ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

2019年 映画部ワタナベアカデミー賞

昭:2019年もあとわずか。やっとここまでたどり着きました。ご挨拶が遅れました。我々プレゼンターの『当方の心に住む男女キャラクター、昭と和(あきらとかず)』です。

和:今年は年内に感想文が終了しないかと思ったね。最終怒涛の駆け込み更新。正直やっつけ感が否めない。

昭:まあまあまあ。そういう事は置いておいて。やってきました、映画部年間総括!

和:現実社会では、たった二人の映画部の年間総括は年内には執り行われないんやけれどな。それにしても…なんで昔は12月29とか30日にやってたんやろう?

昭:部長と当方がお互い実家暮らしだったからだよ!大して家の掃除にも参加していなかったし。ってあかんあかん。こういう調子で進めていたらいつまでたっても始められへんで。仕切り直し!

 

和:映画部ワタナベアカデミー賞。これは年末映画好きあるある『年間ベストランキング』に対し「順位なんて付けられないよ~」という優柔不断さから、ジャンル別ベストを叩き出すという『アカデミー賞方式』を採用しています。

昭:何が優柔不断なんだか。順位どころか、ベストワンを叩き出すんやから。しかも時には複数出てくる事もある。ブレブレ。

和:今回の特別ルールとして、『困った展開になったら「オヨヨ~」で逃げる』を付けへん?オヨヨ~。

昭:『COLD WARあの歌、2つの心』な!…まあ、多用しないように気を付けよう。
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和:今年の劇場鑑賞回数は97回。内旧作は7本(午前十時の映画祭は3本)でした。

昭:うわ。遂に100本を切ったのか。

和:手術。激ヤセ(絶賛リバウンド中)。台風。PC水死。布団との闘い。労働意欲の低下。酒。数多の原因があった事を思うと寧ろよく観た方じゃないかと思うけれど。

昭:加齢に伴う気力と体力の低下…違う違う、そんな話をしたいわけじゃない。オヨヨ~。

和:早!まあおふざけはいいとして。そろそろ本当に始めましょうか。

 

『NO MORE SAKE部門』

マイ・エンジェル CLIMAXクライマックス
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昭:酒でやらかした人をニュースなんかで見るたび身が縮む思いがする。いつか当方もやらかすんじゃないか…そんなダメな酒飲みにとって、涙が出そうになった作品。

和:『マイ・エンジェル』のマルネール(マリオン・コティヤール)。酒癖が悪く、色々緩い。溺愛する娘エリーが居るのにクラブで知り合った男と駆け落ちしてしまう。そして残されたエリーの無意識で危険な自宅での行為。

昭:怖いよなあれ。何だかんだ親の背中を見て育ってしまっているって事やもんな。

和:「もう飲んでいないから!」酒を全部捨てて一新したのに…ちょっとでも心が折れたら酒に戻ってしまう。思い当たる節があり過ぎる。

昭:『CLIMAXクライマックス』酒とドラッグがコンボで決まるとこんな阿鼻叫喚に陥るんやなあ~。震える。

和:ダンサー22人の圧巻のパフォーマンスでまず掴まれて。時間が経過していくにつれ狂気の沙汰になっていく。でも流石ダンサー集団、ダンスそのものは崩れない。まあでもあれだけ全身動かして酒飲んだら、ドラッグ入ってなくても相当酔うよ。

昭:ああもう自制出来ん酒飲みはあかん!そう突きつけられる…俺はねえ『サタンタンゴ』の酒宴に居た、頭にパンを乗せて歩き回る男になりたい!

 

『狂人部門』

 ザ・バニシングー消失ー:大学教授レイモン
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和:「やりたいこと、やったもん勝ち♪」精神。『善と悪について』実験と考察を繰り返してきた半生。

昭:「このバルコニーから落ちたらどうなるんだろう?」「川に少女が落ちたらどうなるんだろう?」数々の実験を経て。「女性を薬で眠らせて車に連れ込んだらどうなるだろう?」

和:頭おかしいって!そんなの想像だけの世界でとどめとけよ~。

昭:興味本位と探求心の成れの果て。しかも飄々と告白。アイツホンマサイコパスですわ。

 

『胸糞映画部門』

岬の兄妹
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和:部門名で誤解されがちやけれど。まあでもこれは…「足に障害のある兄が自閉症の妹に売春させる。」という設定は糞やけれど。でもその実は胸が苦しくなる事ばかり。

昭:妹に売春させている時点で兄として終わっている。でも彼らがどうしてそういう状況に陥っているのか、追いつめられていく様が痛々しい。

和:そんな中で、妹は真実の愛を得た。そう思いたい。そう思ったねえ。

 

『ホラー部門』

ウトヤ島、7月22日
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昭:いや、これホラージャンルでは無いんやけれどね。

和:2011年7月22日。ノルウェーウトヤ島で起きた無差別銃乱射テロ。77人の少年少女が殺された。そんな、実際にあった出来事に遭遇した人たちの証言を基に作られた作品。

昭:発生から収束に至ったまでの72分。同じ時間、同じ銃の数でノンストップ。怖かったな。一気に背中にぞくぞくと寒気が走って、動悸。座席の中で体がせりあがった。こんな感覚は初めて。

 

『変態映画部門』

サタンタンゴ
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和:7時間18分。モノクロ3部作。これは文句なしの変態映画。

昭:泊まり勤務明けで鑑賞。第一部は睡魔に持っていかれた所もあったけれど、第二部からは完全覚醒。もうそこからは食い入る様に観ていたな。

和:猫のシーンの最悪さ。狂った酒宴のワクワク感。そしてまさかの…初めと最後が輪になって繋がるという。

昭:兎に角歩く歩く。牛も人も、見切れるまで延々歩く様を見せられる。あとアレな、豚足と豆のスープ。あれはしばらく探求したねえ。

 

『なんでこんな事になっちまうんだよおおお部門』

僕たちは希望という名の列車に乗った:エリック
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和:1956年。ベルリンの壁建設5年前のドイツ。西ドイツに憧れていた東ドイツの高校生たち。ある出来事に対して授業の前に2分間の黙とうとしたことで、クラス全体が人生の選択を迫られた。驚愕の実話ベースの作品。

昭:誰も彼もが「おいおいおい…。」というシビアな状況に追い込まれるんやけれど。このエリックに関しては「やめて!もうやめて!」と叫びたくなる。これはひどい。本当にいたたまれなかった。

 

『胸キュンシーン部門』

殺さない彼と死なない彼女:夕暮れの告白シーン
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和:夕日が落ちていく中。ずっと想いを寄せてくれていた撫子ちゃんに八千代君が気持ちを告白するシーン。

昭:田舎の田んぼが広がる光景。正面から対峙して自分の気持ちを告げた八千代君。それを受け止める撫子ちゃん。自然光と風がまた綺麗で…堪らなかったね。

 

『ベストカップル部門』

ゴッズ・オウン・カントリー:ジョニー&ゲオルゲ

マリッジ・ストーリー:チャーリー&ニコール
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和:オヨヨ〜。ベストとは何か。まさかの二組出てしまいました。

昭:仕方ない。今年最後の最後で『マリッジ・ストーリー』観てしまったもん。「別れても 好きな人~♪」かつてはかけがえのない大切な人だった。決して嫌いになった訳じゃない。でももう一緒には居れない。ラブラブな時の幸せさと、それが反転した時の「好きだった所」が仇になる様。

和:『ゴッズ・オウン・カントリー』これぞスパダリ…。ジョニーの我儘をいなして、けれどいけない時はガツンと叱る。ゲオルゲにとことん痺れた。でもジョニーだって頑張ってるんや。頑張っているんやで。

 

韓国映画部門』

工作 黒金星と呼ばれた男
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昭:1992年。「北朝鮮が核開発を行っている。」という情報が浮上。真偽を得る為に、北朝鮮へ送られた工作員パクと外交を取り締まるミョンウン所長の物語。

和:初めはタヌキの化かし合い。相手の手の内を知りたい、けれど工作員と知られたら消されてしまう。互いに丁丁発止の攻防を見せていたけれど。立場は違えど結局「かつては同じ民族だったんだ。分かり合えるはず。手を取り合い高め合おう。」と同じ方向を向いていく。

昭:北朝鮮のミョンウン所長がまた…いぶし銀で…秘めたる熱意。でも茶目っ気もある。もう最後のシーンではずっと脳内で中島みゆきの「テ~ルラ~テ~ルラアアアア~♪」って流れていたよ。胸が熱い。

和:オールジャンル全力の韓国映画。コメディゾンビ。冥界ファンタジー。新たな分野も見せていたけれど。最近増えつつある、結構切り込んだ社会派作品。面白いよね。

 

『ドキュメンタリー部門』

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス
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昭:世界最大級の知の殿堂、『ニューヨーク公共図書館』。「図書館はただの大きな本棚ではない。」図書館の在り方とは。税金と寄付金で成り立っているこの図書館の出来る事は。予算をどう生かすのか。

和:ライフステージや環境によって人々が図書館へ求める内容は変わる。果たしてそれにどう答えるのか。けれどそれだけじゃない。受け身だけじゃない。能動的にどう動けるのか。アグレッシブな図書館の取り組み。多方面からの視点がコロコロ変わって、3時間25分があっという間やった。

 

『午前十時の映画祭部門』

時計じかけのオレンジ
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昭:今年は他に観たのが『E.T.』。『ゴッドファーザ』。もう正直どれがベストとか無いにも等しいけれど…「キューブリックって古びないよな~。」という所で。

和:午前十時の映画祭って、確か今年一杯で終了って言ってなかったっけ?色々大変なんやろうけれど、やっぱり古き良き名作がスクリーンで観れるのはありがたいから、続けて欲しいんやけれどな…。

 

『アニメ部門』

スパイダーマン:スパイダーバース
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昭:お話自体は普遍的なんやけれど。映像が飛び抜けていた。「これは確かにアニメじゃないと。」そう思う構図。最後の宇宙空間なんて禍々しくて、若干気分が悪くなりかけたよ。

和:観客の「大好き!」という満場一致の空気感。そういう意味で『えいがのおそ松さん』も印象深かったな。一応六つ子の誰が誰かという予習をした程度で鑑賞。いまだにアニメも見ていないし、声優さんにも全く疎いんやけれど。愛らしい兄弟やった。好きになるの、分かるよ。

 

『俳優部門』

助演女優賞/ブルーアワーにぶっ飛ばす:南果歩(砂田俊子)

助演男優賞/解放区:本山大(引きこもり青年本山)
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昭:「南果歩ってこんなに上手いんかああ!」東京で新進気鋭のCMディレクターとして働く主人公砂田の母親役。茨城の田舎で暮らす、日に焼けた訛りの強い『THE田舎のおばあちゃん』。これ、砂田の実家メンバーが揃いも揃って切なくなる感じなんやれど、その中でも母親が一々堪らんかった。

和:『解放区』。主人公スヤマが新天地大阪釜ヶ崎で一切愛せないクズに成り下がっていくのに対し、引きこもていた本山(テロップではHIROSHI表記)は居場所を見つけていく。ただ何となくスヤマに呼び出されて行き着いただけだったけれど、底辺の暮らしの中から自立していく姿が印象的。

昭:過剰な演出で感情を揺さぶろうとするテレビマン達に吐いた言葉も芯を食っていたな。スヤマはどうなっていくのか分からんけれど、きっと本山はしっかり地面を踏みしめて生きていけると思った。

 

主演女優賞/マリッジ・ストーリー:スカーレット・ヨハンソン(ニコール)

主演男優賞/JOKERジョーカー:ホアキン・フェニックス(ジョーカー)

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和:「現時点でのスカヨハベストちゃう?!」最近のスカヨハってお色気ムンムンのキャラクターを演じたり、露出している事が多かった気がしたから、こういう等身大なキャラクターは新鮮やった。あの弁護士事務所での長回しでのくるくる変わっていく表情は圧巻。あんなに引き出しが多い役者やと思わなかったね。

昭:同じく『マリッジ・ストーリー』からアダム・ドライバーも良かったんやけれどな~。今年の主演男優賞でホアキン・フェニックスは外せないよな。

和:今までにぎやかしだった、ジョーカーの悲哀。精神疾患。貧困。お笑い芸人を目指しているのに、絶望的なセンスの無さ。あの笑い方…そして後ろ姿。あれ、どういう痩せ方してどういう姿勢を取ったら、あんな見ただけで異常やと思える背中になんの?

昭:兎に角積み重なる負の連鎖。耐えて耐えて耐えて…そして爆発するフラストレーション。

和:エンドロールでうっすら泣いたね。「これが観たかったジョーカーだ。」期待と不安を完全に塗り替えて叩きつけてきた作品。ホアキン・フェニックス以外では不可能やったと思う。

 

『監督部門』

イ・チャンドン監督:バーニング劇場版 ペパーミント・キャンディ オアシス
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昭:『バーニング劇場版』を見た時の不思議な感覚。綺麗ごとなんてどこにもない。寧ろ人間らしい小汚い若者を描いているのに、何故かとても澄んでいる。夕暮れの中上半身裸で踊る彼女の儚さ。今一番幸せななのに、目を瞑ったらそれが消えてしまう。今がピークだと悟っている。夢みたい…。何だこれは。そう思っていたら、行きつけの映画館に依る、過去に上映された『ペパーミント・キャンディ』『オアシス』の再演。

どれもこれも初めは「嫌やなあ~」と思うのに。観終わったら「これまで観たイ・チャンドン監督作品で一番好きだ。」と思う。純度の高さよ。

 

『ワタナベアカデミー大賞』

該当作品なし

和:うわあああああ~。嘘やん!

昭:ちょっとそれについてはノーコメントで。先に進みます。

 

『佳作部門』

ゴッズ・オウン・カントリー バーニング劇場版 JOKERジョーカー(公開順)

和:そういう事かああああ。

昭:どれもが「これは至高やな。」と思ったんやけれど。この中からどれか一つには選べなかった。そしてこれまでの『ワタナベアカデミー大賞作品』って、並べて選んでいないんよな。実際に映画館で観ていて思うねん。「ああこれ、今年のベストやな。」その『降りてくる』感じでは無かった。勿論、この佳作は今年観た中では個人的に突出していたけれどね。

 

ラズベリー部門』

ダンボ
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和:これはもう…お察し下さい。当方の妹が幼い頃に母親から貰ったダンボのぬいぐるみ。以降ディズニーキャラクターで『ダンボ推し』だった妹と当方の、劇場鑑賞後の「コレジャナイ感。」

昭:ディズニーの近年の流行り、何でも実写化。そして社会派メッセージを添付。そういうやり方がダンボには合わなかったんやろうな。

 

和:以上。長々とお疲れ様でした。

昭:お疲れ様でした。思っていたより「オヨヨ~」使わなかったね。

和:正直それどころでは無かったよ。例年に比べて本数的に観ていない割に『~部門』多かったし。

昭:そう思ったら『年間ベストランキング』総括をしている人って凄いな。自分なりのぶれない軸ありきでランキングって。見ていたら確かに凄く個性が出るし。

 

和:初めのあたりで言ってた「加齢に伴う気力と体力の低下」。今年はガクンと来た。休日布団から出ずに過ごした事、数えられない位あったよ。

昭:いざ。勇気をもって布団から退団して映画館に向かったら、それはそれで楽しいんやけれどな。布団との攻防に負けて見逃してしまった作品、それも数えきれないよ。

和:今年も何とかこの映画感想文ブログをルール通りにやり遂げたけれど。心が折れそうになった事、何度もあったね。

昭:心が折れる=終了やからな。「観た作品全ての感想文を書く」「観た順番を入れ替えない」完全なる自己満足の備忘録なのに結構しんどいルール。結局何本も溜め込んでしまって、遅れ遅れ書いていく羽目になる。後あれな。自己満足とは言え、文章が長くなりすぎている。これは本当に検討課題。

 

和:年間総括らしく。来年はどういう年にしたいですか?

昭:「肩の力を抜いてやれることをやる」かなあ。気力も体力もこれから上がる事は無いんやから、せめて使える時間はだらだらせずに大切に使う。映画館で映画を観る事は楽しい。「年間何本観ないと」とか「あれをいつまでに観ないと」とか「絶対に今週中には溜まった感想文を書きあげる」とか。がんじがらめにしている気持ちを緩めたら、本来持っている「映画って楽しいな」に戻れる気がする。

和:とはいっても。この備忘録感想文のルールは変えないよ。

昭:うん。まあ検討課題は明確なんで。ほどほどに頑張ります。

 

和:長らく駄文に付き合ってくれた方。本当にありがとうございました。

昭:色々締まりのない事も書きましたが。一年間、沢山の映画を観れた事は幸せだったと思う。ちょっとガタが来た部分もあったけれど、大病を患った訳でない。身内も含め元気に過ごせた。家もある、布団もある。現実逃避は現実ありきじゃないと成立しない、そう思うと色々あったしんどい出来事も終わりよければすべてよし。下らねえと愚痴りながら、また映画館に向かう、そんな日が来年も続きますように。

和:最後になりましたが、どなた様にとっても良い年でありますように。…良いお年を。