ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「search サーチ」

「search サーチ」観ました。
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『全編パソコン画面で展開される、異色のサスペンス作品!』

 

16歳の娘の失踪。

妻を亡くし。父親と娘の二人暮らし。けれどその関係は最近微妙…互いに仕事と学校ですれ違い。親子の会話はメールでのやり取りにとどまっていた。

ある日。「友達と勉強するから」と出かけたまま、帰らなかった娘。

初めこそ「いつもの事か」と高を括っていた父親。しかし夜間睡眠中、三回父親のスマートフォンへの着信を残したきり。ぷっつりと娘からの音信は途絶えてしまう。

娘の友達に聞けばいい?…娘の友達は誰だ?一体誰とどういう付き合いをしている?ー分からない。娘の事が全然分からない。

警察に捜索依頼を出し。それと並行して娘のSNSに片っ端からアクセスしていく父親。

次第に『見た事の無い娘の姿』が明らかになっていく…。

 

まず、冒頭映画館のスクリーン一杯に映し出される『Windows95』の待ち受け画面。その広々とした草原の左端下スタートボタンをクリックする所から物語は始まる。

デヴィットとパメラ。キム夫妻の元に生まれたマーゴット。マーゴットの成長を収めたフォルダー。幸せそのものの家族。なのに…妻パメラに次第に忍び寄る癌の影。一旦は抑え込めたけれど。再発。

キム家に起きた悲しい出来事。それを家族の動画やら、「癌」「克服」等の検索ワード。そして入院したパメラの「一時帰宅」「延期」等スケジュール帳を組み合わせる事で、近づいてきたパメラのお別れを表現する妙。そのうまさに唸る当方。

 

まあ。102分全編パソコン画面と謳っているので。パソコンの前に座る、主人公の父親の映像だけではなく。SNSを初めとする各種サイトのログイン画面やその実際、グーグルアース、スカイプや防犯カメラ等々。ありとあらゆる画面を組み合わせて構成。けれどそれがしっかりサスペンス然としていてハラハラさせてくる。

 

パソコンスキルが皆無の当方は、この『サイバーパパ』のやり方について「もっとこうしたらさあ!」なんて観点では一切語れませんので。今回は感想を二つほど書いて終えたいと思います。

 

『サイバーパパの恐怖』

父親デヴィットのパソコンスキル、怖すぎる。

愛する娘が失踪。もしかしたら危険な事態に巻き込まれているのかもしれない。気が気じゃない。その心中、お察しします…けれど。

この父親は普段何のお仕事をしているんでしたっけ?スカイプか何かで会議しているシーンもありましたし、IT系かなんかなんでしょうけれど。けれど。(当方の偏見ですが。マーゴット16歳って事はデヴィット30台後半~40台位?この年代でここまで柔軟にサイバー出来るもんなんの?)

FacebookTwitterInstagram。大手SNS皆やっているけれど、全てアカウント非公開。」その娘のアカウントを。次々パスワード解除し覗いていく父親。怖すぎる。

あまつさえ娘の動画サイトやチャット。そして電子バンクまで。そんなのも解除。閲覧。

「俺の知らないマーゴットがいる。」居るでしょうよ!16歳の少女が男親に言いたくない様な秘密持って何が悪い。(まあ…マーゴットも実名で害の無いアカウントばかりでしたから。これ、匿名でマニアックな趣味全開のアカウントとかやったら。そして親にそれを知られたら。万死に値する案件。)

そして娘のプライベートを散々見てからの「ちょっと待てよ?」というサイバー探偵っぷり。警察そっちのけでガンガン動きまくり。そして案の定担当ヴィック刑事から怒られ。

 

『携帯電話会社お客様サポート不在問題』

物語の進行中。「無能な警察やなあ。素人のサイバー探偵に出し抜かれまくってるやん。」そう思っていたので。最終の展開に「いやいやいや。それはそれでおかしいやろ。」「ワンマンにも程がある。」とずっこけた当方。とは言え。ネタバレはしたくないのでこの件はこれ以上追及しませんが。

 

「夜中三回父親のスマートフォンにマーゴットからの着信履歴。」「それ以降マーゴットからの音信不通。」

どうして携帯電話会社に連絡しないんですか?いくら何でも刑事事件なんやから、娘の最終場所特定出来るんじゃないんですか?

 

余談ですが。当方は昔酔っぱらって携帯電話を紛失した事があって。結局通勤電車の途中駅のトイレから出てきた事がありました。(一旦下車し、トイレを借りてそのまま弁当袋をトイレに置いてきてしまった。その袋の中に入っていた)

ご機嫌さんな状態でしたが。自宅で携帯電話を紛失したと気付いた時にはショックで酔いも冷め。慌ててパソコンを起動。GPSで携帯電話を探し出せると知り。それで捜索しながら携帯電話お客様サービスにも連絡。結局当該駅から発見に至りました。

 

つまりは。少なくとも娘が行方不明になる寸前、その電話発信をした場所位は特定出来るでしょうと。そして、娘が普段誰と通信していたのか。それ…分かるんじゃないんですか?通信記録や通話記録。話の内容は無理としても、色々分かるんじゃないんですか?(まあ。普通ならマーゴットのパソコン、警察に押収されて分析されるでしょうしね)

 

なんだか。新しい見せ方でしたし、確かに息つく暇もない。「もしかしてもしかして」とハラハラもさせるけれど。ふと立ち止まってみたら。「あれ?」と思う所もある作品。

 

ただ、当方が確実に言える事。

「当方がマーゴットだとしたら。そしてサイバーパパの実態を知ったら。例え父親と再会して親子の絆を取り戻したとしても…どこかで父親への恐怖が拭えないやろう。何しろ、SNSの鍵アカウントを突破する能力を持っているんやからな。」

お父さんは心配性。

マーゴットには真実を伝えないで欲しいです。(あ。でも父親にパスワード変更されているんやった。絶対気付くなこれ。)