ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動映画「パラサイト 半地下の家族」

「パラサイト 半地下の家族」観ました。
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ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演。第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。

 

韓国。全員失業中のキム一家。貧困層が住む地域にある半地下住居は不衛生極まりなく。そこで両親と長男長女の4人暮らし。

ある日、長男の友人からIT企業の社長令嬢の家庭教師の依頼が舞い込む。フリーターである身分を大学生と偽り、高台にあるパク邸に足を踏み入れた長男。

美しい夫婦と長女長男の4人家族。ハイソで天然な夫婦の隙を見つけては、やれ息子の美術の家庭教師だ、運転手だ、家政婦だと、家族総出でパク家に取り入り寄生していくが。

 

「ネタバレ禁止かあ。というかこれ…どこまでが…。」

 

格差社会問題?裕福な者は高台にある本人たちも構造が把握できないようなお屋敷に住んで、貧しい者はゴキブリやネズミと一緒に地面に体をうずめて生きている。そんな相反する家族を比較した問題作?

「いやいやいや。そんな終始悲哀に満ちた感じでは無かった。」「かといってユーモア一辺倒でもない。」「どうしよう!素性がばれちゃう!というお決まりのハラハラもあり…。」

一応ミステリーに分類されていましたが。ジャンル無制限のエンターテイメント作品。

 

「それにしてもパク邸の感じ…。」当方の脳内に流れてくる、小田和正の歌声「♪時々 遠くを見つめる~」(between the  Word & the heart ー言葉と心ー)

「篤史なら…パク邸に篤史が来たなら。」瞳を閉じる当方。

渡辺篤史の建物探訪』今ではあまりテレビを見ない当方ですが。かつては毎週ビデオ録画までしていた、俳優渡辺篤史による一般人の自宅訪問番組。

1989年4月から開始された30分番組。現在30年超えの長寿番組。

その最大の魅力は渡辺篤史のべた褒めトーク。兎に角褒める。褒めまくる。

確かに出てくる家も施工主拘りまくりの注文住宅なんですが。にしても…「こんなに褒めの引き出しがあるなんて。」ほれぼれするほどの気持ちの良さ。

2006年から番組の放送時間の変更、そして当方の住む地域では地上波で見られなくなったため、すっかりご無沙汰してしまいましたが。

「ネタバレ禁止なら…『ワタナベ星人の建物探訪』で行くか。」そういう茶番も思いつきましたが。「そうなるとキム邸も取り上げないといけない…風間やんわりさんの『あつし渡辺の探訪びより』(アウトロー物件を取り上げるギャグ漫画)テイストになるのか。」やり切れたら面白そうな気もするけれど、何をしたいのか訳が分からなくなりそうなんで。没。軌道修正。

 

閑話休題

 

「当方がこの作品で好きな所の一つは、決してパク家を悪者には描かなかった事だ。」

 

一言で言ってしまうと『無邪気』。裕福ならではの世間ずれした感覚。能天気とも取れる発言は無自覚故。決して相手を不快にさせようだとかいう意図を感じない。

特に『シンプル』と表現された奥様。「おいおい大丈夫か?」思わず「本当に信頼できる人を作りなよ。」と心配になってしまうほどの騙されっぷり。

初めは高校生の娘の家庭教師。なのに。小学生の息子の美術カウンセラー、そして長年使えてくれた家政婦まで変えてしまう。

とは言え。夫も信頼していた運転手を解雇してしまったりと、結局夫婦二人してキム家の侵入に気づかない。

 

「そしてもう一つ。キム家も悪者には描かなかった所だ。」

全員無職で休職中。こいつは金ずるになるぞと目を付けたが最後、パク家に取り入り寄生。その手口は詐欺そのものだけれど。彼らもまた、完全な悪者では無い。

「だって。役割はきちんと果たしているから。」

英語の家庭教師。美術カウンセラー。運転手。家政婦。各々得た仕事は遂行。誰一人「きちんとやって。」などとは言われていなかった。

 

「彼の良い所は距離感をわきまえている所だ(パク氏の発言。言い回しうろ覚え)。」

あくまでも雇用主と従業員。仕事ぶりさえ評価できるものであれば素性は大して気にならないし踏み込まない。その関係性は崩さない。それは互いの家族にとってウィンウィンだったはずなのに。

 

「地下世界が広がった事でな…」もう危険。ネタバレ突破しそうなんであわてて風呂敷を畳んでいきますが。

 

この作品を楽しみにしまくっていた、我々映画部(部長と当方の二人)の感想メール。

「少し期待値を上げ過ぎたせいか、予想の範囲内に収まっちゃった感があった。」

「幼い弟の折角のボーイスカウト設定が。メモるだけじゃなくてさあ。」

そして。当方渾身の叫び。

「無自覚に無神経な夫婦のエロシーンが生々しかった。」

「妹のタバコ吸うシーンの絵面よ!決まり過ぎやろ!」

 

終盤。思いもよらない事象に襲われた後。

『雨降って地固まる』だったはずのパク家と『蟻の穴から堤も崩れる』となってしまったキム家。二つが対峙した時。一体どうなってしまったのか。

 

「最後のあれを希望と捉える人が居るのか…当方は寧ろ…。」

 

溜息。ネタバレを意識し過ぎて空中分解した感じが否めませんが。

ともあれ。この作品を観た後、帰宅した自宅が広くもなく狭くもなく衛生的である事にほっとした当方です。


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(写真は2009年に発売され、購入した番組本。今回実家より回収。)