ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「アリータ  バトル・エンジェル」

「アリータ  バトル・エンジェル」観ました。
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木城ゆきと原作『銃夢』の映画化。ジェームズ・キャメロン監督作品。

近未来。かつて火星連合共和国(URP)と没落戦争があった。終結後300年後の地球。

そのビジュアルは砂時計。上層部にザレム-誰も見た事の無い楽園と、その下に退廃しきったアイアンシティが広がっていた。

ザレムから落ちてくるゴミ…。ごみ捨て場を漁っていたサイバー医師イド。偶然見つけたロボットの頭部…それを持ち帰り、手持ちのパーツをカスタムした結果生まれたサイボーグ戦士アリータの物語。

 

「氏の原作漫画全巻を持っている。だからこそ厳しい目で見たつもりだが…高得点だと思う。」

 

映画部部長からの重々しいメール報告…原作未読、仕事の都合でたまたま初日鑑賞を果たした程度の当方からしたら…「だってよ!」で終わらせても良いような気がしましたが。さらっと。

 

300年の時を経て。イドの手に依って新たな生を受けたアリータ。けれど以前の記憶は一切無い。

イドと共に生活。町を一緒に散歩して。全てが初めての景色。目新しくて。そこで出会った青年、ヒューゴ。

アイアンシティで大人気の競技、モーターボール。一つのボールを選手が争奪しながらゴールに投げ込む…ただしその争奪手段は荒手。魅せられるアリータ。

治安が悪い世界。不穏な犯罪者が跋扈する街で。懸賞金付きのお尋ね者を捉える『ハンター』という特殊な自警団。

夜な夜なそっと街に繰り出すイドの姿に初め「犯罪者なのでは?」と不安になり後を付けるアリータ。けれどイドは「診療所運営資金の為」小銭を稼ぐハンターだった。

追っていたお尋ね者に襲われ、窮地に陥ったイド。そこで反射的に反撃したアリータの脳裏によみがえった一部の記憶。その後徐々に「自分は300年前の没落戦争で作られた人型最終兵器(兵士)であった事を思い出すアリータ。そして。

「自分は一体誰と何の為に戦っていたのか。」「かつての相手は今。そして火星連合共和国の現状は。」「300年後の現在。自分が大切で守りたいものは何か。その為には誰とどう戦うのか。」

そういった事を描いていた…と認識しているのですが。

 

如何せん、こういう特殊レギュレーションが入り乱れたSF漫画が飲み込めない脳の構造なんで…しどろもどろ。ボロが出過ぎない内に撤退しようと思う次第。

 

『アリータのビジュアル問題』

「目は全てを映す鏡だ。だからそれが大きいという事は云々」みたいな事をJ・キャメロンは語っていましたがね。アバターのビジュアルからしてももう、彼の生み出す造形キャラクターの癖なんだろうと思う当方。

予告編等で違和感しか感じなかった、アリータのギョロ目。不思議な等身。けれど意外とアリータ誕生から5分後には何も感じなくなった。

寧ろ「CGでここまで動けて、こんなに表情が出せるんやなあ~」と感心。

そして、誕生の頃の小中学生くらいの体つきから、とあるきっかけでバージョンアップした大人の体に艶めかしさを感じた当方。

 

『モーター・ボール』

当方にはイマイチルールがよく分からんかったゲーム。会場の中、ローラースケート的なシューズを履いて、選手は一斉スタート。目の前を素早く動くボール。それを捕まえ、決められたゴールに投げ込むという、球技一般に通じるレギュレーション。けれどそこにはチーム等存在しない。あくまで対個人。加えてボールの争奪方法は無法地帯。互いに高速で動いているため、衝突・転倒は当たり前。それどころか敢えて他の選手に危害を加えたり…果ては殺したり。

「うーん。ハリポタで言う『クディッチ』ですか…嵌る人には嵌るんやろうスポーツシーンなんやろうけれど…。」歯切れの悪い当方。

(せめてその競技がきちんとゴールするまでを見ないと…後、本当にルールが無さ過ぎて…。)

 

『ザレムとアイアンシティ』

まだ見ぬ楽園。掃きだめみたいなこの世界からしたらさぞかし素敵な場所なんだろう。

行きたい。行ってこの目で見たい。触れたい。感じたい。アイアンシティに住む誰もが憧れる、空中都市ザレム。

一体どうしたら行ける?金か?コネか?だとしても一体誰に…。

そのコネクションを見つけた青年ヒューゴ。けれどその為に必死で貢ぐヒューゴのやって居る事はチンケな犯罪。不毛すぎて。

アイアンシティからザレムに何らかの物資を輸送しているエアシューターみたいなのはあるけれど。一体アイアンシティから何を送っているのか。

(一応それらしい答えは出ていましたが。当方は原作未読なんで好き勝手な事を言います…『底辺だと思っている者が憧れる楽園は大抵ディストピアなんだがな説』。アイアンシティの人間は体の一部が欠損したらサイバーな部品でそれを補うけれど、ザレムに住む者は逆で、最早人間としてのパーツが無いとか。)

 

『アリータのキャラクター』

兎に角「恋する女は綺麗さあ~」の世界。300年前は人型最終兵器という戦士。今もその精神は流れているけれど…その根底にあるのは「嬉しい・楽しい・大好き!」。

初めて見た世界。そこで出会った青年ヒューゴ。彼は何でも教えてくれた。チョコレート。モーター・ボール。二人でバイク(っぽいやつ)でドライブして。デートして。色んな所に連れて行ってくれた。色んな事を教えてくれた…人を好きになるって事も。(ポエマー当方)

「俺はザレムに行くんだ!」その為ならば。この心臓すらもあげる。賞金目当てでモーター・ボールにも出場する。

「その自己犠牲精神…個人的には疲れる…重い…あんたには自己意志が無いのか…なまじ元々のポテンシャルが高いんやから、こんな当方に合わせたらあんたの能力を無駄にしてしまうやないか…。」束縛されると爆死する当方。グイグイくるアリータに食傷。

 

己の潜在意識と能力。戦士であり、未だ続くこの世に生を受けたからには果たしたい任務。けれど。それとは別に。大切にしたい人が居る。

 

「そんなアリータが受けた、初めての恋とその結末。それが今後の原動力になっていくんでしょうけれど…ちょっと最後らへん駆け足でとっ散らかった感が…。」

 

『続編について』

「はっきり言って、続編ありきで作ってますよね。じゃないと余りにも投げっぱなし…。」もごもご語尾を濁す当方。と言うのも。

何しろ原作未読なもんで。今回全体のどこまでを描いたのかよく分からない。

全てを知る人達からしたら、良く出来た再現映像だったのかもしれないけれど…正直何も知らない者からしたら『俺たちの大好きなあの作品について語った会』というキャッキャ感が否めない。(当方にしては珍しく手厳しい発言)

 

「ならば…きちんと続編を作って、落とすべき所に落とすべきだ。」「それこそが『俺たちが大好きなあの作品』に対する、真摯な姿勢だろう。」そうはっきり言い切りたい…のですが。

 

「この作品の公開が延びに延びていた事を思うとな~続編なんていつになる事やら。」

 

ひとまず当方はブチブチ文句を言う前に、原作『銃夢』を読むべきではないか。そう思う所です。