ワタナベ星人の独語時間

所詮は戯言です。

映画部活動報告「グッバイ・ゴダール」

「グッバイ・ゴダール」観ました。
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ジャン=リュック・ゴダールの二番目の妻。アンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説の映画化。

1968年。当時20歳そこそこであった主人公アンヌ。パリ在住の哲学科の大学生。恋人はゴダール。当時37歳。言わずと知れた有名映画監督。

二人は恋に落ち。そして結婚。ゴダールの映画ミューズであったアンヌ。いつだって二人は一緒。年上の恋人は好奇心旺盛なアンヌに色んな事を教えてくれた。…けれど。

映画を撮らなくなって。次第に政治活動(五月革命)にのめり込んでいくゴダール。二人で頻繁に参加する政治活動の場。でも。言っている事が支離滅裂、ただただ過激なゴダールは活動の場でも浮く事が増えていって。

愛すべきゴダール。彼は私の恋人であり先生。そんな二人の関係が徐々に変化していく。

 

今回。当方が真面目にこの作品の感想を書かない事を先んじてお詫び致します。

 

ゴダール。知らなくはない。1968年の五月革命。あんまり知らない。ゴダールが政治革命にのめり込んでいた時期があった。全然知らない。

そんな『知らない』づくしに対して。付け焼刃の知識を纏ってそれらしい事も言えなくは無い…気もしましたが。

「知ったかぶりは恥」そういう当方のポリシーからも。どうせボロが出るだろうと開き直っての今回の感想文。加えていつも以上に「ただただ感じた事を書く」という個人的備忘録に則りますので。頓珍漢上等。そんな気持ちで進めていきたいと思います。

 

「じゃあなんでこの作品を?」「ステイシー・マーティン目当てだ。」はっきり即答する当方。

 

ステイシー・マーティン。2013年『ニンフォマニアック』でデビュー。
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ニンフォマニアック(色情狂)』。前後編二部構成の…所謂『ミスターエロチスト』案件。(『ミスターエロチスト』は梶山季之が1977年に書いたエロ小説で…って、気になる方はお手元のそのデヴァイスで調べたらいいですよ。一言で言えば一人の人物が延々語る、「これまでの。私のアブノーマルセックスライフ物語」)

この作品の主人公の若い時を演じたステイシー・マーティン

際どいシーン盛り沢山だったのに。何故か殆ど生々しさを感じなかった。その凛とした佇い。

モデル出身なのもあってスタイルは完璧。けれど正直そんなに演技が出来る訳では無い。表情豊かでもない。なのにはっとするような神々しさを持つ時がある。

2015年。『シークレット・オブ・モンスター』
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『陽光降り注ぐ中。スケスケのブラウスの下が何故かノーブラの。優しく微笑んできた家庭教師…主人公の少年と観客の気持ちが完全にシンクロした瞬間!』みたいな。禍々しい、無意識の悪魔を演じた彼女。

延々と何を語っているのか分からなくなってきましたが。つまりはまあ…ステイシー・マーティンが好きなんですよ。当方は。

 

今回も潔く脱いでいるシーンもありましたが。今作の目的はそこでは無いはずなので。(当方は一体何を言っているんだ)

 

いやあ。これ。19~20歳のアンヌの立場から見た世界なんで。

 

尊敬する映画監督に見初められて。晴れて彼と夫婦になったけれど。初めこそは色んな世界を知って。吸収する事は楽しくて。
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けれど。段々彼と行動を共にするにつれて。わがまま。子供っぽさ。薄っぺらさが鼻に付き始めて…彼は次第に唯一のアイデンティティである映画も否定し始め。しかも束縛、支配しようとしてくる。
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という。「あの時。同じ花を見て。美しいと言った二人の。心と心が。今は。もう。通わない」という悲しい話なんですよ。ですが…正直この20歳そこそこの小娘よりも。37歳のゴダールの方が色々と近い当方としては…ゴダールの滑稽さの方が身に染みて。

 

稀代の映画監督。世間からも認められ。けれど。今の自分は映画優先ではおられない。表現を生業としているからこそ今の自分には参加すべき政治活動がある。なのに。何故かその同士からは受け入れられない。同士と上手く意思疎通が出来ない。

年下の彼女。想いが通じて結婚した。彼女は可愛いお人形。何も知らない彼女には自分が全てを教えてあげなければならない。彼女は自分の盲目的な崇拝者であって完全な理解者…のはずなのに。次第に自我を持ち始め、自分へのまなざしが猜疑心と不満にあふれていく。

かつては同じ夢を語った友人。なのに。会えば喧嘩になってしまう。

もう。自分は誰とも想いが通じない。独りぼっち。

 

そんな、上手くいかない八方ふさがりに陥って。じゃあ一体どうすれば。どこから自分はこの状態から抜け出せるのか。そうやってじたばた足掻いて。そうすればそうするほど滑稽で。そして最後自爆。

 

というゴダール側からの視点。ぞっとする当方。

 

終始コミカルなテンポ。しかもスタイリッシュな絵面で進みますので。ともすれば「ゴダール、けちょんけちょんやないか」となりがちな痛さを笑いに変えてくる。けれど。

「それもまたフランス人ならではの皮肉っぽさ」とも思えなくはない。溜息。

 

「まあ。今現在ゴダールが映画監督として健在だという現実が。結果オーライという解釈で良いんやろうなと…。」もごもごと気持ちを落とし込む当方。

 

そして。お目当てのステイシー・マーティンも勿論可愛かったですが。ゴダール役のルイ・ガレルも非常に良かった。そして最終当方が思った事。

 

「これは良い眼鏡映画でした。」

 

世界中の眼鏡っ子(男女共)に幸あれ!そう願ってやまない当方からしたら。ゴダールの眼鏡着せ替えが眼福であった事を最後に忘れず記しておきたいと思います。
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