映画部活動報告「ショーン・オブ・ザ・デッド」
「ショーン・オブ・ザ・デッド」観ました。
2004年公開のイギリスゾンビ映画。
エドガー・ライト監督。エドガー・ライト&サイモン・ペグ脚本。サイモン・ペグ主演。
ロンドン。家電量販店勤務の冴えないショーン。29歳。
彼女のリズとは付き合って数年。最近ではリズとの結婚も考えているのに。リズは何だか御立腹気味。
原因は、ショーンが一緒に暮らす親友エドの存在。
働いているショーンに比べ、ほぼ無職。(たまにヤクを売ったりして小遣い稼ぎをしている)一日中食っちゃ寝。またはゲーム。ブクブク太って、怠惰の極み。なのにショーンとは昔からの腐れ縁。いつも二人でつるんで行動。
ショーンとリズのデートはいつもパブ『ウインチェスター』。そしてそこにはいつだってエドが居る。
「私は一体何なの⁉」「ずっとこのままなの⁉」キレるリズに対し、翌日に二人っきりのレストランデートを提案するショーン。なのに。
結局デートはお流れ。リズに振られてしまった。
落ち込むショーンをお馴染みのパブに連れ出すエド。散々くだを巻いて。帰宅後も二人で大騒ぎ。そして寝落ち。案の定二日酔いで目覚めた朝。
そこはゾンビたちが跋扈する世界と化していた。
昭:2004年イギリス公開、大ヒット。にも拘わらず日本ではDVDスルーされて15年。やっと劇場公開される日が来た!
和:こんなに有名な作品なのに、そう言えばDVD観た事無いな~と思って鑑賞した訳やけれど。って何故私たちが召喚?
女性から見たらバカみたい。そんな男同士の友情にやきもきする女性の立場。男友達と彼女は全然違うのに…分かってもらえない、という男性の諦め。一見頼りないのに有事にカッコよい所を見せられてキュンとする気持ち。そういうのを男女の立場から語ってもらおうと。当方の心に住む男女キャラ『昭と和(あきらとかず)』を登場させてみました。
和:いやいやいや。それは無理。だって私そういうキャラクターちゃうもん。「私と何か(何かには仕事とか友人とかはたまた身内が当てはまる)どっちが大事なの⁉」とか言わんタイプやもん。
昭:知ってる。同じ人間の心から派生してるんやから、そんな思考が無いのは知ってるけどな…やってもらおうか。後、たまにはこの寸劇回が無いとマンネリ化してしまうから。
和:知らんがな!ニヤニヤして…憎たらしい。
昭:しかしこれ、本当に楽しい映画やった。
和:ゾンビ映画に精通している訳じゃないけれど。王道のゆっくり近づいてくる系。噛まれたら感染しいつの間にやらゾンビ化。でも頭を潰せばTHE END。
昭:最近の走れる奴とかじゃないし、なにより「何故彼らはゾンビ化したのか。そして果たして残された人類の定めは?」とかの深刻さが無い。「何故だか知らんけれどいつの間にか町の皆ががゾンビ化してた!」「取りあえず逃げろ!」「あれ?今車で何か轢いた…ゾンビか。ならいいや!」みたいなカラっとした世界観。
和:あくまでコメディ。なのに…ラブやヒューマン要素も織り込んでいて、その匙加減のセンスが良い。
昭:冴えない主人公。家電量販店の販売員だけれど特にやる気も無い。故に職場でも学生バイトに馬鹿にされて。でも別に良い。だって、自分には安定した関係の彼女も、自宅に帰れば何の気も置けない親友だっているから。
和:(深呼吸)でもだからって、いつだってそいつが付いてくるのってどうなの?今だってデートなんですけど!貴方にとっては家族同然の存在かもしれないけれど、私にとってはただの邪魔者。二人でラブラブな時を過ごしたいのに!
昭:(小声)…よく頑張ったな。和:うるさい!
昭:でもさあ。彼女の事、勿論大好きで大切なんやけれど。男友達で親友ってのはまた全然違う次元で大切なの。女の人って直ぐに気持ちランキング総合一位になりたくて男を責めてくるけれどさあ。こっちの『好き』にはタスク分けがあるの。『彼女』『親友』『家族』後は人によって『仕事』とか『趣味』とか。
和:その『親友』のタスク、レベル酷すぎない?それに「タスク分けしてる」って言うけれど、結構私の所まで来てる…タスク統合されてない?
昭:っていう男女の平行線思考。しかも何とか彼女の機嫌を取ろうと二人っきりでのデートを企画したのに。色んな弊害に依って実現ならず。
和:結局貴方にとって私ってその程度の存在なのよ!もういい!さよなら!
昭:そんな時。慰めてくれるのは親友なんよな。
和:ショーンの親友エド。ショーンの家に居候している、日がなだらだら怠惰に過ごすどうしようもないデブのニート。昔から一緒で。くっついてゲームをして。映画を観て。音楽を聴いて。ずっと一緒に居ても全く疲れない。阿吽の呼吸でウィットの効いた会話の出来る奴。例え落ち込んだって、とことん付き合ってくれる。だってそんなのお互い様だろ…って、最高やん!エドめっちゃ最高!
昭:おっとブレ始めたぞ!気を付けろ!
和:彼女に振られたからって朝方まで大騒ぎ。そして目覚めたら世界は変わっていた。…本当はその前から違和感は描かれていたけれど。二人が実感したのはここから。
昭:実はもう一人ルームメイトが存在するんよな。仲良く無いけれど。そいつとか。ショーン行きつけのスーパーの店員とか。普段会う人たちがことごとくゾンビ化。そしていよいよ自宅の敷地にゾンビが侵入。
和:あの撃退するシーンの堪らん馬鹿馬鹿しさ。
昭:自宅にバリケード張ってゾンビの侵入を防いだら良いのに。まさかの「近くに住む自分の母親と彼女を迎えに行って(ここまではまとも)、馴染みのパブに避難しよう」というおバカ作戦。「パブのドアや建物は頑丈だから」って。
和:優柔不断で周りに流されてばっかり。冒険だってしない。だからいつも同じ場所に同じメンバーで集まって同じことを繰り返すデート。そんな恋人にうんざりしていた。本当に嫌いになった訳じゃ無い。自分がすねたって彼を困らせるだけ。分かっていたけれど…ってモヤモヤしていた時。突然の有事。そんな時に別れたはずの彼が私を助けにやってきた!!
昭:だから言ったでしょうが。タスク分けしてるって。母親も彼女も。ちゃんと親友と助けに来たよ。
~我ながら一体何を延々と書いているのか分からなくなってきましたので。ちょっと端折って風呂敷を畳んでいきたいと思いますが。
和:っていうセンチメンタルが根底にありながらも、基本コメディでサクサク展開。
昭:母親も重要なタスクやったね。自分が12歳の時に今の父親と再婚。母親の事は好きだけれど、厳格でとっつきにくい義父とはギクシャクした関係。今回の有事を受けて母親に連絡した所、どうやら義父はゾンビに噛まれており、ゾンビ化は時間の問題。
和:「よし!じゃあ殺そうぜ!」というエドの発想!…ほんまエドの奴…好き。
昭:この作品は、主要メンバーだからってご都合主義で生き残ったりしない。潔い。
和:基本コメディ。でも最後は何だか切なくて…あんなタスク消去って…。
昭:男って。男って、はたから見たら馬鹿みたいでも、いざという時には恰好付けたい生き物なの。
和:寒い…ギブミーブランケット!もう茶番は限界。
ギブアップで寸劇終了。ここいらで感想文も足早にまとめていきたいと思いますが。
あくまでもコメディゾンビ映画でありながら、ラブとヒューマン要素のバランスが絶妙。締めるべき所はしっかり締めて。でも暗くなり過ぎない。そしてお話の落としどころがまた最高。無理が無く、ショーンとリズ、エドにとってのベストアンサーに収まっている。
「そりゃあゾンビ映画好きがこぞって褒めてくる訳ですわ。」
ありきたりですが。「これを15年の時を経て映画館で観られた喜び。」DVDでは勿体ない。ありがたい。そして。
「ああ。こういう馬鹿をやれる親友が欲しい。というかエドが欲しい。」
エドを求めてやまない当方。一緒に朝まで歌いたいし、レコード投げもやりたいです。