映画部活動報告「修羅の華」
「修羅の華」観ました。
韓国ノワール作品。
韓国奇跡の美魔女、キム・ヘス。少し前『グッバイ・シングル』という彼女の作品を観た際、予告編を見て気になっていた、韓国で2017年に公開された作品。
大企業ジェチョルグループの会長秘書、ヒョンジュン(キム・ヘス)。
このグループの実態は犯罪組織で。ハニートラップ、暴力、恐喝と裏の手を使って現在の大企業までのし上がった。
ヒョンジュンもかつてはハニートラップ部隊の一員であったが。今では会長に次いで組織の№2の座に収まっている。
しかし、最近会長は「事業拡大の為にも、今後はクリーンでありたい」と犯罪行為を拒否。挙句「もうゆっくりしたい」と言い始める。
長らく組織に仕え、汚れ仕事を一手に引き受けてきたサンフン(イ・ソンギュン)。サンフン無しでは企業はここまでのし上がれなかった。サンフンは実質№3。けれど。
会長の方針の方向転換に戸惑い、自身の存在価値が揺らぎ始める日々。
会長が引退?それはまだ良いとしても、一緒に付いて行こうとしているヒョンジュが許せなくて。と言うのも、サンフンのこれまでの行動の全ては、ヒョンジュンへの恋心故だったから。
和「とんでもない『プロポーズ大作戦』が来ました!!」
昭「紹介もされていないのにフライングしちゃってるよ…落ち着け落ち着け。」
ややこしい、歪みまくった男の恋心。全方位ジャンル配置完備されている韓国映画ですら、なかなか女性がメインのノワール作品は少ない印象(今年日本公開された『悪女/AKUJO』がありましたが)の中。当方注目女優キム・ヘス主演。…ここは当方の心に住む男女キャラクター昭(あきら)と和(かず)に男女別々からの視点で語って頂きたいと思います。
和「『欲しかったのは、愛だった』チラシのフレーズが胸を締め付けてくる。でもねえ~女ってそういうグイグイにはなびかないのよねえ~。世知辛い!」
昭「俺だって良いとは思わないよ。って言うか俺とお前は同じ人間の気持ちから派生したキャラクターなんやから、例え男女で役割を振り分けられても同じ考え方にしかならない部分がある。あらかじめ断っておくけれど。」
和「つまんねええ~。何それ。じゃあ何のために私ら二人で出てるんよ。あんた何の為に生きているんよ。」
昭「そこまで存在を否定されるいわれもないけどな。俺はこのサンフンの気持ちを『男って奴はさ…』という代弁は出来ないの。だって俺はこういう…何て言うの?女々しさみたいなのは理解出来ないから。」
和「組織のトップである会長にずっと仕えてきた男女二人。かつて二人は同士だった。けれど。月日が流れるにつれ、女は会長に連れそう妻の様になっていて。会長が引退をほのめかし、そして女も共に一線を退きひっそり暮らすと。そう聞かされて居ても経ってもおれない男。何故なら男は女を愛していたから。会長の為?違う。俺はこの女の為にずっと手を汚してきたんだぞと。」
昭「そういう美学?M的思考?俺には無いんよな~。」
和「(無視)俺が今までどれだけお前を想ってきたと思っているんだ。何が会長だ。お前は俺のものだ。お前は俺のものだ。」
昭「人をモノ扱いすんじゃないよ(溜息)。まあ、どうしてそんなにサンフンが暴走するのかという所に、『ヒョンジュンが愛するもの』の存在を知っての自棄自暴という背景があるんよな。ネタバレなしで進めにくいんやけれど…頑張る。」
和「そうか。俺は何も知らなかったんだな。こんなに長く一緒に居たのに。お前にはいつの間にか誰よりも大切に想う相手が出来て居たなんて。」
昭「そしてそれを思いもよらない所から知らされる自分。」
和「冒頭。実際この組織がどういう手口で商談を成立させているのかが描かれるんやけれど。会議が開かれるホテルで、要人が宿泊する部屋に各々送り込まれるハニートラップ。案の定引っかかる面々。そしてその一部始終を録画され、翌日それを見せられる。」
昭「余りの恐怖に体が震えたよ…あんなの…据え膳とか喰うに決まってるし…でもそれをハメ撮りされて再生されるって。絶叫やしそりゃあ、如何なる手を使ってもその画像の元データを回収して破壊。そして関わった連中も末梢したい案件。」
和「その思考回路は理解出来るんやね(嫌味)。まあ、そういうハニートラップに引っかかって。しかもその相手に好意を寄せていたけれど振られた。プライドをスタズタにされた上に件のデータを取り戻したいチェ検事。彼にとってはヒョンジュンは憎っくき相手でしかない。そんな時。組織がごたついているのに便乗しサンフンに入れ知恵。サンフンを煽りに煽ってヒョンジュン潰しにかかる。」
昭「自分のハメ撮り映像なんて。万死に値するからな。地獄にも持っていきたくない」
和「(無視)愛するものを奪えば、お前は俺を愛してくれる?お前を愛し、お前から愛するものを全て奪ったら。そこには俺だけが残る。誰よりもお前を愛する俺が。」
昭「だから。そんな奴、愛せる訳がないって。」
和「何でそのフレーズをあんたが言うんよおおお。」
昭「会話のラリー的に俺の番やったから。第一、そんな押しつけがましい愛なんて受け取れるか。愛は無償のもんやぞ。会長を見ろ‼」
和「寒うう。でも。ヒョンジュンだって、サンフンの恋心分かっていたと思うんよな。けれどずっとそこにはお互い触れずにバデイを組んできた。なのに。今になってグズグズ恋だの愛だのを押し付けてくる。そうして二人のバランスが崩れていく。でも、サンフンの気持ちには答えられない。」
昭「で、結局殺し合いなんよな。今回は銃や棒も出ていたけれど。安定の韓国お家芸、刃物での戦いも健在。」
和「キム・ヘスの「IKKOさん?」みたいな謎の髪型も結構すんなり馴染んで。彼女の完璧なスタイルといかにもな服装も相まって、全ての動き、アクションの画面が決まっていた。実際動けていたと思うし。」
昭「そしてあの最後の締め方。何だかジンとしたな。」
和「女性視点という、韓国ノワールの新しいドアが一つ開いた感じがした。そして男性の哀しさ。けれどこれは究極の純愛とも言える…。」
昭「そしてハメ撮り映像がどれだけ我を失う事に…」和「それはもういいです。」
ややこしいけれど、根底に流れるのは驚くほど真っすぐな想い。哀しいのに何故か少し希望や温かみを持って物語は閉じる。
柔らかさを持った韓国ノワール作品。
新しいなと思いました。