていた瀕死の男。

たまたま発見した勤務医の処置の甲斐もなく、逝ってしまった、血まみれの男。

一体彼に何があったのか?

 

(※注意!やんわりネタバレしている感じの内容になっています。お気をつけ下さい)。

 

昭:(仏頂面)はいどうも。当方の心に住む、男女キャラクター「昭と和(あきらとかず)です」。

和:「これは男女を交えた視点で語った方が良いんじゃないか」。そう当方が判断した時に登場する我々。今回も大真面目に切り込んでいきたいと、そう思っています。

昭:何がだ。何を大真面目にだ。お前の魂胆は分かっているんだ。セクハラまがいの追及で俺を窮地に立たせてあざ笑おうという算段だよ。本当に性格が悪い…。

和:まあまあまあ。そういうのは裏方で話し合うとして。そもそも「ディック・ロング」って何なんですか?

昭:お前。しょっぱなから俺を潰す気か!手元のデバイスで調べろよ。…まあ、言うならば『トリック』の上田次郎阿部寛)が言われていたそれだよ。

和:う~ん。作中でも言われていたけれど。亡くなった男性の名前はリチャードなんですよね。そのニックネームが何故「ディック」なのか…。

昭:それこそ作中で言ってたでしょうが。「奥さんに聞きなさいよ」。

 

和:ジーク、アール、ディック。いい年した男性3人はバンド仲間で長年の付き合い。その日の夜もジーク宅のガレージで練習。そのまま盛り上がり、酒やドラッグを煽りながらバカ騒ぎをしていた。

昭:オープニング映像が、そのバカ騒ぎなんやけれど。まあ楽しそうなんよな。

和:なのに。急転直下。ジークとアールが血相を変えて車を運転する映像に切り替わる。車の後部座席に横たわる血まみれのディック。

昭:取り乱しながらも、何とか救急病院までたどり着いた。なのにディックを道路に投げ出しそそくさを逃げ出す二人。一体何事か。

和:きっと職員の誰かが直ぐにディックを見つけてくれる。何らかの処置をしてくれてディックは助かる。これは3人にとって笑い話になる。そう思っていたのに…。

 

昭:これ。実際に起きた事件が基になった、って書いてあったぞ。

和:ネタバレも何もなあ…私からしたら「アホやなあ」の一言なんやけれど。

昭:結構な事をしでかしてるんやけれどな。ジークとアールの無責任さとか、罪の軽さとか…どうかと思うけれど…それらを凌駕するお粗末さよ。

和:我々二人で呆れていても前に進まんので。まあ…いい年した男3人が、羽目を外した挙句に取り返しのつかない結果になってしまった。けれどその内容は言いたくない。だから瀕死の状態に陥った仲間を病院の前に捨てた。折角の楽しかった夜が台無し。

昭:新しい朝が来た。希望の朝だ。そう思ったけれど…目の前には昨夜の大惨事の痕跡だらけ。何も知らない妻と娘はいつも通りに接してくるけれど。いつどこでボロが出るか分かったもんじゃない。

和:いつどこでって。もうボロボロでしたよ。初めからずっと。ひどすぎるくらい。

昭:車で娘の学校への送迎を頼まれたけれど。後部座席は血まみれ。慌ててシーツで隠したけれど、そこに座った娘の背部は血でべっとり。

和:挙句。車の処理に困ったジークとアールは車を沼に捨てようとするけれど、沼が思っていたよりも浅くて沈まなかったり。もうそんなのばっかり。気持ちだけは焦ってその場を取り繕うとして嘘をつくけれど、それが直ぐにばれるようなものばかり。

 

昭:地元警察官二人が良い味出していたね。女性警官で、一人は高齢で。一人はでぶっちょの同性愛者。

和:大して切れ者には見えない二人組。ディックの死因を救急医から知らされ衝撃を受けながら。淡々と捜査を進めていく結果、辿り着いた真実。って言っても、別に推理を働かせた結果二人に辿りついたんじゃない。

昭:血まみれで処理に困って沼に捨てた車について、妻に「車を盗まれた」と嘘をついたら警察に盗難届を出された。小さな町の小さな警察署。殺人事件を捜査中の二人組が、そのままジーク宅に自動車盗難について事情を聴きにやって来た。もう、飛んで火に入る…って奴。

和:脳内で『軟式globe』のKOIKEとパークマンサー(お手元のデバイスで調べてください)がずっと歌っている。「アホだな~」「そうだよアホだよ~」。

 

昭:ところで。警察と言えば、流石にディックの妻にはもっと早くに連絡がいくんじゃないの?初めは身元不明だったとしても、小さな町ぽいし直ぐに素性は知れるやろう。

和:それは終盤のジーク、妻、ディックの妻、警察官の修羅場をやりたかったからでしょうが。無粋な事を言いなさんなよ。

昭:いや。分かるんやけれど…違和感が…後なんで共犯のアールはお咎め無し状態なのかも…(徐々に小声)。

 

和:アホな男たちのやらかした顛末。挙句一人が命を落とした。残された二人はどうにかごまかせないかと四苦八苦するけれど、浅はか過ぎて直ぐにボロが出てしまう。

昭:分からんでもないけれどな。いくつになっても羽目を外してはっちゃけたい時があるねん。それを後になって正気な連中に責められても…なんとも説明出来んもんやねん。

和:え。じゃあ昭さんはこの天下一武道会に興味があるって事ですか?

昭:お前の隠語チョイス、ドラゴンボール好きの人々から殺られるぞ。異種交流…直腸破裂及び人工肛門造設まったなしの行為なんて怖すぎる…いやいや、色んな嗜好の人が居るから一概に否定も出来ないけれど…でも本当に『ディック・ロングが何故死んだのか?』の真相がもう…こんなの確かに言いたくない。文字通り「墓場まで持っていく」案件。

和:妻の衝撃も半端なかったよ。

昭:いや、俺は正直「顔芸がうるさい」って思ってしまった。

 

和:日本公開2017年の『スイス・アーミー・マン』。その年の『ワタナベアカデミー賞』で最優秀賞を贈った。二人のダニエルから成る『ダニエルズ監督』。今回はその一人、ダニエル・シャイナート監督作品。

昭:『スイス・アーミー・マン』が余りにも好きすぎたんで今作の期待値が振り切れ過ぎていた…でも全身の力を抜いて笑える作品で、これはこれで楽しかったな。

和:一言で言うと「アホやなあ~」。後はまあ…馬には罪は無いから…馬は責めてやらんといて欲しい。

昭:いや寧ろ馬は攻め…お前…言うか!!俺は絶対に言わんからな!!