ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「アンダー・ザ・シルバーレイク」

アンダー・ザ・シルバーレイク」観ました。
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舞台はLA。無気力な33歳のサム。けれど。同じアパートに住むサラに恋をした。

良い感じに盛り上がった夜。けれど、それもつかの間。邪魔者に依ってお預けになってしまった二人の甘い時間。「また明日来て」そう言われて翌日サラの家を訪れたら家はもぬけの殻。一体サラは何処に行った?

行方不明になったサラを探すうち。サムはこの街に数多転がる不思議に足を踏み入れて行く。

 

『イット・フォローズ』のデヴィット・ロバート・ミッチェル監督作品。主人公サムをアンドリュー・ガーフィールドが演じた。

 

watanabeseijin.hatenablog.com

 結構楽しみにしていた今作。何故なら前作『イット・フォローズ』は当方の中で『シンプルな設定だからこそ勝つ作品』だったから。分かりやすく。そして十分に面白かった。

 

だからこそ…この監督の新作公開と知って。「もう~い~くつね~る~と~」と指折り数えて胸を膨らませていたのですが。

 

「この作品の感想…好みがバッサリ別れる!当方は…否定派!」

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越後製菓は一切関係ありません。念のため)

 

「色んな人が交差する街。LA」「そこで出会った俺たち(同じマンション)=サムの奴。昼間っからやる事無いからって、ベランダで一人くつろぎながら他の住民(女)を双眼鏡で観察。サラの事も当然マークしていた。二人の出会いは実際には偶然でも何でもない。サム変態野郎」「距離を縮め。遂に二人っきり。高まる期待。ビバ!エロ!」「そこで唐突に表れる闖入者。帰らされるサム」「翌日サラの言う通りサラ宅を訪れたら。まさかのもぬけの殻。夜逃げ。」「諦めないサム。暇を持て余しているのもあって。加速するサラストーキング」「すると思いがけず…この街は謎で満ち溢れていた。」

 

都市伝説。オカルト。イルミナティ

「犬殺し云々」「楽曲を逆から再生したら現れる、別のメッセージ」「洞窟シェルター」「失踪した大金持ち」「セレブとマニアックなパーティ」「同人ポストカードの男」「ホームレス」「今まで聴いてきたヒット曲たちは」「ファミコン」エトセトラ。エトセトラ。

 

「サラは何処に行った?」それを探っているだけなのに。気付けばどっぷり不思議世界。不条理で不可思議そして不穏。次々現れる謎。答えのない謎。

 

「しゃらくせええええええええ。」(当方の叫び)

 

いやいやいや。当方もねえ。怪談話は苦手ですが、こういったオカルトや都市伝説、イルミナティ。嫌いでは無いですよ。と言うか寧ろ好き。

ですがねえ。この作品に於いては…バランスが悪かったとしか…。

 

「盛り過ぎ。全ての答えを投げ出しすぎ。そして性質の悪い事に…変にビジュアルはお洒落やから鼻についてしまう。」

 

当方の脳内ジャンルにあるんですが。『オサレなバーで無音で流れている映画』。その仲間入り決定。

薄暗い(大体青が基調の照明)、お高くて少ししか入っていないオリジナルカクテルしかないオサレなバーで。(あくまでも大酒呑みな当方から見た景色)視線を上げたら流れている、無音のオサレ雰囲気映画。

 

「何故そんなにボロクソに言われなければいけないんだ!」オサレバーに集う、この作品肯定派の皆さまは気分を害すると思いますが。

 

「サム自体が幻だからだ!」吠える当方。

 

『オタク青年のサム。33歳』その肩書きに似合わぬビジュアル、生活、行動力。謎の財力。そしてセックスライフ。

「そりゃあアンタ。アンドリュー・ガーフィールドやで。」「スパイダーマンやってた奴やぞ。」って違う違う。その役者元々のスペックの話じゃ無い。

主人公のサム。確かに凄く野暮ったい感じにビジュアルにはしていたけれど。全然当方の思う『オタク』じゃない。

別に『オタク』=二次元の異性にしか興味が持てない性癖とかそう括っている訳じゃない…何て言うか…日本人の「一つの事に異常に興味を持っている己に対する恥じらい。人様に見つかったら馬鹿にされたり気持ち悪がられたりするんじゃないかという恐怖からコソコソ追及する」というオタク文化(そこから共通の仲間を見つけてはじけ飛ぶパターンもありますが)がデフォルト過ぎて。そうなるとサムに『オタク』と言う言葉はしっくりこない。

 

「ていうか、サムリアル充実してるやん。どういう相手なんか分からんけれど、昼間ランチ片手にセックスする為に衣装のままやって来る劇団員の彼女とか。トントン拍子に良い感じになるサラとか。最終の人とか。結構サムのセックスライフ有意義やで。」

 

「そして最大の謎。サムは一体何で生計を立てているんだ。」

 

LAで一人暮らし。どれほどの財力がいるのか。全くのハウマッチですが。けれどこれだけは言える。「サムの家。素敵すぎる。」

ああいう集合住宅、何て言うんでしょう?ゆったりとした2LDKが集まって構成される住宅街。その真ん中には共有プール。

職について聞かれると「仕事は今上手くいってない」とか言ってはぐらかし。そして労働実態を見せなかったサム。でもあんな生活、33歳無職では不可能。

自室で任天堂のマリオやって。ゲーム雑誌をコンプリートして。レコード大量に所有して逆再生して一日中遊んでる。何なんですか?サムは大富豪の末裔か何かですか?

「家賃を滞納している」「数日以内には出ていけ」大家から再三の退去命令が出されていたけれど。のらりくらり逃げ回るサム。なのに、LAの街を自由に闊歩。パーティにも潜入。途中まではマイカーまで所持していた。貧乏には見えず。食材も山ほど購入していたし。

 

「サムの肩書を『オカルト作家』とか『街の噂ライター』にすれば万事が収まったのに。」そう思う当方。(いかにもそんな仕事をしてそうでもありましたが)サラ捜索はあくまでも職業病。作家ならではの好奇心から。その方がしっくりくる。

サムは『オタク』ではない。せいぜい『サブカル野郎』。そこ止まり。

 

「主人公サムこそが一番フワフワとしていてとらえどころがない。」「唐突な主張も薄っぺらい。」「観ていて落ち着かない。」

 

「後。真面目に言うと、やっぱり何故そこまでサムがサラに固執したのかが良く分からんかった。」その一言に尽きるかと。

 

サラに惹かれた部分…というより、結局「不思議なあの子の謎を知りたい」「そうすれば全ての謎が解ける」の連鎖。となるとやっぱり…いくら何でも殆どのなぞなぞの答えを投げっぱなしにしたのはどうかと…。

 

「まあ~。出来ればこの作品を先に出してから『イット・フォローズ』が出ていたら。順番が逆なだけにハードルが上がっちゃっていたからなあ~。」

 

こうなると。「デヴィット・ロバート・ミッチェル監督の次回作に期待!」としか言えなくなる当方です。