ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「無双の鉄拳」

「無双の鉄拳」観ました。
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「一度キレたら誰にも止められない。かつて闇の世界で『雄牛』と呼ばれた男。」「愛する妻を奪われた。拳一つで取り戻す。」「死にたい奴から、かかって来い。」

 

ハリウッドから「アジアのドウェイン・ジョンソンだ。」とラブコールを受けたという韓国人俳優マ・ドンソク。

その強面なビジュアル。アジア人とは思えない体躯…なのに、表情や仕草はなんだか愛らしい。ラブリーと掛けて『マブリー』と呼ばれる彼。

「恐ろしい目に合わされると思って、必死に逃げてきたら。実は落とした白い貝殻の小さなイヤリングを渡そうとしていた。そんな森のくまさん的キャラクター。」「けれどいざ戦わせたら…パワーでねじ伏せる系。」「マブリー大好き!」

 

血中マブリー濃度を保つべく。そして香ばしい数々の煽り文句に煽られて。ふらふらと吸い寄せられた当方。

 

主人公のドンチョル。かつて闇の世界で恐れられた彼は現在愛する妻ジスと二人暮らし。魚の卸売市場で働く彼は、普段は周囲に腰が低く穏やか。情に厚く面倒見が良いから彼を兄貴と慕う舎弟も居る。

けれど、商売に関しては騙されやすい性格で。ちょっとでも儲かりそうな話を聞いてしまえばすぐに投資してしまう。その為いつだって家庭の経済状況は火の車。破産寸前。

ジスの誕生日の夜。レストランで起きた夫婦喧嘩。怒って一人自宅に帰ったジスを追って慌てて帰宅したドンチョル。しかし、そこにジスの姿は無く。

荒らされた部屋に呆然と立ち尽くすドンチョルの携帯電話に掛かってきた、何者からの電話。「ジスを誘拐した。」。翌日の「金を払うからジスの事は忘れろ。」そして実際に手元に届けられた大金。

警察に届けた。けれど一向に捜査は進んでいる気配が無い。

「こうなったら俺がジスを探し出す。この手で取り戻す。」

かつて雄牛と呼ばれた男の覚醒。怒りに震えたドクチョルは独自に動き出す。

 

安定のマブリーキャラクター。普段は周囲に対しヘラヘラと取り繕って気弱な対応。けれどキレたらもう…猪突猛進。大暴れ。武器なんて使わない。体当たりでぶつかり。相手に掴みかかり、跳ね飛ばし、ねじ伏せ。兎に角拳で叩きのめす。

 

革ジャン?というか合皮?のジャンパー、中は黒いシャツ。ぴっちりしたパンツ。マブリー格闘スタイルのユニフォームも勿論お馴染み。

しかも今回の「かつて闇の世界で名を馳せた」というのも、別にどこかにの組織に属していた訳じゃなくて。いうならば「ただただ腕っぷしが強い奴がいた。」という道場破り的ストロングスタイル(我ながら意味不明)。

 

「おお。車のガラスを拳で割ったぞ!」「あんな大きな男を抱き抱えて…まさかの天井にぶつけて突き破るなんて!そんな倒し方って!」すげええの波に飲み込まれてしまう。その快感。(余談ですが。あのマブリーの出で立ちを見て。それでも向かっていく相手達にこそ勇気を感じる当方。だって…普通は戦意喪失しますよ。)

 

ジスを誘拐した相手。それは恐るべき人身売買組織。

「最近韓国内外の富裕層の間で韓国人女性が人気だ。だから金銭的に問題のある女性をパートナー(夫や家族)から高額で買い取って、整形した後売り飛ばす。」「何だかんだ言って。金を返して女性を取り戻したいと言った男はいなかったぜ。」

その組織のトップ、ギテ。

ギテの子分が語った、「アイツは何でも金で買えると思っているんだ。」

血も涙もないサイコパス。けれど商品である女性には傷をつけるなと、人質の女性に暴力を振るった子分を半殺しにしたりする。(最終的にはギテの奴、滅茶苦茶ジスに暴力振るってましたけれど。)

オールバックで紫色のスーツ、ってどこのジョジョだよというファッションセンス。妙に律儀。そしてどこまでも憎たらしい、なかなか骨のある悪役。確かにこういう奴がラスボスじゃないと。

 

人身売買の闇組織VSかつて名をはせた孤独なアウトロー。どこまでもシリアスなノアール作品にだって出来そうなもんですが。決してそうはさせない。それがマブリー映画。

 

ドンチョルの舎弟チュンシク。そしてジムの行方を調べる為に利用した興信所社長のコム。主にこの二人が果たしていたコメディー要員。愛すべきおバカさん。

二人の掛け合いのコミカルさ。そしてドンチョル自身も決してシリアス一辺倒では無いので、話が停滞しない。サクサク進む。

そして。人質となったジス。監禁された廃病院での大立ち回りといい、決してめそめそして小さくなってやり過ごしてはいなかった。まあでも。韓国映画の女性って基本大人しくやられたりしませんね。そして元々の性格も気が強い。

 

という。本当に『愛する妻を奪われた、人外な威力を持つ男が相手組織から妻を奪い返す』というシンプルな話なんで。「まさかあの人が!」とか「どうしてこんな事になっちまうんだよおおおおお。」とかも無し。

悪役は悪役で。そこには一点の曇りもない。同情の余地など無い、清々しいまでに倒すべき相手。

(人身売買なんて…人の命は金では買えないぞ。とかの真剣なテーマは正直感じませんでした。)

そして味方は警察も含め、ポンコツさが可愛らしいメンバー。けれど大元である主人公の圧倒的パワーがあるからわちゃしながら群れていればよい。

大筋としては目新しい事は無い…という。なので安心してマブリーアクションを観ていたらいい作品なんですよ。(けなしていません。)

そして結末とその後の彼らも含め。「ご都合主義感は否めないけれど。良かったね。お幸せに。」と笑顔になれたりもするのですが。

 

「これはこれで良いんやけれど…完全に悪に染まりきったマブリーを見たい。又は一片の笑いも存在しないノアールマブリー作品。」

彼の出演作を幾つか観ていく内に、次第に生まれてきた思い。いつか見たい。そんなダークなマブリーを。

 

兎も角。人気俳優であるマブリー作品はこれからもコンスタントに公開されていくようなので。血中マブリー濃度を保つためにも、今後も見届けていきたい。そしていつか出会いたい。そう思う当方です。