ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「ファイティン!」

「ファイティン!」観ました。
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韓国随一のマッチョ俳優、マ・ドンソク主演映画。

 

マ・ドンソク。アジア人とは思えないムッキムキの体。そしてどこか愛嬌ある顔。どう見ても悪役商会枠なのに。

去年日本でも公開された『新感染 ファイナル・エキスプレス』。高速鉄道内でのパンデミックパニック=ゾンビ映画

 

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「まさかのゾンビに対して腕にガムテープを巻いただけで参戦!」けれど圧倒的な強さと正義感を見せた。本国でもこの作品の大ヒットから注目され。先日公開された『犯罪都市』に続き。今作品が製作されたと。

 

曲がった事が大嫌い。マ~サカリ~担いだ金太郎~。

強面なのに可愛らしいマ・ドンソク。ラブリーと掛けて『マブリー』の愛称。韓国ではそうも呼ばれていると。

 

そんなマブリー兄さんの新作は何と『アームレスリング=腕相撲』映画。

 

いやあ~。まだ2018年夏が始まる前。この作品の存在を知った時の当方がどれだけ沸き立ったか。

「上腕50センチのマッチョ俳優の魅せる、家族の絆の話!」

今振り返るとそのまんまでしたが。何だそれはと。もうワクワク感が半端無くて。

 

「韓国が好きで。しょっちゅう買い物に行きます。」職場で。そう言った、この春入職した新卒にも。「この俳優さん知ってる?」「韓国好きなんでしょ?」「知らないの?韓国きっての上腕俳優を?」と散々画像を見せつけ混乱させ。(当方は韓国に行ったこともありません)そんなパワハラを繰り返してきた日々。

 

満を持して。公開翌日の日曜日。朝の10時から。(やるかたない事情にて初日鑑賞ならず)男だらけの劇場で鑑賞してきました。

 

いやあ~。もう清々しい程の直球映画でした。

 

幼少期の頃。親の経済的理由からアメリカに養子に出されたマーク(マ・ドンソク)。けれど義理の両親も早くに他界。ひょろひょろとしたアジア人体型である事をからかわれ。だから体を鍛え。そしてアームレスリングの世界を知った。次第に大活躍。目指すは世界チャンピョン。

しかし。八百長を疑われ除名。…今やクラブの用心棒。

そこに現れたジンギ(クウォン・ユル)。マークを兄貴と慕う彼は、自称スポーツエージェント。

「韓国に来い。もう一回アームレスリングの世界に返り咲こう。」

夢を捨てきれず。アメリカから韓国に渡るマーク。けれど。なかなかすんなり正式な大会にノミネートされない日々。

というのも、ジンギは多額の報酬金目当てにサラ金やスポーツ賭博を営むチャンス社長にマークを売り込もうとしていたから。

ジンギにカモにされた。そうとは露知らず帰国したばかりの時。ジンギから贈られた『実母の家』までのナビ。マークはそれを基に実母に会いに行く。母はもう亡くなっていたが。そこには『シングルマザーとなって二人の子供を育てる妹スジン(ハン・イェリ)』が居た。

 

マブリーの現実の半生。今回初見でしたが。実際に家族の経済的理由からアメリカに移住した経歴があったと。だからか…マークの時折発する英語、いやに流暢。

 

マーク。

ムキムキマッチョボディ。かつてはアームレスリングの世界レベル選手。トップを目指していた。けれど挫折し、今や燻った日々。と思っていたら光を当てられた。見つけてくれた。そしてジンギは言った。「兄貴はまた輝ける。」

何故俺は燻ったのか。それは「八百長をした」と思われたから。八百長?断じてしていない。でも誰にも信じてもらえなくて。そんな時。声を掛けてくれた。

 

そういう「曲がった~事は大嫌い~」という、分かりやす過ぎるキャラクター、マイク。マブリー兄さんの基本設定は一寸の違いも無く最終まで完走。

 

となると他のキャラクターが一癖も二癖もあるのかと言うと、結局固定されたポジションから逸脱する事は無く。

 

ジンギ。

金に直ぐ目がくらむ。マークの弟分でスポーツエージェント。何処までもクリーンなイメージを死守したいマイクに対し、チャンス社長の言う通り「2回戦では負けてくれ」と頼んではみるけれど。結局真剣勝負をされてしまう。結果「まあいいか」。

けれど。決して薄情な訳じゃ無い。寧ろその反対で。幼くして生き別れたマークとその実母をマッチングさせようとしたり、何かとご飯を食べさせたりしている。

実はきちんとマネージメントする能力があるのに。どうしてジンギは金に心が揺らぐのか…その理由。意外でも何でも無い感じ(当方比)でしたが。

 

チャンス社長。

絵に描いた様な『器のちっさい悪党』。成金臭高く、品が無い。二足歩行可にも関わらず、実用性の無いステッキ(恐らく人間を殴打する用)を所持。

若い金ヅルのお坊ちゃんをスポンサーに組み込んでのサラ金・スポーツ賭博業にも参入中。普段は小売業者からの搾取で生活を成り立たせている。

(大阪人ならご存じ、『船場センタービル』みたいな卸専門ファッションビルのオーナー)

余談ですが。彼が作中で言っていた「幸せだから笑うんじゃない。笑うから幸せなんだ。」あれ。シチュエーションさえ違ったら…結構な名言やと思いましたがね。

 

マークの妹、スジンと子供二人(兄、妹=推定小学生。中~小学年)

夫に先立たれ、今は二人の子供を持つシングルマザー。先述のチャンス社長所有のファッションビルで流行っていない店を構えてる。一緒に暮らしていた母親は去年他界した。

 

この四つ巴。どこのどいつが組み立てようがこうなるであろうという展開。

 

チャンス社長の言いなりになれず。滞在場所を追い出され、居場所を失った所を救ってくれたスジン。そして人懐っこいスジンの子供達とマイクの間に生まれていく友情。始めこそぎこちなかった妹スジンとも築かれていく家族愛。

 

あくまでもフェアでありたい。そして見つけた『家族向け腕相撲イベント』をきっかけに。やっと正式なアームレスリング大会参加にこぎつけた。なのに。

 

『韓国アームレスリングNO1』と。『刑務所上がり、ステロイドドーピング万歳。相手の腕を壊しに掛かる』というヒール。その二大ライバルを相手に。果たしてマークはアームレスリング界への復活なるか⁈

 

『アームレスリング映画』と銘打ってはいるけれど。これは同時に『家族の絆映画』で。

 

「本当の家族とは何か。」「血の繋がりが家族の全てか。」という、まさかの万引き家族要素も若干ぶっこんできていたこの作品。

 

生れて間もなく親に捨てられた。そう思っていたけれど。ルーツである韓国に帰ってきて。初めて知った『誰かを大切だと思い、そして思われる事』。母親は自分に対しどう思っていたのか。そして取返しの付かない日々に思う事…。

 

マブリー兄さんが『マブリー』と呼ばれる所以。強面なビジュアルでありながら、どこかはにかみながら女子供に接している姿。その愛らしさ。今回も炸裂。

 

肝心のアームレスリング大会シーン。流石の迫力も感じましたが、どうしても「結局マブリー兄さんが勝つんでしょう?」という思いも否めず。というかアームレスリング界ってドーピングOKなの?そして明らかに腕と手首を痛めるから、予選と決勝は別日に出来ないものなの?選手生命どう考えているの?

 

曲がった事が大嫌い。圧倒的腕力を持った正義の人。けれど笑顔は可愛くて。そんなマブリー兄さんの全ベクトルを正統派に振り切った。これはこれで気持ちいい作品でしたが。

 

このビジュアルを最大限活用した悪人。感情など一切共有出来ない、憎むべきヒール。モンスター。そういうマブリー兄さんも観てみたい。そう思い始めている当方。

 

「この語学力を以ってするなら、意外と韓国では無く英語圏の国での起用はどうだ。『哭声』の時の國村隼みたいに。」

ではどういう役回りで?…想像力膨らむ当方です。

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