ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「恐竜が教えてくれたこと」

「恐竜が教えてくれたこと」観ました。

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オランダ。アンナ・ウォルツの児童文学『ぼくとテスの秘密の七日間』の映画化。

 

一週間の夏季休暇を楽しむため、オランダ北部のテルスへリング島にやって来たサム。

海で父親と兄と戯れながらも、ふと「地球最後の恐竜は、自分が最後の恐竜だと知っていたのかな?」と想いを馳せるサム。

11歳。思春期の入り口で。

最近ではこの世に存在する全て生き物はいつか死を迎える事に気づき、出口のない哲学的な問いに思い悩んでいた。

浜辺に深く穴を掘り、そこに身を預けて想いにふけっていたのに…その穴に足を取られて転倒、負傷した兄。

父親と共に兄を地元の診療所に連れていき、そこでの診察を待っている間、サムは地元に住む同世代の少女、テスと出会う。

 

愛らしい見た目。くるくる変わる表情、言動、しぐさ。一寸先の行動も読めない、そんな天真爛漫なテスに振り回されながらも引き込まれていくサム。

けれど。一見無邪気なテスには、この夏一世一代のチャレンジがあった。

 

昭「BOY MEETS GIRL それぞれの あふれる想いにきらめきと 瞬間を見つけてる 星降る夜の 出会いがあるよに!」

和「WOwWOwWOwWOw(棒読み)。」

昭:なんやね自分。乗れてないな!これぞTRF。『BOY MEETS GIRL』の世界。「いくつものドアをノックした」やぞ。

和:しんどい…歌モンは苦手やねん。はしゃがんといてくれ…。

昭:お久しぶりの「当方の心に住む男女キャラ『昭と和』」です。

和:ちょっと寝かせていたらキャラクターが変わったな。大丈夫?

昭:いやあ~ちょっと心に過ったこの曲。歌詞を改めてみたらメッチャ良くないか?

和:1994年当時の小室哲哉無敵伝説についてはどこか別の所でやってくれ。…さては自分、もうこれ以上喋る事無いな?

昭:いや。あの。なんていうか…。

 

和:11歳の少年。一週間の夏季休暇。両親と兄との四人家族でバカンスに訪れた島で出会った美少女。

昭:男はいくつになっても自分を振り回してくる美少女には弱いねん。

和:この年頃あるある。女の子の方がちょっと成長が早くて見た目男の子より大きい。

昭:バカ男子で無邪気につるんでワアワア騒いでいた時を抜けつつあって。でも突然大人にはなれなくて。みんなで一緒に走っていたような気がしたのに、急に何もかもが怖くなって足が止まる。あれ?もしかしてずっと一緒には居れないの?みんないつかは死んじゃうの?

和:11歳当時、そんな事、思った?

昭:覚えていない…あの頃は「いつ眠りに落ちているのか突き止める」っていうミッションに夢中やった。眠る瞬間を捕まえようとしていたな。

和:バカ上等やな…。まあ脱線は程々にして。「この世に住む生物は全ていつかは死ぬ」。「地球最後の恐竜は、自分が最後の恐竜だと知っていたのかな」。誰にどう聞いたら答えが出るのかという自問自答に悶々としていたサム少年。

昭:そんなサムが出会ったテス。一見破天荒だけれど、彼女の願いは切実。

和:どこまでのネタバレが許されるのか…母親と二人暮らしのテス。二人の生活に不満は無いけれどずっと『パパ』が欲しかった。そんなテスが、遂に行動に出た。そんな夏休み。

 

昭:大人目線で考えるとな~。12、3年前の若気の至り。旅先でのアバンチュールを今さら持ち出されるのも…一応は同意の上の行為なんやろうし。せめて当時の彼女(テスの母親)から相談されたのならまだしも…。

和:おいやめろ。これ、児童文学やぞ。

 

昭:「パパに会いたい。」その一心で秘密の行動に出たテスと、その内容を知って彼女の行動を後押ししたサム。ぎこちなくて、けれど温かでかけがえのない日々。けれどそんな日はいつまでも続かない。

和:愛らしい少年少女のキャッキャウフフ。癒されるし、テンポは良いんやけれど。あれ、これサムの悶々とした哲学どうなったんかな~?と思っていたら。後半から怒涛の巻き返し。きっちり回収してくる。

 

昭:海辺の小汚い小屋に住む老人。妻に先立たれて一人暮らしの彼を、サムは当初その不衛生な見た目故に避けていた。

和:言い回しうろ覚えで申し訳ない。そんな老人が訥々と語った言葉の重みよ。今の自分を支えているのは妻との思い出。自分の様な年寄りにはそれが生きる糧になる。だから今のサムは沢山の思い出を作れ。そういう内容。

昭:『恐竜が教えてくれたこと』の邦題がここで生きてくる。児童文学ったって、恐竜が出てくるわけじゃない。そういう子供騙しで帳尻を合わせない。

和:正直、あのラストはご都合主義に落とした感は否めなかったけれど。

昭:まあまあ。ここはハッピーエンドやろう。

 

和:11歳の少年少女、サムとテスを通じて。描かれた二組の家族の姿。

昭:住んでいる場所も家族構成も違う。そんな彼らがある夏休みに交差する。でもさあ、サムといいテスといい。思春期一歩手前というお年頃故に本人たちは色々立ち止まっているけれど、彼らを取り巻く家族は彼らを温かく見守っていると思ったな。

和:テスも「パパが」とはいうけれど、一緒に暮らしてきた母親をないがしろにしている訳じゃない。寧ろパパが欲しいのはママの為でもある。

昭:サムのパパのおおらかさ、憧れる。サムのせいで怪我をしてしまった兄との仲直りとか、兄弟の悪ガキ感も良かったな。

 

和:最後の夜。登場人物全員集合のパーティ。絵にかいたような大団円。「ここには悪い人はいません」。

昭:正直そこまで期待していなかったのに。きっちり安定感を持たせた展開で、問題点は漏れなく回収し、多幸感に包まれるラスト。何度も言うけれど…これが児童文学の力か。

和:作品の満足度が高いよね。

 

昭:「BOY MEETS GIRL 出会いこそ 人生の宝探しだね 少年はいつの日か 少女の夢必ず見つける」

和:でもなあ…11歳くらいのひと夏の出来事なんて、あっという間に心の『思い出のアルバム』にしまわれるからな…果たしていつまで覚えている事やら。

昭:「いつの事だか 思い出だしてごらん」おいやめろ。俺ら男子は…サムはきっと忘れないぞ。

和:「WOwWOwWOwWOw(棒読み)」。