ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「デッド・ドント・ダイ」

「デッド・ドント・ダイ」観ました。
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アメリカ。田舎町センターヴィル。

のどかな田舎町には三人しか警察官が常駐していない。けれどそれで十分。個性的な住民達が各々自由に暮らしながらも大きな摩擦は起きず。それがこの町の日常だった。

とはいえ。最近は何だかおかしい。

夜になっても日が沈まず、いつまでも外が明るい。時計やスマホ果ては警察の無線まで、機械の調子が悪い。動物たちが狂暴化している。どうも地球の軸に異変が起きているらしい。

不穏な報道はテレビなんかで目にするけれど…実感としてはあんまりなくて。

初めは住民行きつけのダイナーで起きた変死体発見から。それがゾンビの仕業だと気づいた頃には、田舎町はゾンビで溢れかえっていた。

 

警察署長クリフにビル・マーレイ。巡査ロニーにアダム・ドライバー。婦警ミレディにクロエ・セヴィニー。謎の多い葬儀場女主人セルダにディルダ・スウィントン。たまたま田舎町を通りがかった、都会っ子ゾーイにセレーナ・ゴメス。等々豪華キャスト。

監督、ジム・ジャームッシュ

 

「これは…思っていた以上に全身の力を抜いて観る作品やったな…。」「脱力し過ぎて座位を保持するのも難しい。」「スカしてんな~。」

 

作品鑑賞後の印象。しばし時を経た今。全く変わらない当方の印象、ならばもうここで感想文を〆てもいい位なんですが。

 

「だって。冒頭の文章そのままなんやもん。それ以上でもそれ以下でもない。」

 

世紀末を思わせる、地球の異常事態。確かにちょっと変。それでも続いていた日常が遂に食い破られた。何に?ゾンビに。

初めはダイナーで起きた惨殺事件。けれどこいつがゾンビの仕業だとすぐに分かった。だって、そこかしこにゾンビが現れ出したから。

 

三人しかいない警察官。俺たちがやらねば。これまでもこの田舎町の治安を守ってきた。俺たちがやらねば誰がこの町を守れる‼

~という熱い職業意識でもないんですわ。

「うわ。コレアレやわ。ゾンビ。だから頭狙え。」というノリで既に一人警察署で殺めてから、施設外に跋扈するゾンビを見て「行くか…パトロール。」という出発。かつての顔見知りでも一声かけてから撲殺。

 

謎の葬儀屋女主人、セルダ。死者を弔う稼業を営みながら、日本刀を振り回しつつ何かの修行中。その様子がまた「『キル・ビル』好きやねんな~。」というエセ日本武士道。日本刀は万能か。肉切り包丁以上か。

死者たちが蘇っている事態を察し、向かってくるゾンビたちを日本刀でなぎ倒しながら警察へ。そして墓場へと向かう。その無双さ。一体彼女は何者?

 

序盤から。飄々としたキャラクターのロニーが折に触れて「残念な結果になる」(言い回しうろ覚え)と口走る。彼は何かを知っているのか?それともただの口癖か?

 

個性的な住民達。レイシストの老人。雑貨屋を営むホラー・オタク。少年拘置所に収監中のティーンエイジャー。果ては森に住む自給自足の老人など。

 

それなりに気になる設定、キャラクターを配置しておきながら。

ほとんどが竜頭蛇尾。下手したら頭も竜ですらない。(さあお手元のデバイスで意味検索を!)

 

「おいおいおい。初めの地球の軸云々どこいった。」「住民達は犬死か?」「セレーナ・ゴメス!」「なんやったん。あの人結局なんやったん。」

 

そして極めつけが終盤墓場でのパトカー。車中でのクリフとロニーの会話。「それはあかん。その落とし方はスベっとる。」当方真顔で舌打ち。ラストのそれっぽい「どうしてこうなったのか」のナレーションも空々しい気持ちで聞き流す当方。

 

笑いのセンスって各々違うので。当方がただただこの作品と合わなかっただけ。「さっすがジム・ジャームッシュ監督だな!」と感じる方を別にどうこう言うつもりもない。好きだったという声も聞きましたし。

 

映画に対して当方が求めている唯一のもの。それは「楽しめるか」。

別に高尚である必要なんてないし、おバカ映画だって大好き。

ただ。どれだけ一見荒唐無稽なお話だって、世界観に引き込まれて夢中になる事は往々にしてある。今回はそうならなかっただけだと。

 

とまあ。ネタバレも出来ないし、宙ぶらりんな感想を書きながらただただ合わんかったと落とそうとしている当方ですが。

 

流石に『あのキーホルダー』の下りは声に出して笑ってしまいました。